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arXiv:1702.08775
Leleu et al. (2017)
Detection of co-orbital planets by combining transit and radial-velocity measurements
(トランジットと視線速度測定の組み合わせによる共軌道惑星の検出)

概要

共軌道惑星 (co-orbital planets) は,惑星形成と進化モデルからは存在が示唆されるが,これらはまだ発見されていない.これは観測バイアスによるものだと考えられる.主要な系外惑星の検出手法では,共軌道惑星が小さいか,ラグランジュ平衡点付近にいる場合は検出が難しくなるためである.

しかし,惑星系に既にトランジット惑星が 1 つ存在する場合は,その惑星のトランジット中心時刻の変化を恒星の視線速度データと組み合わせることによって,共軌道惑星を検出することが可能となる.

ここでは共軌道惑星の検出を可能にするシンプルな手法を提案する.ここで提案する手法は,軌道離心率の大きな系にも有効である.この手法は単一のパラメータ α に依存し.このパラメータは惑星の質量比 m2/m1 に比例する.ここで m1 はトランジットを起こしている惑星の質量,m2 は共軌道惑星の質量である.

従って,α が統計的にゼロとは異なる値を保つ場合は,共軌道にある天体を持つ有力な候補と言える.また,共軌道惑星とは異なる惑星軌道の配置によって生み出される,検出の偽陽性の妥当性について議論する.

共軌道惑星について

共軌道惑星は,同じ恒星の周りを同じ平均運動で公転する 2 つの惑星からなる.軌道が準円軌道の場合,お互いの軌道傾斜角の差が数十度程度であれば,安定な軌道配置はトロヤ群 (木星のトロヤ群がその一例) か,馬蹄軌道 (horseshoe,土星の衛星 Janus と Epimetheus が一例) の 2 つである.

トロヤ群天体は,中心星の質量が m0 とした場合,(m1 + m2)/m0 ≦ 4 × 10-2 の時に安定である (Gascheau 1843).また馬蹄軌道の場合は (m1 + m2)/m0 ≦ 2 × 10-4 で安定である (Laughlin & Chambers 2002).

軌道を共有する天体の存在は太陽系では一般的で,またその存在は惑星形成モデルの自然な帰結でもある (Cresswell & Nelson 2008, 2009).しかしその検出は難しく,系外惑星系ではこれまでに発見されていない.

軌道離心率が小さい場合は,2 つの共軌道惑星によるシグナルと,単一の高軌道離心率惑星のシグナル,および 2:1 平均運動共鳴にある 2 つの惑星のシグナルが縮退することが知られている (Giuppone et al. 2012).

軌道配置が理想的な場合は,2 つの共軌道惑星が連続してトランジットするのが観測されうる.しかしこれには,天体の両方とも半径が大きく,相互軌道傾斜角が小さい必要がある.ケプラーの観測データ中に共軌道惑星を探す試みはあったが,これまでに検出されていない (Janson 2013 など).

従って,軌道配置がまとまった複数惑星系 (ケプラーで多く発見されている) では,共軌道惑星系はレアである可能性がある.例えば,共軌道惑星が同一平面にない,もしくは一方はもう片方よりずっと小さいなどという可能性がある.

惑星の軌道長半径が大きい場合,トランジットでは観測できない少なくとも一つの共軌道惑星の存在が期待出来る.共鳴角の秤動の振幅が,トランジット時刻変動 (transit timing variations, TTV) や視線速度変動によって検出された場合,共軌道天体の存在を示唆できる.この効果もこれまでに検出されていないが,秤動の振幅があまり大きくない場合や,周期が非常に長い場合は検出が難しいため,既に観測されている系に存在しないとは言い切れない.
※注釈
Co-orbital planets は定訳がありませんが,"co-orbital" を "共軌道" と訳すことがあることから,ひとまず「共軌道惑星」としました.軌道共有惑星,なども良いかもしれません.

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