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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1604.07323
Araujo et al. (2016)
The rings of Chariklo under close encounters with the giant planets
(巨大惑星との近接遭遇環境下におけるカリクローの環)

概要

ケンタウルス族天体は,巨大ガス惑星の間を漂うような軌道をもつ小天体で構成される.これらケンタウルス族天体は,しばしば巨大ガス惑星と重力遭遇を起こし,カオス的な軌道進化をする.

最近,ケンタウルス族の一つであるカリクロー (10199 Chariklo) に,細い 2 つの環が発見された.この環は,カリクローの赤道上にほぼ円軌道で存在していると推定されている.

このような,重力的によく擾乱を受ける領域にいる天体が明確な環を持っているということは,新たな問題をもたらす.つまり,カリクローの環は巨大ガス惑星との近接遭遇で安定かどうかという問題である.ここでは,この問題についてシミュレーションでの検証を行った.

シミュレーションでは,729 個のカリクローのクローンを作成し,似たような初期軌道配置で 100 Myr の間軌道計算を行った.その結果,平均して 150 回以上の巨大惑星との近接遭遇 (1 ヒル半径以内に入る) を起こすことが分かった.

このうち,いくつかの環を破壊したり乱したりする近接遭遇を同定した.この近接遭遇のうち,3%のクローンが環を失い,4%が環を大きく乱される事が判明した.

従って,残りの 90%以上の多くのクローンは,巨大ガス惑星との近接遭遇で環を安定に保つ事が分かった.よって,もしケンタウルス族天体に環を形成する効率的な機構があるのであれば,ケンタウルス族天体が環を持つことは一般的であると考えられる.






ケンタウルス族天体は,木星軌道から海王星軌道の間に存在する小天体のグループを指します.このような軌道の特徴のため,巨大ガス惑星と軌道交差を起こすことがあります.

カリクローはケンタウルス族の中で最大の天体であり,掩蔽観測によって環を持つことが報告されています.惑星以外に環が発見されたのはカリクローが初めてです.

また,同じくケンタウルス族のメンバーであり,ケンタウルス族で 2 番目に大きい天体であるキロンでも,環の存在を示唆する観測が得られています (未確定).

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