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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1605.07973
Bourrier et al. (2016)
An evaporating planet in the wind: stellar wind interactions with the radiatively braked exosphere of GJ436 b
(風のなかで蒸発する惑星:GJ 436b の放射でブレーキを受けた外気圏と恒星風の相互作用)

概要

温暖な海王星型惑星 (warm Neptune) である GJ 436b の紫外線のライマンアルファ線での観測が,ハッブル宇宙望遠鏡の STIS を用いて 2012, 2013, 2014年の 3 回にわたって行われた.観測では,中性水素原子による巨大な外気圏による深いトランジットが観測された.

M 型矮星である中心星からの小さい輻射圧は,散逸するガスのダイナミクスと,惑星まわりでの拡散に対して主要な役割を持つ.しかしそれだけでは各トランジットでの変動を説明することは出来ない.

ここでは,輻射によるブレーキ (radiative brake) の効果と恒星風との相互作用を,数値シミュレーションコード EVapolating Exoplanet (EVE) で調べ,シミュレーション結果と観測されたスペクトルの直接比較から大気と星の特徴を導いた.

1回目のトランジットは,トランジットから出る際のデータが存在しないため解析は困難である.しかし 2013, 2014年のデータはシミュレーションでよく再現することが出来た.2013年と 2014年の鋭いトランジットへの入りは,恒星風による惑星のコマのアブレーションによるものである.

トランジット中のスペクトルは,惑星の高層大気から散逸した中性粒子と,恒星風との電荷交換による中性化された陽子の 2 種類の外気圏,によって説明できる.またどちらのトランジットにおいても,質量放出率は ~ 2.5 × 108 g s-1,恒星による光電離率は ~ 2 × 10-5 s-1,恒星風のバルク速度は ~ 85 km s-1,恒星風の速度分散は ~ 10 km s-1 (運動学的温度 ~ 12000 K に相当) と,似た性質を得た.

また,散逸するガスの高速度 (~ 50 - 60 km s-1) は,磁気流体波動が惑星の高層大気で散逸して流出を駆動していることを示唆している.

2013年の観測では,恒星風の高い密度 (~ 3 × 10 cm-3) によって,中性化された陽子を主成分とする外気圏の尾を形成し,トランジット中とトランジット後の安定した吸収を実現している.この GJ 436b の観測では,輻射圧と恒星風の役割を初めて明確に分離して考察した.時間で一定なガスの全体的な構造は,恒星の放射と惑星からの質量損失率の安定性により引き起こされるが,散逸するガスの局所的な変化は,恒星風の密度の変化に対応しているものと解釈できる.

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