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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1701.00828
Hardy et al. (2017)
The Atmosphere and Interior Structure of HAT-P-13b from Spitzer Secondary Eclipses
(スピッツァーの二次食観測からの HAT-P13b の大気と内部構造)
この惑星は,詳細な離心率の観測によって惑星の second Love number k2 に制約を与えられるような軌道配置をした 2 惑星系にある.そのため,この制限から惑星の内部構造のモデルにも制約を与えることができる.
惑星の二次食の観測データから ecosω を直接測定し,過去に報告されている視線速度のデータと組み合わせ,惑星の軌道モデルを精緻化した.さらにそこから, k2 取りうる値の範囲の見積もりの改善をした.
二次食の位相は 0.49154 ± 0.00080 と 0.49711 ± 0.00083 で,これに対応する e cos ω の推定値はそれぞれ −0.0136 ± 0.0013 と −0.0048 ± 0.0013 であった.
先行研究の推定に基づき k2 の推定を行った結果,値は 0.81 ± 0.10 となった.これは過去のモデルにおける,取りうるコア質量 (固体コアが無いとするモデルも含む) の範囲内での下限値と整合的である.
この異例な結果は,この惑星の内部モデルと,そのモデルを実現可能にする力学的推定の両方に疑問を投げかけるものである.
また二次食の深さは,3.6 µm で 0.081 ± 0.008%,4.5 µm で 0.088 ± 0.028%であった.これらの測光観測の結果は,太陽組成の大気であり,いかなる温度逆転層も無いとする大気モデルと非一意的に整合的である.
小さい方である b は,中心星の近くを 2.91 日周期で公転しており.質量は 0.85 木星質量,半径は 1.28 木星半径である (Winn et al. 2010).
HAT-P-13b の推定される平衡温度は 1626 K である.この値は,惑星のボンドアルベドがゼロで,かつ一様な熱の分配を仮定した場合である.
この惑星の軌道は,無視できない大きさの軌道離心率 0.013 を持つ (Bakos et al. 2009).
より重い外側の惑星 HAT-P-13c は,軌道離心率 0.66 の高軌道離心率軌道を持ち,周期は 446 日である.こちらの惑星は中心星から遠いため,トランジットの観測は難しく,またトランジットの検出に必要な観測期間も長く,めったに起こらない.現在までに, HAT-P-13c のトランジットは観測されていない.
このような系では,外側の惑星によって内側の惑星の軌道に与えられる影響の割合が,内側の惑星の潮汐変形散逸によって失われる割合とバランスしていると考えられる.この平衡潮汐理論に基づくと,軌道離心率の詳細な観測から second Love number の値を直接得ることが出来る.
この数は,惑星の重力場が外部ポテンシャルにどう応答するかを記述するものである.これによって,惑星の内部構造,特に惑星質量の中心集中度に制限を与えることが出来る.
arXiv:1701.00828
Hardy et al. (2017)
The Atmosphere and Interior Structure of HAT-P-13b from Spitzer Secondary Eclipses
(スピッツァーの二次食観測からの HAT-P13b の大気と内部構造)
概要
ホットジュピター HAT-P-13b の二次食 (secondary eclipse) を,スピッツァー宇宙望遠鏡の 3.6, 4.5 µm の波長域で観測した.この惑星は,詳細な離心率の観測によって惑星の second Love number k2 に制約を与えられるような軌道配置をした 2 惑星系にある.そのため,この制限から惑星の内部構造のモデルにも制約を与えることができる.
惑星の二次食の観測データから ecosω を直接測定し,過去に報告されている視線速度のデータと組み合わせ,惑星の軌道モデルを精緻化した.さらにそこから, k2 取りうる値の範囲の見積もりの改善をした.
二次食の位相は 0.49154 ± 0.00080 と 0.49711 ± 0.00083 で,これに対応する e cos ω の推定値はそれぞれ −0.0136 ± 0.0013 と −0.0048 ± 0.0013 であった.
先行研究の推定に基づき k2 の推定を行った結果,値は 0.81 ± 0.10 となった.これは過去のモデルにおける,取りうるコア質量 (固体コアが無いとするモデルも含む) の範囲内での下限値と整合的である.
この異例な結果は,この惑星の内部モデルと,そのモデルを実現可能にする力学的推定の両方に疑問を投げかけるものである.
また二次食の深さは,3.6 µm で 0.081 ± 0.008%,4.5 µm で 0.088 ± 0.028%であった.これらの測光観測の結果は,太陽組成の大気であり,いかなる温度逆転層も無いとする大気モデルと非一意的に整合的である.
研究背景
HAT-P-13 系について
HAT-P-13 は G 型星で,HAT-P-13b と c の 2 つの惑星を持つ (Bakos et al. 2009).小さい方である b は,中心星の近くを 2.91 日周期で公転しており.質量は 0.85 木星質量,半径は 1.28 木星半径である (Winn et al. 2010).
HAT-P-13b の推定される平衡温度は 1626 K である.この値は,惑星のボンドアルベドがゼロで,かつ一様な熱の分配を仮定した場合である.
この惑星の軌道は,無視できない大きさの軌道離心率 0.013 を持つ (Bakos et al. 2009).
より重い外側の惑星 HAT-P-13c は,軌道離心率 0.66 の高軌道離心率軌道を持ち,周期は 446 日である.こちらの惑星は中心星から遠いため,トランジットの観測は難しく,またトランジットの検出に必要な観測期間も長く,めったに起こらない.現在までに, HAT-P-13c のトランジットは観測されていない.
惑星ラブ数の推定
この系は,惑星の配置から HAT-P-13b の内部構造の測定ができるという点で特徴的である.このような系では,外側の惑星によって内側の惑星の軌道に与えられる影響の割合が,内側の惑星の潮汐変形散逸によって失われる割合とバランスしていると考えられる.この平衡潮汐理論に基づくと,軌道離心率の詳細な観測から second Love number の値を直接得ることが出来る.
この数は,惑星の重力場が外部ポテンシャルにどう応答するかを記述するものである.これによって,惑星の内部構造,特に惑星質量の中心集中度に制限を与えることが出来る.
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