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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1607.00688
Bento et al. (2016)
HATS-22b, HATS-23b and HATS-24b: Three new transiting Super-Jupiters from the HATSouth Project
(HATS-22b, HATS-23b と HATS-24b:HATSouth プロジェクトによる 3 つの大型の木星型トランジット惑星)
有効温度:4803 K
金属量:[Fe/H] = 0.000
質量:0.759 太陽質量
半径:0.689 太陽半径
光度:0.226 太陽光度
年齢:4.6 Gyr
距離:207.9 pc
質量:2.74 木星質量
半径:0.953 木星半径
平均密度:3.89 g cm-3
軌道長半径:0.05025 AU
軌道離心率:0.079
平衡温度:858 K
有効温度:5780 K
金属量:[Fe/H] = 0.280
質量:1.121 太陽質量
半径:1.199 太陽半径
光度:1.43 太陽光度
年齢:4.2 Gyr
距離:747 pc
質量:1.470 木星質量
半径:1.86 木星半径
平均密度:0.29 g cm-3
軌道長半径:0.03397 AU
平衡温度:1654 K
有効温度:6346 K
金属量:[Fe/H] = 0.000
質量:1.212 太陽質量
半径:1.172 太陽半径
光度:1.96 太陽光度
年齢:0.88 Gyr
距離:510 pc
質量:2.44 木星質量
半径:1.487 木星半径
平均密度:0.92 g cm-3
軌道長半径:0.02547 AU
平衡温度:2067 K
その結果,今回発見された 3 惑星はどれも 2 つのモデルの間には入らないが,HATS-22b は 95%の確度で 100 地球質量のコアを持つモデルと整合した.また,これまでに発見されているホットジュピターの中でも最も平均密度が高い (上位 10 位に入る) グループに属する.
HATS-23b は主星をかすめるようなトランジット (grazing transit) を起こすためパラメータ決定の精度が悪い.しかし,推定される惑星半径の下限値であっても,固体コアが小さいモデルと整合的である.
HATS-24b は,純粋な水素・ヘリウム組成のモデルよりも大きく,膨張した半径を持つ惑星である.
横軸に惑星の軌道長半径と中心星の半径の比率,縦軸に惑星質量と中心星質量の比率をとってプロットすると,HATS-22b は HATS-23b, HATS-24b とは明らかに異なる領域に存在する.(HATS-22b はどちらも大きな値になる.)
軌道長半径と中心星の半径の比 (a/Rstar),惑星質量と中心星質量の比 (Mpla/Mstar) はどちらも潮汐散逸による惑星軌道の円軌道化に重要なパラメータである (Oglivie 2014など).Mpla/Mstar は円軌道化のタイムスケールに比例する.
軌道離心率が小さいものは,a/Rstar も Mpla/Mstar も小さい傾向にある.HATS-22b の大きな軌道離心率は,完全な円軌道化のためには時間が不足しているということを示唆する.
またこの結果は,質量が大きく,軌道周期がやや長い大きな惑星は大きな軌道離心率を持つ傾向にある (Pont et al. 2011) という主張を支持する.これは,ホットジュピターが現在の位置まで移動してきた機構を理解するのに重要な結果である.
arXiv:1607.00688
Bento et al. (2016)
HATS-22b, HATS-23b and HATS-24b: Three new transiting Super-Jupiters from the HATSouth Project
(HATS-22b, HATS-23b と HATS-24b:HATSouth プロジェクトによる 3 つの大型の木星型トランジット惑星)
概要
HATS-22b, HATS-23b, HATS-24b の 3 つのやや重いトランジットするホットジュピターの発見を報告する.これらの惑星は,~ 2 木星質量の惑星である.パラメータ
HATS-22 系
HATS-22
等級:13.455有効温度:4803 K
金属量:[Fe/H] = 0.000
質量:0.759 太陽質量
半径:0.689 太陽半径
光度:0.226 太陽光度
年齢:4.6 Gyr
距離:207.9 pc
HATS-22b
軌道周期:4.7228124 日質量:2.74 木星質量
半径:0.953 木星半径
平均密度:3.89 g cm-3
軌道長半径:0.05025 AU
軌道離心率:0.079
平衡温度:858 K
HATS-23 系
HATS-23
等級:13.901有効温度:5780 K
金属量:[Fe/H] = 0.280
質量:1.121 太陽質量
半径:1.199 太陽半径
光度:1.43 太陽光度
年齢:4.2 Gyr
距離:747 pc
HATS-23b
軌道周期:2.1605156 日質量:1.470 木星質量
半径:1.86 木星半径
平均密度:0.29 g cm-3
軌道長半径:0.03397 AU
平衡温度:1654 K
HATS-24 系
HATS-24
等級:12.830有効温度:6346 K
金属量:[Fe/H] = 0.000
質量:1.212 太陽質量
半径:1.172 太陽半径
光度:1.96 太陽光度
年齢:0.88 Gyr
距離:510 pc
HATS-24b
軌道周期:1.3483954 日質量:2.44 木星質量
半径:1.487 木星半径
平均密度:0.92 g cm-3
軌道長半径:0.02547 AU
平衡温度:2067 K
議論
質量と半径の依存性
惑星の質量と半径の関係を,Fortney et al. (2007) のモデルと比較した.固体コアを持たないモデルと,100 地球質量のコアを持つ場合の 2 つを理論線として参照した.その結果,今回発見された 3 惑星はどれも 2 つのモデルの間には入らないが,HATS-22b は 95%の確度で 100 地球質量のコアを持つモデルと整合した.また,これまでに発見されているホットジュピターの中でも最も平均密度が高い (上位 10 位に入る) グループに属する.
HATS-23b は主星をかすめるようなトランジット (grazing transit) を起こすためパラメータ決定の精度が悪い.しかし,推定される惑星半径の下限値であっても,固体コアが小さいモデルと整合的である.
HATS-24b は,純粋な水素・ヘリウム組成のモデルよりも大きく,膨張した半径を持つ惑星である.
惑星の軌道離心率
HATS-22b の軌道離心率はゼロではない値である (e = 0.079).横軸に惑星の軌道長半径と中心星の半径の比率,縦軸に惑星質量と中心星質量の比率をとってプロットすると,HATS-22b は HATS-23b, HATS-24b とは明らかに異なる領域に存在する.(HATS-22b はどちらも大きな値になる.)
軌道長半径と中心星の半径の比 (a/Rstar),惑星質量と中心星質量の比 (Mpla/Mstar) はどちらも潮汐散逸による惑星軌道の円軌道化に重要なパラメータである (Oglivie 2014など).Mpla/Mstar は円軌道化のタイムスケールに比例する.
軌道離心率が小さいものは,a/Rstar も Mpla/Mstar も小さい傾向にある.HATS-22b の大きな軌道離心率は,完全な円軌道化のためには時間が不足しているということを示唆する.
またこの結果は,質量が大きく,軌道周期がやや長い大きな惑星は大きな軌道離心率を持つ傾向にある (Pont et al. 2011) という主張を支持する.これは,ホットジュピターが現在の位置まで移動してきた機構を理解するのに重要な結果である.
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