忍者ブログ
日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1602.04622
Hebrard et al. (2016)
The SOPHIE search for northern extrasolar planets. X. Detection and characterization of giant planets by the dozen
(北天の系外惑星の SOPHIE による探査 X:ダース単位の巨大惑星の検出と特徴付け)

概要

8つの恒星の視線速度観測を行い,新しい系外惑星を発見した.観測に用いたのは,オート・プロヴァンス天文台の 193 cm 望遠鏡に搭載されている装置 SOPHIE である.

今回観測した恒星は,スペクトル型 F5 - K0 の範囲の恒星であり,等級は 6.7 - 9.6 である.発見された惑星の最小質量は 0.4 - 3.8木星質量,軌道周期は数日から数ヶ月程度である.

HD 143105, HIP 109600, HD 35759, HIP 109384, HD 220842, HD 12484 では,それぞれ 1つの惑星を発見した.そのうち 1つの系は更なる恒星未満の質量の天体を持つ可能性がある.
HIP 65407 では 2つの巨大惑星を検出した.12 : 5 の軌道共鳴のやや外にあり,惑星同士は弱く相互作用をしている.

HD 141399 は,4個の惑星を持っていることが先行観測から知られており,今回の視線速度観測ではそれを追認する結果となった.

各系のパラメータ

HD 143105 系

HD 143105
スペクトル型:F5
等級:6.75
距離:48.7 pc
金属量:[Fe/H] = 0.15
質量:1.51太陽質量
有効温度:6380 K
自転周期:11日

HD 143105b
軌道周期:2.1974日
軌道長半径:0.0379 AU
軌道離心率:< 0.07
最小質量:1.21木星質量

HD 143105b は典型的なホットジュピターである.中心星は,ホットジュピターを持つ主星としては最も明るい部類の恒星である.

HIP 109600 系

HIP 109600
スペクトル型:G5
等級:9.16
距離:58.6 pc
金属量:[Fe/H] = -0.12
質量:0.87太陽質量
有効温度:5530 K
自転周期:42日

HIP 109600b
軌道周期:232.08日
軌道長半径:0.706 AU
軌道離心率:0.163
最小質量:2.68木星質量

HIP 109600b は地球の 1.5倍の日射を受けている.一般にハビタブルゾーンの範囲は,地球の日射量の 0.2 - 1.8倍程度の範囲である (Kopparapu et al. 2013など).そのためこの惑星に衛星が存在する場合は,ハビタブル衛星となる可能性がある.

巨大ガス惑星を持つ恒星の多くは金属量が多いが,この中心星は金属欠乏星である.

HD 35759 系

HD 35759
スペクトル型:G0
等級:7.74
距離:72.5 pc
金属量:[Fe/H] = 0.04
質量:1.15太陽質量
有効温度:6060 K
自転周期:28日

HD 35759b
軌道周期:82.467日
軌道長半径:0.389 AU
軌道離心率:0.389
最小質量:3.76木星質量

視線速度の残差からは,その他の外側・内側の惑星が存在する証拠は発見されなかった.

HIP 109384 系

HIP 109384
スペクトル型:G5
等級:9.63
距離:56.2 pc
金属量:[Fe/H] = -0.26
質量:0.78太陽質量
有効温度:5180 K
自転周期:43日

HIP 109384b
軌道周期:499.48日
軌道長半径:1.134 AU
軌道離心率:0.549
最小質量:1.56木星質量

この系はこれまで 7年に渡って観測を継続してきた.
HIP 109384b 以外の天体による視線速度の変動と思われるものもあるが,現時点では確認できていない.この惑星の内側に 2 : 1 の軌道共鳴を起こしている天体がある可能性については否定的である.

この惑星が受ける日射は地球が受けている日射の 0.4 - 0.6倍であり,ハビタブルゾーン内である.ハビタブルゾーンの外部領域に相当する.そのため,衛星が存在すると面白い.

