×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1602.06988
Nesvorny & Vokrouhlicky (2016)
Neptune's Orbital Migration Was Grainy, Not Smooth
(海王星の軌道移動は滑らかではなく,粗く起きた)
既存の海王星の軌道移動のモデルでは,海王星との共鳴に入っている天体の数を過大評価する傾向にあるが,観測からは共鳴に入っていない天体が多い.具体的には,3 : 2 の平均運動共鳴に入っている冥王星族 (plutino) よりも,メインベルトの天体が 2 - 4 倍多い.これは海王星の軌道移動モデルに関する未解決問題である.
ここではその問題の解決案を提案する.それは,海王星の軌道移動は重い微惑星との近接遭遇で発生する,"grainly" な (粗い,滑らかではない) ものであったとするモデルである.
Grainy な軌道移動は,大きな秤動振幅を持つ共鳴天体を不安定化する.そのため一部は安定な非共鳴軌道へと移行する.そのため,非共鳴/共鳴天体の比率は,grainy な軌道移動の場合は,なめらかな軌道移動の場合よりも ~ 10倍大きくなる.
さらに,grainy な軌道移動は,3 : 2 平均運動共鳴の天体の秤動振幅の分布を狭くする.観測結果と合うような最も良いパラメータは,30 AU 未満の微惑星円盤が 1000 - 4000個の冥王星程度の天体を含むか,冥王星の 2倍の重さの天体を ~ 1000体含んでいるというものである.
外側円盤にある天体 1つがカイパーベルト内に安定した軌道で残る確率は ~ 10-3 であった.この結果は,冥王星質量を持つ天体がカイパーベルト内に見つかっている中では 2つしか存在しない (冥王星とエリス) という事実と整合的である.
元々の微惑星円盤内の,冥王星質量天体の合計質量は ~ 2 - 8 地球質量であったと考えられる.これは推定される微惑星円盤の全質量の予測値 (~ 20地球質量) の 10 - 40%である.この円盤全体の質量に対する冥王星質量天体の合計質量の制限は,太陽系外縁部での降着プロセスの良い理解のために重要である.
arXiv:1602.06988
Nesvorny & Vokrouhlicky (2016)
Neptune's Orbital Migration Was Grainy, Not Smooth
(海王星の軌道移動は滑らかではなく,粗く起きた)
概要
カイパーベルト (エッジワース・カイパーベルト) は,海王星軌道以遠の氷天体の集まりのことを指す.カイパーベルト天体の,海王星との共鳴の内外にあるいくつかのカテゴリーを含む複雑な軌道構造は,海王星の原始惑星系円盤中の外側への軌道移動の結果である.既存の海王星の軌道移動のモデルでは,海王星との共鳴に入っている天体の数を過大評価する傾向にあるが,観測からは共鳴に入っていない天体が多い.具体的には,3 : 2 の平均運動共鳴に入っている冥王星族 (plutino) よりも,メインベルトの天体が 2 - 4 倍多い.これは海王星の軌道移動モデルに関する未解決問題である.
ここではその問題の解決案を提案する.それは,海王星の軌道移動は重い微惑星との近接遭遇で発生する,"grainly" な (粗い,滑らかではない) ものであったとするモデルである.
Grainy な軌道移動は,大きな秤動振幅を持つ共鳴天体を不安定化する.そのため一部は安定な非共鳴軌道へと移行する.そのため,非共鳴/共鳴天体の比率は,grainy な軌道移動の場合は,なめらかな軌道移動の場合よりも ~ 10倍大きくなる.
さらに,grainy な軌道移動は,3 : 2 平均運動共鳴の天体の秤動振幅の分布を狭くする.観測結果と合うような最も良いパラメータは,30 AU 未満の微惑星円盤が 1000 - 4000個の冥王星程度の天体を含むか,冥王星の 2倍の重さの天体を ~ 1000体含んでいるというものである.
外側円盤にある天体 1つがカイパーベルト内に安定した軌道で残る確率は ~ 10-3 であった.この結果は,冥王星質量を持つ天体がカイパーベルト内に見つかっている中では 2つしか存在しない (冥王星とエリス) という事実と整合的である.
元々の微惑星円盤内の,冥王星質量天体の合計質量は ~ 2 - 8 地球質量であったと考えられる.これは推定される微惑星円盤の全質量の予測値 (~ 20地球質量) の 10 - 40%である.この円盤全体の質量に対する冥王星質量天体の合計質量の制限は,太陽系外縁部での降着プロセスの良い理解のために重要である.
PR
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック