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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1605.00171
Nettelmann et al. (2016)
Uranus evolution models with simple thermal boundary layers
(シンプルな熱境界層を持つ天王星の進化モデル)

概要

天王星が著しく低い光度を持つ (有効温度と平衡温度がほぼ同じ) という事実は,巨大氷惑星を理解する上での長い期間に渡る謎である.ここでは,観測で得られている天王星の低い光度と,天王星まわりの重力場の観測データに合う構造・進化モデルを提案する.

モデルにおいては,水,メタン,アンモニアそれぞれの氷組成の高圧環境における状態方程式として,最新の第一原理方程式を用いた.

その結果,断熱モデルの場合は,氷と岩石の混合比の不定性を考慮した上でもなお冷却時間が長すぎる (観測と合わない) ことを確認した.

ここで,氷/岩石豊富な内部と,水素/ヘリウム豊富な外側エンベロープの遷移が安定に成層しているという状態を考えた.シンプルな熱境界層を,観測されている天王星の低い光度を再現できるように導入した.その結果,内部は断熱モデルの場合よりも 2 - 3 倍暖かくなる.

また,熱境界の存在により,外側エンベロープの冷却が速くなる.有効温度が平衡温度とおおむね等しい状態になったとき,大気中の浅く亜断熱な領域 (subadiabatic zone) が発達し始める.この領域の深さは,観測を再現するように調整した.

ここで提案したモデルは,拡散領域における熱流束や粒子流束を取り扱えるように改善可能な,将来的な巨大氷惑星の進化,構造モデルの基礎となることが期待される.






ガス惑星は重力で収縮 (ケルビン・ヘルムホルツ収縮) して重力エネルギーを熱として解放するため,一定の内部からの熱流束があります.巨大氷惑星の内部構造と進化の理論モデルでは,海王星の熱流束の観測値は再現できている (再現できるパラメータが存在する) のに対し,天王星は再現できていません (再現できるパラメータがない).

観測される天王星の光度は理論モデルから予測される値に比べて明らかに低く,何らかの原因で熱の輸送が抑えられているか,逆に何らかの原因で急速に冷えたなどが原因として考えられています.

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