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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1607.05248
Vanderburg et al. (2016)
Two Small Planets Transiting HD 3167
(HD 3167 をトランジットする 2 つの小さい惑星)

概要

ケプラー K2 ミッションにより,明るい (V = 8.94) 近傍の G 型星 HD 3167 まわりに,2 つのスーパーアースサイズのトランジット惑星を発見した.

中心星は,複数のトランジット惑星を持つ恒星の中でも最も太陽系に近い部類に入る (45.8 pc).そのため,フォローアップ観測の良いターゲットである.また,中心星は彩層活動が活発ではなく,時点も遅いため,視線速度法を用いた惑星の質量測定のための観測にも適している.将来的なジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope, JWST) での観測対象としても適している.

パラメータ

HD 3167
別名:EPIC 220383386, HIP 2736
等級:8.94
質量:0.88 太陽質量
半径:0.83 太陽半径
金属量:[M/H] = 0.00
有効温度:5367 K
距離:45.8 pc
HD 3167b
軌道周期:0.959627 日
惑星半径:1.585 地球半径
平衡温度:1560 K
HD 3167c
軌道周期:29.8452 日
惑星半径:2.89 地球半径
平衡温度:500 K

※惑星の平衡温度は惑星のアルベドが 0 - 0.7 まで一様に分布しているとし,また完全な熱の再分配が行われていることを仮定している.

議論

視線速度観測の可能性

主星は明るく近い恒星である.また自転速度は 2 km s-1 未満であり,活動度は低い.

HD 3167b が岩石惑星であり,質量が 4 地球質量の場合は,恒星の視線速度は 3 m s-1 となる.また,HD 3167c の場合は質量が 5 地球質量とすると視線速度は 1 m s-1,15 地球質量であれば 3 m s-1 であり,この大きさであれば現在の分光観測で検出可能である.

また,HD 3167c は大気の特徴付けのためのフォローアップ観測の対象に適しており,その他の GJ 1214b や GJ 3470b, かに座 55 番星e などに次ぐレベルで観測しやすいと予想される.

惑星系の特徴

これまでに知られている多くの複数惑星系とは異なり,この惑星系の 2 つの惑星の距離は離れている.各惑星の軌道周期の比率 Pb/Pc = 31.1 という値は,他の惑星系での値と比べても上位 1%に入る (Coughlin et al. 2015).従ってこの系には,他にもトランジットを起こさない惑星が存在する可能性があり,視線速度で検出が出来るかもしれない.

HD 3167b は超短周期 (Ultra-short period, USP, Sanchis-Ojeda et al. 2014) 惑星である.
Sanchis-Ojeda et al. (2014) によると,USP 惑星は 2 地球半径より小さい傾向がある.これは,強い日射によって外層のエンベロープを失ってしまったと考えられ,HD 3167b は岩石が主要成分であると考えられる.

また,HD 3167b は周期が短いため,HD 3167c の大気観測をしている最中に HD 3167b のトランジットが被る可能性がある (de Wit et al. 2016 などで類似の例が報告されている).

なお,トランジットイベントが惑星であると確定させる手段には,統計的検証方法 (Morton et al. 2015) を用いている.HD 3167b, c 両惑星の偽陽性確率 (false positive probability, FPP) は 10-3, 10-4 である.この 2 惑星は K2 の field 8 の視野内に位置しているが,この領域は高銀緯であるため恒星の密度が低い.そのため背景星の混入が少なくなっている.

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