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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1605.00616
Bolmont et al. (2016)
Water loss from Earth-sized planets in the habitable zones of ultracool dwarfs: Implications for the planets of TRAPPIST-1
(極めて低温な矮星のハビタブルゾーン内の地球サイズ惑星からの水の散逸:TRAPPIST-1 の惑星への応用)

概要

極めて低温な矮星 (ultracool dwarfs, UCD) とは,スペクトル型が M6 よりも晩期の低質量の恒星から褐色矮星までを含む天体の総称である.
※注釈:"ultracool dwarfs" の定まった日本語訳は存在しないと思われる.
UCD は形成後単調に冷えていくため,UCD まわりのハビタブルゾーンは時間の経過とともに内側へ移動する.もし UCD まわりの惑星が水を持っていた場合, UCD のハビタブルゾーン内の惑星は,液体の水が存在するには高温すぎる暴走温室状態 (runaway greenhouse) を,ハビタブルゾーンに入る前に経験しているはずである.このような惑星は初期の高温な状態の間に干からびてしまい,ハビタブルゾーンに入る頃には乾いて荒れ果てた状態になっていると予想される.

ここでは,ハビタブルゾーン前 (pre-habitable zone) の惑星における水の散逸を,UCD からの XUV (極端紫外線) 放射の上限値と,1 次元の輻射流体力学計算を取り入れて計算した.計算では全ての範囲の UCD に対して調べたが,特に最近発見が報告された TRAPPIST-1 (0.08 太陽質量) まわりの惑星,TRAPPIST-1b, c, d にも注目した.

計算の結果,遠紫外線による水分子の光分解反応と,XUV による水素分子の惑星からの散逸の効果を最大化した場合でも,中心星質量が 0.04 - 0.06 太陽質量の "sweet spot" の範囲内においては,ハビタブルゾーン内の惑星の水はかなりの量生き残ることが分かった

また TRAPPIST-1 まわりの惑星については,TRAPPIST-1b, c の 2 惑星は最大で地球の海の 4 倍の水を失うが,周期次第ではハビタブルゾーンにあると考えられる TRAPPIST-1d の場合は,初期の水の量次第ではハビタブルな量の水を残すと予想される.
TRAPPIST-1 は UCD まわりの惑星からの水の散逸に対する強い制限を与え,また惑星の大気の特徴付けに関しても重要な対象である.





Ultracool dwarf について,Gizis et al. (2000) では,スペクトル型が M7 とそれより晩期 (より低温な M8, M9 など) の M 型星のことを "Ultracool M dwarfs" と呼称しています.また,TRAPPIST-1b, c, d の発見報告論文である Gillon et al. (2016) では,有効温度 2700 K 未満の低温の天体を ultracool dwarfs と呼称し,水素核融合を起こせない褐色矮星もこの中に含んでいます.

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