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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1608.06908
Coleman et al. (2016)
Exploring plausible formation scenarios for the planet candidate orbiting Proxima Centauri
(プロキシマ・ケンタウリを公転する惑星候補のもっともらしい形成過程の探求)

概要

プロキシマ・ケンタウリまわりに発見された惑星プロキシマb の,可能な形成シナリオ 4 つを提案する.

研究の目的は,各形成シナリオ間で系の惑星の多重性,プロキシマb の水や揮発性物質の保有量,軌道離心率にどのような違いが出るかを検証し,今後のさらなる観測でそのシナリオを検証する準備をすることである.

考えられるプロキシマb の形成シナリオは,
  1. 原始惑星系円盤のガスが晴れた後に,惑星の種 (planetary embryo) と微惑星が局所的に集まった箇所で巨大衝突を介してその場形成された
  2. 複数の惑星の種が形成され,ガス円盤内で互いに衝突して形成された
  3. 1 つの惑星の種が遠方で形成し,ペブル (pebble, ミリ〜センチ程度の固体粒子) や微惑星を膠着しながら内側に移動してきた
  4. スノーラインよりも内側でペブル集積によって形成された
というものである.

1. のシナリオの場合,プロキシマb は検出可能な程度の軌道離心率を持っていることが期待され,また複数惑星系になる可能性が高い.

2. のシナリオの場合も複数の惑星が形成される可能性が高い.複数惑星系であった場合,惑星は平均運動共鳴に捕獲されているかもしれない.また,この場合は惑星への物質の降着はスノーラインの外側で起きるものが主要になるため,水を多く獲得し,海洋惑星 (ocean planet) になる可能性がある.

3. のシナリオの場合,プロキシマb は軌道離心率が小さい軌道を持つことが期待される.また,この場合も水を多く獲得しうるため,海洋惑星になっている可能性がある.

4. のシナリオの場合も,プロキシマb は軌道離心率が小さいことが期待される.この場合はスノーラインより内側で水は気体で存在するため,惑星に降着する物質は岩石が多く,乾燥した環境の惑星になると期待される.


今後の観測でプロキシマb やプロキシマ・ケンタウリ系の詳細が判明すれば,惑星の形成過程への情報ももたらされると考えられる.

プロキシマ・ケンタウリ系が複数惑星系であり,プロキシマb の水保有量が中程度であれば,1. のシナリオが有力である.複数惑星系でプロキシマb が海洋惑星であれば,2. が有力である.
軌道の形状からは,軌道離心率がやや大きい場合は 1. もしくは 2. だと考えられ,逆に円軌道であれば 3. もしくは 4. だと予想される.また,プロキシマb が水を持ち,プロキシマ・ケンタウリまわりに短周期の惑星が他に存在しないのであれば,3. もしくは 4. である可能性が高い.

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