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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1603.00821
Nimmo et al. (2016)
Mean radius and shape of Pluto and Charon from New Horizons images
(ニューホライズンズの画像による冥王星とカロンの平均半径と形状)

概要

ニューホライズンズが冥王星に接近している最中の Long-Range Reconnaissance Imager (LORRI) による画像から,冥王星とカロンの平均半径と形状の測定を行った.

冥王星の平均半径は 1187.6 ± 1.8 kmカロンの平均半径は 605.4 ± 1.2 km であった (誤差は 2 σ).

冥王星の平均密度は 1857 ± 6 kg m-3,カロンの平均密度は 1707 ± 17 kg m-3 であった.

カロンの半径は,これまでの地上からの掩蔽観測の結果と整合的なものであった.
また形状に関しては,冥王星もカロンも潮汐による変形や時点による変形の証拠は見つからなかった.扁平率の上限値は,冥王星が 0.6%,カロンが 0.5%だった.

過去の観測との比較

ニューホライズンズの接近観測前は半径などの物理量の不定性が大きく,冥王星は 1169 - 1193 km (Lellouch et al. 2009) もしくは 1164 ± 23 km (Young & Binzel 1994) という値が得られていた.今回得られた値は,これらの推定値の上端の値となっている.

従って,冥王星は他のカイパーベルト天体のエリス (Eris, 1163 ± 6 km, Sicardy et al. 2011) よりも大きい.

カロンについては,地上からの掩蔽観測では 606 ± 1.5 km (Person et al. 2006) や 603.6 ± 1.4 km (Sicardy et al. 2006) という値が得られていた.今回の観測値は全て誤差の範囲内で一致する.

Person et al. (2006) では扁平率は 0.006 ± 0.003 と報告しているが,今回の観測では 0.005 という上限値のみが得られた.

また平均密度は,カロンは低いことが判明した.これは全体の組成が冥王星と異なるか,空隙率が大きいからだと考えられる.一般に,小さい天体は空隙率が大きくなる傾向にある.しかしこの効果の定量的な評価はまだ不十分である.カロンの密度が低いことに関しては,岩石成分の割合が低く,炭素質の物質が多いためという可能性 (McKinnon et al. 1997) や,現在の地下海の欠如 (Hussmann et al. 2006) に起因するものであるかもしれない.これらの識別はカロンの形成機構にも制限を与えうる.








ニューホライズンズの観測の解析がどんどん進んでいるようで,ここでは冥王星とカロンの半径と形状 (主に扁平率) の詳細なデータが出てきました.やはり接近観測は強いです.

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