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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1607.08147
Venot et al. (2016)
Influence of Stellar Flares on the Chemical Composition of Exoplanets and Spectra
(恒星のフレアの系外惑星の化学組成とスペクトルへの影響)

概要

3000 個を超える系外惑星がこれまでに検出され,今後はより多くの系外惑星の分光観測が行われることになる.将来の観測機器 (JWST,E-ELT,PLATO,Ariel など) によって,現在得られているものよりも詳細な惑星の分光学的なデータが供給されることが期待される.
※注釈
JWST:James Webb Space Telescope (ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡),2018 年秋に打ち上げが予定されている赤外線宇宙望遠鏡.

E-ELT:European Extremely Large Telescope,2024 年観測開始予定の大型地上望遠鏡.複数の大型の鏡を組み合わせ,口径 39.3 m の望遠鏡となる予定.定まった日本語名称は無いが,「欧州超大型望遠鏡」あたり?

PLATO:Planetary Transits and Oscillations of stars,2024 年打ち上げ予定の,系外惑星のトランジットや恒星の変動を観測するための宇宙望遠鏡.ESA (European Space Agency, 欧州宇宙機関) の宇宙望遠鏡.直訳すると「惑星のトランジットと恒星の振動」.

Ariel:Atmospheric Remote-Sensing Infrared Exoplanet Large-survey,ESA が計画している宇宙望遠鏡.ESA の長期計画 Cosmic Vision において,Medium Class の 4 番目 (M4) の採用候補となっている宇宙望遠鏡の計画 (未決定).なお PLATO は M3 に採用された計画.直訳すると「大気リモートセンシング赤外線系外惑星大規模探査」あたり?
将来的な観測から得られる観測データから惑星大気や力学,化学組成などの情報を分析する際は,データを注意深く処理する必要がある.
例えば恒星の大気の擾乱があり,これは惑星の組成の推定やスペクトルへの影響が有り得る.また,惑星が定常状態の大気を持っているという仮定から,誤った推定を行う可能性もある.

ここでは,恒星のフレアイベントによる擾乱に注目した.
恒星でのフレアは,系外惑星大気に衝突する光子フラックスを大きく上昇させることになる.場合によっては,とりわけ M 型星においては,この光子フラックスの突然の上昇は数時間継続する.そのため,恒星フレアが惑星大気の化学組成に影響を及ぼすかどうか,また観測されるスペクトルが変化するか考察を行った.


1 次元の熱・光化学モデルを用い,AD Leo (しし座AD星) なわりの 2 つの惑星候補が持つと考えられる中性の大気組成への適用を行った.

2 つの惑星を中心星から別の距離に置き,大気温度をそれぞれ 412 K と 1303 K とした.AD Leo はフレアの発生が観測されている活発な恒星であり,フレアの分光観測データをモデルに利用している.

計算の結果,入射する光子フラックスは,水素原子やアンモニア等の重要な化学種を,~ 1 bar の深さまで変化させることが判明した.これは仮にトランジット中であれば,惑星のスペクトルを最大で 150 ppm 変化させる.

また,どちらの惑星のモデルでも,フレア前の定常状態とは大きく異なるフレア後の定常状態があることも分かった.

これらの変化は,もし十分にシグナル・ノイズ比が小さい観測が行われた場合は,現在の技術でも将来の技術でも検出することが出来ると考えられる.

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