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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1610.01170
Lopez et al. (2016)
Born Dry in the Photo-Evaporation Desert: Kepler's Ultra-Short-Period Planets Formed Water-Poor
(光蒸発砂漠内で乾燥した状態で生まれる:ケプラーの超短周期惑星は水が欠乏した状態で形成される)

概要

近年,軌道周期が 1 日未満の超短周期惑星 (ultra-short-period planet, USP planet) が多く発見されている.
これらは典型的には 1.5 地球半径よりも小さい半径を持ち,岩石主体の組成であることを示唆する.この事実は,軌道周期が 100 日程度までの位置に分布する惑星の特徴とは対照的である.軌道周期が 100 日程度までに位置する惑星の場合は 2 地球半径より大きい,低密度の海王星より軽い程度の惑星 (sub-Neptune) であり,その大きさを説明するためにはガスのエンベロープを持っている必要がある.

しかし超短周期軌道にある惑星は,強い光電離輻射を受けるため,ガスを多く持つ sub-Neptune は大気散逸に対して弱いと考えられる.

ここでは,惑星の進化モデルを用い,岩石主体の超短周期惑星は,水素・ヘリウム主体のエンベロープを持つ sub-Neptune の残骸として容易に形成されうることを示した.従って,超短周期軌道における sub-Neptune サイズの惑星の欠乏は,惑星大気の光蒸発の自然な帰結である.

しかし惑星が高金属量で水を多く持つ状態で形成された場合,しばしばガスのエンベロープを保持することが可能となる.この状態だと惑星の半径は 2 地球半径より大きくなるのが一般的だが,これは観測結果と非整合的である.
従って,超短周期惑星は雪線 (snow line) よりも内側で,水が欠乏した状態で形成されたと考えられる

また,このモデルをかに座55番星e に対して応用し,惑星の組成・進化に対して考察を行った.

モデル

惑星の内部構造と進化モデルを用いている.
大気散逸はエネルギー律速散逸モデルを適用した.エネルギー律速散逸モデルではエネルギーの変換効率がパラメータとなるが,これは ~ 10%とするのが妥当と考えられる.

大気に重元素が多い場合,大気の平均分子量が大きくなるためスケールハイトは小さくなる.また,重元素からの冷却 (line cooling) が効くため,大気散逸率が低下する.例えば,もし大気が純粋な水蒸気で構成される場合は,エネルギーの変換効率は ~ 1%程度となる.

結果

  • 太陽組成の水素・ヘリウムエンベロープを持つ低質量惑星で,地球の 1000 倍の輻射を受けるものは,大気の光蒸発に著しく弱い.超短周期軌道には,低金属量の大気を持つ巨大ガス惑星は存在しない.
  • その結果,低金属量エンベロープの光蒸発は超短周期軌道での sub-Neptune 惑星の欠乏 ("evaporation desert") を自然に説明する.
  • しかし反対に,高金属量もしくは水蒸気主体のエンベロープは光蒸発に耐えうる.したがってそのような惑星が存在した場合,超短周期軌道であってもエンベロープを保持することができ,半径は 2 地球半径以上となる.
  • 2 - 4 地球半径の超短周期惑星はケプラーによる観測では発見されていない.従って超短周期惑星は水の欠乏した材料から形成されたということが示唆される.
  • かに座55番星e はおそらくこのルールの例外である.しかし現在の観測データではその起源は解釈できず,裸の岩石惑星なのか水の多い sub-Neptune 惑星なのかは今後の研究を待つ必要がある.

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