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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1607.05255
Buie et al. (2016)
Surveying the Inner Solar System with an Infrared Space Telescope
(赤外線宇宙望遠鏡による内部太陽系のサーベイ)
解析の主な結果は,
Sentinel は計画されている 6.5 年のサーベイ観測期間中に,直径が 40 m より大きいすべての天体のうちの 50%を発見することが出来るだろう.また Sentinel は他の観測プロジェクトと同様に 140 m を超える天体のサーベイには効果的だが,より小さい天体の捜索に適用した場合はより有効である.
また,小さいロケット推進で人間が到達できるような小天体を発見する事に対しても有効だろうと考えられる.
また,地上観測と宇宙空間からの観測の相互作用についても考察した.
Sentinel が Large Synoptic Survey Telescope (LSST) と共同でサーベイを行った場合についての調査も行った.この場合,Sentinel + LSST の共同で,Sentinel の 6.5 年間の観測,LSST での 10 年間の観測期間を想定すると,直径 40 m 以上の小天体を 70%以上発見することが可能である.
宇宙空間からの赤外線領域での観測では,地球を周回する WISE 望遠鏡による NEA の検出が行われており, 200 個の NEA が発見されている (Mainzer et al. 2015).
現在の NEA サーベイでは,年間 2000 個程度の新規発見が続いている.この検出ペースは,2022 年に完成する予定の Large Synoptic Survey Telescope (LSST, Ivezi ́c et al. 2007, 2014) によって 2 桁増加すると予想される.
LSST では,10 年の間に 140 m より大きい,潜在的に危険な小惑星 (potentially hazardous asteroids, PHAs) の 82%あまりを検出できるとされている.しかし小さい天体の検出率はより低くなることが予想され,例えばツングースカ爆発の原因とされる 40 m 天体の検出率は 10 年で 34%と予想される.
Sentinel ミッション (Lu et al. 2013, Reitsema et al. 2014) は,金星と同じくらいの距離で太陽を周回して地球近傍小惑星を検出するために提案された赤外線宇宙望遠鏡の計画である.
ピクセルスケール:2.15 秒角/ピクセル
視野:2° × 5.5°
観測波長:5 - 10.2 µm
露出:180 秒
観測サイクル:28 日
軌道長半径:0.66 AU,太陽を中心とし,金星と類似した軌道
軌道離心率:0.091 (未確定)
軌道傾斜角:0.27° (未確定)
Sentinel Space Telescope という将来の赤外線宇宙望遠鏡に関する論文です.Sentinel には「歩哨,監視員」といった意味があり,金星の軌道に近い太陽を回る軌道に入り,そこから地球近傍小惑星をサーベイする計画はまさに歩哨といった感じがします.
特に定まった日本語訳はまだ無いようですが,下手に意訳せずそのまま「センチネル宇宙望遠鏡」あたりが妥当なところでしょうか.
arXiv:1607.05255
Buie et al. (2016)
Surveying the Inner Solar System with an Infrared Space Telescope
(赤外線宇宙望遠鏡による内部太陽系のサーベイ)
概要
地球に脅威を与えうる内部太陽系の天体のサーベイ観測について,計画されている Sentinel Space Telescope による将来的な観測を念頭に置いた解析を行った.Sentinel は赤外線宇宙望遠鏡であり,金星と同程度の軌道長半径で太陽を中心とした軌道に投入される計画の望遠鏡である.解析の主な結果は,
- 観測ターゲットにする天体のサイズ範囲は調査設計に影響を与える
- 観測ターゲットにする天体サンプルの軌道分布も調査設計に影響を与える
- サーベイ中の観測アーク長の最小値は,サーベイのパフォーマンスの重要な基準となる
- 今後 100 年のうちに地球に損害を与えうる天体を同定するという目標を達成するためには,直径が 15 - 30 m の小ささの天体を考慮するべきである
Sentinel は計画されている 6.5 年のサーベイ観測期間中に,直径が 40 m より大きいすべての天体のうちの 50%を発見することが出来るだろう.また Sentinel は他の観測プロジェクトと同様に 140 m を超える天体のサーベイには効果的だが,より小さい天体の捜索に適用した場合はより有効である.
また,小さいロケット推進で人間が到達できるような小天体を発見する事に対しても有効だろうと考えられる.
また,地上観測と宇宙空間からの観測の相互作用についても考察した.
Sentinel が Large Synoptic Survey Telescope (LSST) と共同でサーベイを行った場合についての調査も行った.この場合,Sentinel + LSST の共同で,Sentinel の 6.5 年間の観測,LSST での 10 年間の観測期間を想定すると,直径 40 m 以上の小天体を 70%以上発見することが可能である.
Sentinel Space Telescope
地球近傍小惑星サーベイと Sentinel Space Telescope
地球近傍小惑星 (near earth asteroids, NEAs) は地球への衝突の危険性のある天体群である.NEA のサーベイプロジェクトとしては,NEAT (Pravdo et al. 1999),LINEAR (Stokes et al. 2000),Pan-STARRS (Jedicke et al. 2003, 2006) と,Catalina Sky Survey (カタリナ・スカイサーベイ,Larson et al. 2007) などがある.宇宙空間からの赤外線領域での観測では,地球を周回する WISE 望遠鏡による NEA の検出が行われており, 200 個の NEA が発見されている (Mainzer et al. 2015).
現在の NEA サーベイでは,年間 2000 個程度の新規発見が続いている.この検出ペースは,2022 年に完成する予定の Large Synoptic Survey Telescope (LSST, Ivezi ́c et al. 2007, 2014) によって 2 桁増加すると予想される.
LSST では,10 年の間に 140 m より大きい,潜在的に危険な小惑星 (potentially hazardous asteroids, PHAs) の 82%あまりを検出できるとされている.しかし小さい天体の検出率はより低くなることが予想され,例えばツングースカ爆発の原因とされる 40 m 天体の検出率は 10 年で 34%と予想される.
Sentinel ミッション (Lu et al. 2013, Reitsema et al. 2014) は,金星と同じくらいの距離で太陽を周回して地球近傍小惑星を検出するために提案された赤外線宇宙望遠鏡の計画である.
Sentinel Space Telescope の想定スペック
望遠鏡の口径:50 cm (遮蔽なし),受動的に 60 K まで冷却ピクセルスケール:2.15 秒角/ピクセル
視野:2° × 5.5°
観測波長:5 - 10.2 µm
露出:180 秒
観測サイクル:28 日
軌道長半径:0.66 AU,太陽を中心とし,金星と類似した軌道
軌道離心率:0.091 (未確定)
軌道傾斜角:0.27° (未確定)
Sentinel Space Telescope という将来の赤外線宇宙望遠鏡に関する論文です.Sentinel には「歩哨,監視員」といった意味があり,金星の軌道に近い太陽を回る軌道に入り,そこから地球近傍小惑星をサーベイする計画はまさに歩哨といった感じがします.
特に定まった日本語訳はまだ無いようですが,下手に意訳せずそのまま「センチネル宇宙望遠鏡」あたりが妥当なところでしょうか.
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