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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1701.07257
Birkby et al. (2017)
Discovery of water at high spectral resolution in the atmosphere of 51 Peg b
(ペガスス座51番星b の大気中の高スペクトル分解能での水の発見)
観測は高分散 (R ~ 100000),観測波長帯は 3.2 µm で,CRIRES/VLT を用いて行われた.
惑星の 4.23 日周期の軌道のうち,惑星が外合した後の 4 時間の間の昼側の大気における水の吸収の特徴を捉えるための視線速度観測を行った.
その結果,水による分子吸収の特徴を,5.6 σ の確度で検出した.
系の速度は - 33 km s-1 で,これは主星のペガスス座51番星と一致した.対応する軌道速度は 133 km s-1 であった.
これは惑星質量が 0.476 木星質量であることに対応し,すなわちこの惑星は木星型と海王星型の遷移境界に位置することを意味している.
また,惑星軌道の軌道傾斜角を 70°〜82.2°の間に制限した.さらに,これまでの 1994 年から 2013 年までに渡る 639 セットの恒星の視線観測データから,惑星軌道パラメータのアップデートを行った.その結果,軌道がエキセントリックである (軌道離心率が大きい) という明確な証拠は無かった.
惑星大気からの,その他の炭素を含んだ主要な分子 (メタン,二酸化炭素) による明確な吸収や放射の証拠は検出されなかった.なお,一酸化炭素に関しては今回観測した波長域ではスペクトルを持たないため検出はできない.
今回の観測で探査された領域の惑星大気は,温度-圧力分布において温度逆転はしていなかった.
最も深い吸収は,観測された相対的なコントラストで 0.9 × 10-3 であった.これは角距離 3 ミリ秒角における中心星の連続波フラックスに対しての値である.
今回の結果は,Brogi et al. (2013) による K バンドでの分子の吸収の暫定的な報告と整合的なものである.
メタンや二酸化炭素は検出できなかった.これは存在度が低いか,あるいはモデルのテンプレートを作成するのに用いたデータの中に不完全さがあるのが理由かもしれない.
今回の観測では,この惑星の自転速度の上限値に < 5.8 km s-1 を与えた.
また,可視光での観測では反射光による独立した軌道の解を得ることが可能になるだろう.そしてもしその結果が赤外線観測で得られたものと違う場合,大気中におけるオフセットしたホットスポットの存在が,赤外線観測の結果を説明するのに必要になるだろうと考えられる.
arXiv:1701.07257
Birkby et al. (2017)
Discovery of water at high spectral resolution in the atmosphere of 51 Peg b
(ペガスス座51番星b の大気中の高スペクトル分解能での水の発見)
概要
初めて発見された系外惑星であるペガスス座 51 番星b の,昼側からのスペクトル中における水の吸収の特徴を検出し,この恒星-惑星系が double-lined spectroscopic binary (二重線分光連星) であることを確認した.観測は高分散 (R ~ 100000),観測波長帯は 3.2 µm で,CRIRES/VLT を用いて行われた.
惑星の 4.23 日周期の軌道のうち,惑星が外合した後の 4 時間の間の昼側の大気における水の吸収の特徴を捉えるための視線速度観測を行った.
その結果,水による分子吸収の特徴を,5.6 σ の確度で検出した.
系の速度は - 33 km s-1 で,これは主星のペガスス座51番星と一致した.対応する軌道速度は 133 km s-1 であった.
これは惑星質量が 0.476 木星質量であることに対応し,すなわちこの惑星は木星型と海王星型の遷移境界に位置することを意味している.
また,惑星軌道の軌道傾斜角を 70°〜82.2°の間に制限した.さらに,これまでの 1994 年から 2013 年までに渡る 639 セットの恒星の視線観測データから,惑星軌道パラメータのアップデートを行った.その結果,軌道がエキセントリックである (軌道離心率が大きい) という明確な証拠は無かった.
惑星大気からの,その他の炭素を含んだ主要な分子 (メタン,二酸化炭素) による明確な吸収や放射の証拠は検出されなかった.なお,一酸化炭素に関しては今回観測した波長域ではスペクトルを持たないため検出はできない.
今回の観測で探査された領域の惑星大気は,温度-圧力分布において温度逆転はしていなかった.
最も深い吸収は,観測された相対的なコントラストで 0.9 × 10-3 であった.これは角距離 3 ミリ秒角における中心星の連続波フラックスに対しての値である.
今回の結果は,Brogi et al. (2013) による K バンドでの分子の吸収の暫定的な報告と整合的なものである.
その他
3.2 µm 波長帯での水の検出は,Brogi et al. (2013) での 2.3 µm における一酸化炭素と水分子の吸収の暫定的な報告に重みを与えるものである.過去のこの観測では,3 つのデータセット中 2 つのみで吸収が検出された.3 番目のデータセットで検出できなかった理由については,機器の影響だけでは説明できていない.メタンや二酸化炭素は検出できなかった.これは存在度が低いか,あるいはモデルのテンプレートを作成するのに用いたデータの中に不完全さがあるのが理由かもしれない.
今回の観測では,この惑星の自転速度の上限値に < 5.8 km s-1 を与えた.
また,可視光での観測では反射光による独立した軌道の解を得ることが可能になるだろう.そしてもしその結果が赤外線観測で得られたものと違う場合,大気中におけるオフセットしたホットスポットの存在が,赤外線観測の結果を説明するのに必要になるだろうと考えられる.
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