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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。


arXiv:1506.07067
Jontof-Hutter et al. (2015)
The mass of the Mars-sized exoplanet Kepler-138 b from transit timing
(トランジットタイミングからの火星サイズ系外惑星ケプラー138bの質量)

概要

トランジット時刻変動 (Transit Timing Variation, TTV)を用いて複数惑星系の惑星の質量を決定した。
一番内側を公転するケプラー138bは0.066地球質量であり、ケプラーでのトランジット観測から測定した惑星半径のデータを用いて平均密度を計算すると、2.6 g cm-3
外側の2つであるケプラー138c, dは地球よりやや大きいサイズであり、平均密度はそれぞれ 6.2 g cm-3、2.1 g cm-3。後者は水や水素を多く含む惑星である可能性がある。

背景

ケプラー宇宙望遠鏡のトランジット観測からは系外惑星の半径が分かる。
質量はトランジットからは判明せず、視線速度法による追観測から求められる。これらの惑星は、軌道周期では数日以下のものが多い。

これまでの観測で質量が判明しているものの中では、ケプラー78bが最も軽い部類であり、1.7地球質量である。この惑星は軌道周期が0.35日と極めて短周期。

視線速度法以外に、TTVによって質量を決定する方法がある。
TTVとは、複数惑星がある場合に、他の惑星の重力の影響を受けてトランジットのタイミングがわずかにずれる現象のことである。
TTVは、惑星が近接した軌道にある場合、あるいは軌道共鳴に入っている場合はsensitiveである。

TTVが検出されている複数惑星系では、1次の軌道共鳴に入っているものが多数派であり、これは2次の軌道共鳴よりもTTV signalが大きくなる。
ただし、どれだけ共鳴に近いか、軌道離心率はどの程度かも重要な要素である。

TTVによるケプラー138系の惑星質量の決定

ケプラー138のデータ

Kepler Input CatalogではKOI-314という名前で登録されている。
質量 0.521太陽質量
半径 0.522太陽半径
有効温度 3841 K

ケプラー 138b, c, dのデータ

・ケプラー138b
周期 10.3126日
質量 0.066地球質量
半径 0.522地球半径
平均密度 2.6 g cm-3

・ケプラー138c
周期 13.7813日
質量 1.970地球質量
半径 1.197地球半径
平均密度 6.2 g cm-3

・ケプラー138d
周期 23.0881日
質量 0.640地球質量
半径 1.212地球半径
平均密度 2.1 g cm-3

c, dは2次の共鳴である5:3に近い軌道周期比になっている。また、b, cは1次の共鳴である4:3に近い。

これまでは、3つの惑星のうち2つはTTVで解析されており、その際にdは低密度の惑星であることも判明していた。今回は3つ全てでTTVを検出した。

その他

ケプラー138bは、半径・質量において最小の部類に入る系外惑星である。
今後の観測で、岩石よりも軽い物質でできていることがわかった場合、小さい惑星の内側への移動の証拠となる。

また、ケプラー138dは低密度であり、岩石+水で構成される惑星である可能性がある。このような惑星は系の遠方で形成された後に、惑星移動で内側へ移動してきたものである可能性が高い。







arXiv:1506.07057
Colón et al. (2015)
Vetting Kepler Planet Candidates in the Sub-Jovian Desert with Multi-Band Photometry
(多バンド測光を用いた、sub-Jovian desert内のケプラー惑星候補の調査)

概要

6地球半径以下のケプラー惑星候補3つを、多波長でトランジット観測を行った。
その結果、系外惑星候補であるKOI 439.01とKOI 732.01は惑星であると判明した。残りのKOI 531.01はfalse positive (偽陽性)であり、惑星によるシグナルではない可能性が高い。
惑星であると判明した方の2つについては、"sub-Jobian desert"の領域にある惑星であると考えられる。

Sub-Jovian desertについて

系外惑星の諸物理量について、軌道周期-惑星半径でプロットした時、軌道周期2.5日以下、3-11地球半径の領域は明らかに惑星数が少ないことが分かっている。
軌道周期-惑星質量でプロットした場合は、軌道周期2.5日以下、0.03-1木星質量の領域に相当する。
この系外惑星が明らかに欠乏している領域をsub-Jobian desertと呼ぶ。

地球質量より大きい程度の短周期系外惑星は現在の技術で十分発見できるため、この欠乏は観測バイアスで説明するのは難しい。
Sub-Jovian desertを説明する仮説としては、
・中心星に近接した惑星は惑星の内側移動で出来るとした場合、内側へ移動することができない限界の質量が存在する可能性がある
・木星サイズより小さい惑星は中心星の輻射を受け、短期間で大量の質量散逸を起こして無くなってしまう
というものが提案されている。

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