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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1506.07202
Rugheimer et al. (2015)
Effect of UV Radiation on the Spectral Fingerprints of Earth-like Planets Orbiting M dwarfs
(M型星まわりの地球型惑星のスペクトルの特徴に紫外線放射が与える影響について)
ここでは、UVの活動レベルの変化がhabitability (居住可能性)に関係する物質のスペクトルの特徴に与える影響にフォーカスしている。ここでいうhabitabilityに関係する物質とは、H2O, O3, CH4, N2O, CH3Clである。
結果、O2とO3、還元種であるCH4のsignatureを検出するためには、早期型かつ活発なM dwarfが最適なターゲットであることが分かった。
0.76 μmの酸素分子の特徴は、晩期型のM dwarfまわりでは反射光から検出するのが難しくなる。理由はこの波長域での中心星からのフラックスが小さくなるためである。
他のbiosignatureであり、赤外領域に特徴を持つN2Oは、このモデルではUVの弱いM dwarfまわりでは検出可能な濃度になる。
CH3Clも検出可能であるが、N2Oの特徴と被る。
・複雑な磁場が彩層を加熱してそこからのUV放射をdriveするが、この効果は含まれていない
・UV領域でのopacity
・半経験則に基づくものであり、磁場の加熱と放射損失のエネルギーバランスを欠く
などがある。
この計算では、"active"なモデル (最も活発なM dwarfの観測に基づく)と、"inactive"なモデル (彩層無しの半経験的なモデル)を使用している。
EXO-Pは岩石惑星の大気計算のための、1D radiative-convective atmosphereのモデル。
このコードは、1D気候モデル、1D光化学モデル、1D輻射輸送を含み、M dwarfまわりのハビタブルゾーン内の岩石惑星のスペクトルを計算することができる。
恒星からの輻射が大気に与える影響と、惑星から出て行く放射のスペクトルの両方を計算できる。
ここでは、上空~60 kmまでを100層に分割して計算。
平行平板大気を仮定し、惑星表面はランバート球を仮定。また、天頂角は60°とする。
大気の温度は、内側へ向かうフラックスと外側へ向かうフラックスの差と、各層における熱容量から計算する。
ある層における気温減率が断熱よりも大きくなった場合は、大気が平衡になるまで断熱にadjustする。
輻射輸送はtwo-stream近似を用い、大気のガスによる散乱を含んだものである。
また熱赤外線の波長域では、RRTM (rapid radiative transfer method)で計算。
雲の効果は陽には含まず、ボンドアルベドの値を変えることによって暗に含ませている。
また惑星の軌道は、平衡温度が地球と等しくなるように、中心星の輻射強度に応じて"1 AU相当"の距離に置く。
またUVが強い方が温度逆転が弱くなる。地球ではオゾンがUVを吸収して加熱源になるため、この結果は地球における結果を踏まえた直感には合わないものである。
弱いUV放射では、成層圏でのメタン、水分子による追加の吸収による加熱が存在する。
これはフラックスで言うと、2.7 × 10-8 - 2.7 × 104 erg cm-2 s-1に対応する。
結果として、大気の温度構造や分子のmixing ratioに与える影響は非常に小さい。
1015倍のケースだけは、上空でのメタンと、大気全域でのN2Oの分解に効いてmixing ratioを下げる。
GJ 1214のLyman αの観測から、Lyman α強度の上限が判明している。その上限値に対応するモデルと、それを10-2 - 103倍までパラメータを振って計算。
この場合、メタンには変化があった。水は成層圏でわずかな変化があった。しかし酸素分子とオゾンはほぼ変化なし。
arXiv:1506.07200
Rugheimer et al. (2015)
UV Surface Environment of Earth-like Planets Orbiting FGKM Stars Through Geological Evolution
(地質学的進化を通じたFGKM星まわりの地球型惑星のUV表層環境)
用いた大気のモデルは、3.9 Gyr前の初期の地球大気、酸素分子が増え始めた2.0 Gyr前の地球大気、0.8 Gyr前の地球大気、そして現在の地球大気。
UVの計算に加え、生物へのダメージがどうなるかを検討。
結果としては、生命が生まれる前に対応する3.9 Gyr前のF0V starまわりでは、初期の地球の6倍、現在の地球の3520倍のbiologically effective radiationを受ける。
生命が生まれる前に対応する時期の、GJ 581 (スペクトル型:M3.5V)まわりでは、300倍少ないbiologically effective radiationを受けた。
arXiv:1506.07202
Rugheimer et al. (2015)
Effect of UV Radiation on the Spectral Fingerprints of Earth-like Planets Orbiting M dwarfs
(M型星まわりの地球型惑星のスペクトルの特徴に紫外線放射が与える影響について)
概要
