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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1507.01343
Thiabaud et al. (2015)
Elemental ratios in stars vs planets
(恒星と惑星の元素組成比)

概要

惑星形成モデルと組み合わせた化学モデルを用い、太陽質量、太陽光度の恒星まわりでの恒星と惑星の組成を数値計算した。
計算したのは、代表的かつ重要な組成比である、Fe/Si, Mg/Si, C/O。
恒星のパラメータには、観測からデータが得られている18の恒星の組成比を用いた。

計算の際は、ギブスのエネルギー最小化法の仮定を用い、惑星の組成を計算した。
また、組成比Fe/Si, Mg/Si, C/Oは、岩石惑星、氷惑星、ガス惑星それぞれで計算した。

結果、Fe/Si, Mg/Siは恒星の組成と同一だった。
C/Oは恒星の組成との相関が弱かった。

計算モデル

過去の論文で用いたモジュールを使用。

円盤は 1 + 1D計算。まず鉛直方向を解き、その後鉛直方向の平均値を用いて半径方向を解く。

惑星形成については、月質量の10個の原始惑星を置く。初期配置は、対数スケールで等間隔に、 0.04 - 30 AUに配置する。
また微惑星サイズは ~1 kmとする。このサイズでは内側へのドリフトは無視できる。

計算モデルには、
・固体惑星コアへの微惑星の降着
・ガス降着。限界コア質量を超えたら暴走的にガスを獲得する
・Type I, II 惑星移動を引き起こす、円盤と惑星の相互作用
・微惑星の軌道を励起する、惑星と微惑星の相互作用
・平均運動共鳴や惑星同士の押し合いを引き起こす、惑星間の重力的相互作用
が含まれている。

結果について

C/Oの値について、これまでの研究(Madhusudhan et al. 2012)と異なり、恒星のC/Oが大きくなっても惑星のC/Oは大きくならない。
これは、Moriarty et al. (2014)で示唆されている、微惑星の組成は進化しないという仮定による。
また、揮発性物質を含んだ計算になっていることも、結果の違いにつながっている。








arXiv:1507.01024
Bakos et al. (2015)
HATS-7b: A Hot Super Neptune Transiting a Quiet K Dwarf Star
(HATS-7b: 静穏なK型星をトランジットするホットスーパーネプチューン)

概要

0.120木星質量、0.563木星半径、軌道周期 3.1853日の"Super-Neptune"を発見した。

中心星は、0.849太陽質量、0.815太陽半径、[Fe/H] = +0.250の、K dwarfである。
光度変動が少なく、視線速度の変動も低い。
スペクトルには彩層活動の証拠は見られていない、静穏な恒星である。

理論モデルによると、発見された惑星HATS-7bは、H, Heの割合が 18% (岩石+金属コアと水素・ヘリウムエンベロープを持つ場合)、あるいは 9% (氷コアと水素・ヘリウムエンベロープを持つ場合)である。

土星のH, Heの質量比は 75%であり、HATS-7bは土星とは組成が大きく異なる。
HATS-7bの組成比はむしろ海王星や天王星に近いものである。
そのため"スーパーネプチューン"、大型の海王星と呼べる存在である。








arXiv:1507.01609
Raetz et al. (2015)
WASP-14 b: Transit Timing analysis of 19 light curves
(WASP-14b: 19の光度曲線のトランジットタイミング解析)

概要

ヨーロッパとアジアの5つの天文台にある6つの望遠鏡を用いて得た 13回のトランジットイベント、合計 19セットの光度曲線を解析し、惑星、恒星とそれらの幾何学的配置を決定した。
多くのパラメータは発見論文(Joshi et al. 2009)を支持するものであった。

また、トランジット時刻の変動 (Transit Timing Variation, TTV)は検出されなかった。

WASP-14bについて

パラメータ

惑星は、1.240木星半径、7.59木星質量であり、平均密度は木星の 3.73倍である。平衡温度は 1872 K。

軌道長半径は 0.037 AU、軌道周期は 2.2437764日、軌道離心率は 0.087。
軌道長半径が小さい割には軌道離心率が大きく、通常ならば潮汐散逸で円軌道化されるはずである。

特徴など

軌道離心率がやや大きい理由については、
・他の天体が擾乱を与えている
・この系での潮汐による円軌道化のタイムスケールが、系の年齢と同程度か長い
というものが考えられる。
また、
・最近になって現在の軌道になった
ということも考えられる。

Rossiter-McLaughlin effect (ロシター効果)から、恒星の自転軸と惑星の公転軸の有意なズレが検出されており、その値は -33.1°である(Johnson et al. 2009)。

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