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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1612.04372
Brewer et al. (2016)
C/O and O/H Ratios Suggest Some Hot Jupiters Originate Beyond the Snow Line
(C/O 比と O/H 比はいくつかのホットジュピターがスノーライン外側に起源を持つことを示唆する)

概要

惑星を持っている恒星の元素組成は,惑星が形成される原始惑星系円盤の初期の組成の指標としての機能を持つ.

円盤の温度分布は,様々な化合物が凝縮する場所に影響を与える.これらの化学的に異なる領域は円盤寿命の間に移動し混合するものの,円盤内で形成される惑星の組成に痕跡を残す.そのため,ホットジュピターの大気組成をその中心星の元素組成と比べた場合,その惑星の形成と移動プロセスに対して制約を与えられる可能性がある

ここでは,ホットジュピターを持つ 10 の系に対して,恒星と惑星それぞれの炭素と酸素の存在度を比較した.もし惑星が大量の微惑星集積を伴うコア降着で形成され,その後に円盤内を移動してきたのであれば,ホットジュピター大気の O/H 比は恒星より明らかに大きくなり,C/O 比は恒星より小さくなるはずである.

しかし,現在報告されているホットジュピターの元素存在度は,一般的には恒星より大きな C/O 比を持つが,現在までに報告されている O/H と C/O の値については,起源について確実な結論を下すには大きすぎる不定性を持つという事が判明した.

しかし HD 209458b の場合は,中心星 (HD 209458) と比べた時の高い C/O 比の値と少ない O/H 比の値から,この惑星はスノーラインのずっと遠方に起源を持ち,惑星が持つ質量の大部分はガス降着で獲得したものであり,またその後の円盤が失われた状態での惑星移動があったという事を示唆する結果が得られた

元素存在度に関しては,将来のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡での進化した観測が,より精密な測定を可能にすると期待される.また,現在わずかに見られる傾向を元にすると,ホットジュピターうちの多くの割合は,HD 209458b と同様に,主星と比較して C/O 比が大きく,O/H 比は低い値を示すであろうということを予測する.

研究背景

原始惑星系円盤の中で,氷と水蒸気の境界線となるのがスノーラインである.
スノーラインの内側では,少量の酸素はケイ酸マグネシウムに結合しているが,その他はガス円盤と恒星の酸素組成はほぼ同じである.

数 AU の場所に位置する水のスノーラインと ~ 10 AU に位置するの二酸化炭素のスノーラインの間では,酸素は水氷の中に存在している.しかし一方で,炭素の凝縮物はエネルギー的に有利ではない.そのため,この領域のガス成分は酸素が少なく,しかし炭素は豊富であり,C/O 比は恒星の値および円盤の初期の値よりも大きくなる (Piso et al. 2015など).

二酸化炭素のスノーラインと,~ 30 AU に位置する一酸化炭素のスノーラインの間は,炭素の二倍の量だけ酸素が凝縮し,さらにガスの O/H 比が減少し C/O 比が増加する.
一酸化炭素のスノーラインの遠方は,炭素と酸素は恒星の存在度のパターンを反映した固体状態にあり,ガスは金属成分が無くなった状態になると考えられる.

惑星が円盤内のどこでその質量の大部分を降着したのか,また固体とガスの降着の割合は,形成されるガス惑星の大気組成に影響を与える.
もしホットジュピター大気の C/O 比が中心星の値より大きくなっていた場合,この惑星は水のスノーライン以遠で形成されたものであると考えられる.ガス惑星の C/O 比が大きく,そして [O/H] が主星より小さい場合,この惑星は大気を水のスノーライン以遠で取り込んで,円盤が無くなった後の軌道移動を経験したと考えられる.

その一方,[O/H] が中心星と同程度もしくは大きい値を持つガス惑星の場合,その惑星はかなりの割合の固体を集積したか,あるいは円盤の中を早い段階で中心星近くに移動してきたかであると考えられる (Madhusudhan et al. 2014).

木星と土星の場合,炭素の存在度は太陽の光球面と比べてファクターで 3.5 - 7 大きい (Pontoppidan et al. 2014).しかしこれらの惑星は温度が低いため,水の存在量 (言い換えれば酸素の存在量) の測定は直接サンプリングが必要である (Wong et al. 2004).
非常に強い輻射を受けているホットジュピターでは太陽系内の冷たいガス惑星とは状況が大きく異なり,10 個の惑星で水が大気中から明確に検出されている (Kreidberg et al. 2015など).

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