M型星(M dwarf)まわりの地球型惑星の大気とスペクトルのモデル化を、中心星からのUV放射を考慮して行った。ここでは、UVの活動レベルの変化がhabitability (居住可能性)に関係する物質のスペクトルの特徴に与える影響にフォーカスしている。ここでいうhabitabilityに関係する物質とは、H2O, O3, CH4, N2O, CH3Clである。
結果、O2とO3、還元種であるCH4のsignatureを検出するためには、早期型かつ活発なM dwarfが最適なターゲットであることが分かった。
0.76 μmの酸素分子の特徴は、晩期型のM dwarfまわりでは反射光から検出するのが難しくなる。理由はこの波長域での中心星からのフラックスが小さくなるためである。
他のbiosignatureであり、赤外領域に特徴を持つN2Oは、このモデルではUVの弱いM dwarfまわりでは検出可能な濃度になる。
CH3Clも検出可能であるが、N2Oの特徴と被る。
計算モデル
中心星のUV放射モデル
これまでのM dwarfでのUVモデルの問題点は、・複雑な磁場が彩層を加熱してそこからのUV放射をdriveするが、この効果は含まれていない
・UV領域でのopacity
・半経験則に基づくものであり、磁場の加熱と放射損失のエネルギーバランスを欠く
などがある。
この計算では、"active"なモデル (最も活発なM dwarfの観測に基づく)と、"inactive"なモデル (彩層無しの半経験的なモデル)を使用している。
惑星大気のモデル
計算には、EXO-P (Kaltenegger & Sasselov 2010)を使用。EXO-Pは岩石惑星の大気計算のための、1D radiative-convective atmosphereのモデル。
このコードは、1D気候モデル、1D光化学モデル、1D輻射輸送を含み、M dwarfまわりのハビタブルゾーン内の岩石惑星のスペクトルを計算することができる。
恒星からの輻射が大気に与える影響と、惑星から出て行く放射のスペクトルの両方を計算できる。
ここでは、上空~60 kmまでを100層に分割して計算。
平行平板大気を仮定し、惑星表面はランバート球を仮定。また、天頂角は60°とする。
大気の温度は、内側へ向かうフラックスと外側へ向かうフラックスの差と、各層における熱容量から計算する。
ある層における気温減率が断熱よりも大きくなった場合は、大気が平衡になるまで断熱にadjustする。
輻射輸送はtwo-stream近似を用い、大気のガスによる散乱を含んだものである。
また熱赤外線の波長域では、RRTM (rapid radiative transfer method)で計算。
雲の効果は陽には含まず、ボンドアルベドの値を変えることによって暗に含ませている。
また惑星の軌道は、平衡温度が地球と等しくなるように、中心星の輻射強度に応じて"1 AU相当"の距離に置く。
計算結果
温度構造
上空での温度逆転は、全て地球の温度逆転よりも弱い。M dwarfは2000-3000Åでlow UVであることが原因。そのためほぼ等温の成層圏になる。またUVが強い方が温度逆転が弱くなる。地球ではオゾンがUVを吸収して加熱源になるため、この結果は地球における結果を踏まえた直感には合わないものである。
弱いUV放射では、成層圏でのメタン、水分子による追加の吸収による加熱が存在する。
Lyman αの効果
M0型星での標準的なLyman αの値と、それを103, 106, 109, 1012, 1015倍した場合を比較する。これはフラックスで言うと、2.7 × 10-8 - 2.7 × 104 erg cm-2 s-1に対応する。
結果として、大気の温度構造や分子のmixing ratioに与える影響は非常に小さい。
1015倍のケースだけは、上空でのメタンと、大気全域でのN2Oの分解に効いてmixing ratioを下げる。
GJ 1214のLyman αの観測から、Lyman α強度の上限が判明している。その上限値に対応するモデルと、それを10-2 - 103倍までパラメータを振って計算。
この場合、メタンには変化があった。水は成層圏でわずかな変化があった。しかし酸素分子とオゾンはほぼ変化なし。
biosignatureについて
N2Oについては、M9型星のinactiveな場合は検出可。arXiv:1506.07200
Rugheimer et al. (2015)
UV Surface Environment of Earth-like Planets Orbiting FGKM Stars Through Geological Evolution
(地質学的進化を通じたFGKM星まわりの地球型惑星のUV表層環境)
概要
F, G, K, M型星の、1 AU相当の距離にある地球型惑星の表層環境について。用いた大気のモデルは、3.9 Gyr前の初期の地球大気、酸素分子が増え始めた2.0 Gyr前の地球大気、0.8 Gyr前の地球大気、そして現在の地球大気。
UVの計算に加え、生物へのダメージがどうなるかを検討。
結果としては、生命が生まれる前に対応する3.9 Gyr前のF0V starまわりでは、初期の地球の6倍、現在の地球の3520倍のbiologically effective radiationを受ける。
生命が生まれる前に対応する時期の、GJ 581 (スペクトル型:M3.5V)まわりでは、300倍少ないbiologically effective radiationを受けた。
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