HD 220842 系

HD 220842
スペクトル型:F8
等級:7.99
距離:62.5 pc
金属量:[Fe/H] = -0.17
質量:1.13太陽質量
有効温度:5960 K
自転周期:22日

HD 220842b
軌道周期:218.47日
軌道長半径:0.740 AU
軌道離心率:0.404
最小質量:3.18木星質量

HD 220842b の内側に 1 : 2 の軌道共鳴を起こしている天体が存在している可能性については否定的である.しかし,その他の 2体目の天体 (恒星質量もしくは惑星質量) が存在することを示唆する視線速度の変動が存在する.その場合,その天体の軌道離心率は少なくとも ~ 0.5,軌道周期 1100日,質量 2.1木星質量の天体があると考えられる.

この系をすばる望遠鏡の SCExAO で観測した.この系の年齢を考慮した上で遠方天体に制限を付けた.その結果,~ 60 AU で 20木星質量,~ 20 AU で 40木星質量という上限値を与えた (天体の検出は無し).従って,伴星が存在するのであれば,恒星質量を下回る天体 (褐色矮星や惑星) である.今後の観測で確認出来ると考えられる.

HD 12484 系

HD 12484
スペクトル型:F8
等級:8.17
距離:51.1 pc
金属量:[Fe/H] = 0.05
質量:1.01太陽質量
有効温度:5920 K
自転周期:7日

HD 12484b
軌道周期:58.83日
軌道長半径:0.297 AU
軌道離心率:0.07
最小質量:2.98木星質量

この系における視線速度の残差は分散が非常に大きい (25.2 m s-1) が,F型星では ~ 20 m s-1 の分散は起きうる値である (Santos et al. 2000).従ってこの分散は恒星の活動に起因するものだろうと考えられる.

HIP 65407 系

HIP 65407
スペクトル型:K0
等級:9.42
距離:55.5 pc
金属量:[Fe/H] = 0.25
質量:0.93太陽質量
有効温度:5460 K
自転周期:19日

HIP 65407b
軌道周期:28.125日
軌道長半径:0.177 AU
軌道離心率:0.14
最小質量:0.428木星質量

HIP 65407c
軌道周期:67.30日
軌道長半径:0.316 AU
軌道離心率:0.12
最小質量:0.784木星質量

2つの惑星の軌道周期の比は 2.4 であり,これは 12 : 5 の平均運動共鳴に近い値である.シミュレーションの結果,平均運動共鳴に近い状態ではあるが,共鳴に捕らえられてはいないと考えられる.

HD 141399 系

HD 141399
スペクトル型:K0
等級:7.20
距離:36.2 pc
金属量:[Fe/H] = 0.35
質量:1.07太陽質量
有効温度:5600 K
自転周期:49日

HD 141399b
軌道周期:94.44日
軌道長半径:0.415 AU
軌道離心率:0.04
最小質量:0.451木星質量

HD 141399c
軌道周期:201.99日
軌道長半径:0.689 AU
軌道離心率:0.048
最小質量:1.33木星質量

HD 141399d
軌道周期:1069.8日
軌道長半径:2.09 AU
軌道離心率:0.074
最小質量:1.18木星質量

HD 141399e
軌道周期:~ 5000日
軌道長半径:~ 5.0 AU
軌道離心率:0.26 ± 0.22
最小質量:0.66木星質量

この系は,Voigt et al. (2014) で 4つの惑星の検出が報告されていた.今回の観測ではそれを確認する結果となった.

HD 141399e はあまりよく制限できていないが,安定性解析からは,軌道周期が 3370日,軌道離心率は < 0.1 と考えられる.

観測と解析結果のまとめ

  • HD 143105 はホットジュピターを持つ恒星の中では最も明るい部類である.この惑星はトランジットを起こしていないものの,さらなるフォローアップ観測対象として適している.
  • HIP 109600b, HD 35759b, HIP 109384b, HD 12484b は,新しく発見された,軌道周期が数ヶ月の単独惑星である.更なる惑星が存在することを示す証拠は得られていない.
  • 単独で惑星が存在する系において,2 : 1 の軌道共鳴を起こすその他の惑星が存在する可能性は排除されている.
  • HD 220842 は重い巨大惑星を持ち,さらなる準恒星質量天体を持つ可能性がある.確認のためにはさらなる長期間のフォローアップ観測が必要である.
  • 巨大ガス惑星 HIP 109600b, HIP 109384b, HD 141399c はハビタブルゾーン内に位置しており,衛星を持っていた場合は興味深い存在である.ただし衛星が存在したとしても現在の技術では検出できないと考えられる.

拍手[0回]

PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック