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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1608.06827
Turbet et al. (2016)
The habitability of Proxima Centauri b II. Possible climates and Observability
(プロキシマ・ケンタウリb の居住可能性 II. あり得る気候状態と観測可能性)

概要

太陽に最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーン内に,最小質量 1.3 地球質量の惑星が視線速度法で検出された (Anglada-Escudé et al. 2016).このプロキシマb は,過去に高温な時期を経験し,また中心星は活発ではあるが,表面の居住可能性を保つことが出来るだけの揮発性物質を持つことが出来ると考えられている (Ribas et al. 2016).

ここでは,三次元の全球気候モデル (Global Climate Model, GCM) を用いて,プロキシマb の大気運動と水の循環のシミュレーションを行った.自転モードとしては,1 : 1 の同期回転,2 : 3 の共鳴状態という,取りうる 2 つのケースでシミュレーションを行った.

また,制約が付けられていない水の保有量と,大気の温室効果についてはパラメータ化した.なお二酸化炭素と窒素大気を想定している.

その結果,広い大気組成の範囲内で,惑星表面には液体の水が存在できるという結果が得られた.
例えば,地球の海水量の 60%の水を持ち,自転と公転が同期している場合を想定した場合,1 bar の気圧の窒素をの存在を仮定すると,常に表面に液体の水が存在することが示された.これは温度の高い恒星直下点でも同様である.

また,二酸化炭素分圧が 1 bar 以上であれば,水は惑星の全体を覆うことになる.

水の量が少ない場合は,水は夜側の半球にトラップされ,温室効果ガスの量次第では氷河か湖を形成する.

同期回転していないケースでは,水が多い条件の場合,完全凍結のスノーボール状態にならないためには,最低でも二酸化炭素分圧が ~ 10 mbar である必要がある (~ 1 bar の窒素大気を仮定した場合).また,惑星が乾燥して水が少ない環境であった場合,水が極域に極冠として固定されないためには,~ 0.5 bar の二酸化炭素分圧が必要である.


さらに,GCM を用いて惑星の反射・放射スペクトルと位相曲線を生成した.これについても,異なる自転状態と表面の揮発性物質組成の場合それぞれのケースで生成した.

その結果,プロキシマb の大気の特徴付けは,今後の大型望遠鏡 (European Extreme Large Telescope, E-ELT) による,10-7 のコントラストの直接撮像で行うことが可能だろうと予想される.

プロキシマb の予想される等級からは,高分散分光観測と,水・酸素・二酸化炭素を含む分子の特徴の探査が可能であると考えられる.

熱放射の位相曲線を捉えることは困難であるが,ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡では可能になるかもしれない.
また,プロキシマb は将来の赤外線干渉計観測の良いターゲットである.今後 10 年以内に,プロキシマb を撮像観測し,惑星がハビタブルかどうかを決定できるかもしれない.



引き続き,プロキシマb の居住可能性についての論文です.
この論文は直前の Ribas et al. (2016) と続きになっている論文です.

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