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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1701.07513
Kitzmann (2017)
Clouds in the atmospheres of extrasolar planets. V. The impact of CO2 ice clouds on the outer boundary of the habitable zone
(系外惑星の大気中の雲 V:ハビタブルゾーンの外縁に二酸化炭素氷の雲が与える影響)

概要

雲は惑星大気の環境に大きな影響を与える.
地球型系外惑星の大気中における二酸化炭素氷の雲による散乱温室効果 (scattering greenhouse effect) は,主系列星の周りのハビタブルゾーンの場所に影響を与え,古典的なハビタブルゾーンの外側境界を広げるため,特に興味深い研究対象である.

ここでは,二酸化炭素主体の大気を持った地球型惑星の表面温度に対する二酸化炭素氷の雲の影響を,異なるタイプの中心星に対して調べた.加えて,それらがハビタブルゾーンの外縁の位置に与える影響についても調べた.

この研究では,二酸化炭素氷の粒子に影響されて変わる惑星の表面温度を計算するために,放射対流大気モデルを用いた.雲はパラメータ化された雲モデルが含まれている.また大気モデルは,雲粒子による非等方散乱を正しく記述できる,一般的な離散縦方向の輻射輸送を含んでいる.


計算の結果,二酸化炭素の氷の雲による全体的な温室効果は,恒星の有効温度に強く依存する比較的限られたパラメータ範囲でのみ得られた.

冷たい M 型星まわりの惑星の場合,二酸化炭素雲は最も温室効果が効くケースにおいてもわずか 6 K の温室効果を与えるだけであった.
一方で,F 型星周りの惑星の表面温度に対しては,もし二酸化炭素雲が存在した場合は 30 K の表面温度の上昇が可能であった

そのため,二酸化炭素雲によるハビタブルゾーンの拡張は,晩期型星に対しては非常に小さいことが分かる.その一方で恒星の有効温度が高い場合,惑星に雲が存在しない場合と比較すると,ハビタブルゾーンの外縁を 0.5 AU 程度広げることが可能である

研究背景

雲は地球型惑星の気候に重要な影響を及ぼす.雲が持つ主要な 2 つの効果は,惑星からの赤外線放射を低層大気中でトラップする効果 (温室効果) と,入射する恒星の放射を宇宙空間に散乱する効果 (アルベド効果) である.従って,異なるタイプの恒星周りのハビタブルゾーンの場所と広がりは,惑星大気中の雲の存在に依存して変化する (Marley et al. 2013).特にハビタブルゾーンの外側境界は二酸化炭素氷の雲とそれによる気候への影響で左右される.

中心星から距離が離れていて低温な惑星では,表面に液体の水を保っておくためには,温室効果ガス,例えば二酸化炭素で占められる厚い大気が必要である.もし地球型惑星が地質学的に活発であれば,火山性の脱ガスの影響で二酸化炭素が大気中に蓄積することが出来る (Pierrehumbert 2010).

ハビタブルな地球型惑星で重要な凝集物 (例えば液体の水や水氷など) とは対照的に,いくつかの強い吸収帯を除けばドライアイスは多かれ少なかれ赤外線領域では透明である (Hansen 1997など).
従って,Kasting et al. (1993) などで議論されているような,惑星からの熱放射の吸収と再放射による古典的な温室効果は,二酸化炭素氷の雲では発生しないと考えられる.

しかし,Forget & Pierrehumbert (1997) などで指摘されているように,二酸化炭素氷の粒子は惑星からの熱放射を地表へ効率的に散乱し返すことができ,そのために散乱温室効果を生み出すことが出来る

二酸化炭素雲の特性によっては,散乱温室効果は雲のアルベド効果を上回ることができ,原理的には水の凍結点を上回るだけの表面温度の上昇が可能である.このあたりは Mischna et al. (2000) などで初期火星大気の文脈で研究されている.

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