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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1702.08252
Aizawa et al. (2017)
Towards Detection of Exoplanetary Rings Via Transit Photometry: Methodology and a Possible Candidate
(トランジット測光による系外惑星リングの検出に向けて:方法論とリング系候補)

概要

長周期惑星のトランジット測光観測を通じた,系外惑星リングの系統的探索の方法論について提案する.この方法論は環を持つ惑星の光度曲線を計算するために発展させた詳細な積分スキームに基づく.

この手法を 89 の長周期惑星候補に適用した.これらはケプラーによる測光観測データである.その結果から,環の候補イベントのパラメータについて推定し.あるいは上限を与えた.

ここでのサンプルの大部分は,環のパラメータを制限するだけの良いシグナルノイズ比を持たなかったが,6 つの系では高いシグナルノイズ比を持っていた.これらのシグナルからは,惑星がかすめるようなトランジット軌道で恒星をトランジットし,かつ傾いた環を持っていると仮定した場合,これらの天体は惑星半径の 1.5 倍よりも大きな環は持たないという結果が得られた.

さらに,環を持つと思われる光度曲線を示す,5 つの暫定的な候補系を同定した.そのうちの 4 つは近傍星の混入によるシグナルであったため取り除いた.その結果,KIC 10403228 が環を持つ惑星の候補天体として同定された

KIC 10403228 の光度曲線へのパラメータフィットから,傾いた環を持つ土星的な惑星に対応する,2 つのあり得る解が示唆された.この光度曲線を説明するための,惑星の環以外の有り得るシナリオとしては,星周円盤 (circumstellar disk) によるものと,階層的な三重星 (hierarchical triple) によるものの 2 つが挙げられる.
要素の不定性が大きいため,これらの 3 つのうちから明確に一つ選択することは出来ない.

系外惑星の環

これまでに,巨大な周惑星リング (circumplanetary ring) が,J1407b の周りに検出されている (Kenworthy & Mamajek 2015).しかしこれは半径が ~ 1 AU であり,ここで注目する土星の環のような構造とは大きく異なる.

トランジット測光観測を,系外惑星の環を検出するためのツールとして初めて提案したのは Schneider (1999) である.
Brown et al. (2001) では,HD 209458b のまわりに環があった場合の半径の上限値の推定を行った.Barnes & Fortney (2004) は,Brown et al. (2001) の結果に,光の回折の影響が光度曲線に与える影響を含める形で改善した.その結果,土星的なリング系はケプラーの測光精度で十分検出できると主張した.
Ohta et al. (2009) では,トランジット測光観測とロシター効果の組み合わせによって,環の検出効率が上昇し,またシグナルの信憑性が向上すると指摘した.Zuluaga et al. (2015) は,トランジット測光観測から示唆されている異常に大きな半径を持つ惑星は,環を持つかもしれない惑星の候補を選定するのに使えると提案した.また,トランジットから推定された異常な恒星密度の値は,環の探査として使えるだろうと提案した.

実際のデータにおける系統的な環の探査は Heising et al. (2015) によって行われた.この論文の中では,ケプラーデータ中の軌道周期 50 日以下の 21 の短周期惑星のトランジットデータを解析し,環と思われるシグナルは検出されなかった.これは興味深い試みであるが,この検出なしという結果は驚くことではない.なぜなら,環は惑星が中心星に近いほど不安定になる傾向があるからである.加えて,Schlichting & Chang (2011) では,太陽型星まわりの場合,惑星の軌道長半径 0.1 AU 以下では環の検出は困難だと指摘している.

ここでは,環を持つ系外惑星候補天体の選定として,長周期の系外惑星を選択している.

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