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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1703.05887
Chung et al. (2017)
OGLE-2015-BLG-1482L: the first isolated low-mass microlens in the Galactic bulge
(OGLE-2015-BLG-1482L:銀河バルジ中の初めての孤立した低質量マイクロレンズ)

概要

単一の重力マイクロレンズイベント OGLE-2015-BLG-1482 の解析結果を報告する.このイベントは 2 つの地上望遠鏡およびスピッツァー宇宙望遠鏡で同時に観測された.

スピッツァー宇宙望遠鏡の観測データ中には,スピッツァー宇宙望遠鏡から見てレンズ天体がソース星のすぐ近く,もしくは直接その上を通過したことによる有限ソース効果 (finite source effect) が見られた.このような有限ソース効果からは,一般的にアインシュタイン角半径の測定が得られる.この結果と,地上観測とスピッツァー宇宙望遠鏡の光度曲線の比較から得られるマイクロレンズの視差と組み合わせた場合,レンズ天体の質量,レンズ天体とソース天体の相対視差を得ることが出来る.

この解析から,OGLE-2015-BLG-1482 のレンズ天体は,非常に低質量の恒星 (0.10 太陽質量) か,褐色矮星 (55 木星質量) であり,レンズ天体とソース天体の距離は,それぞれ 0.80 kpc か 0.54 kpc である.そのためこの天体は,確実に銀河バルジの中に存在することが判明した初めての孤立した低質量のマイクロレンズイベントである

この 2 つの解の縮退は非常に厳しい.この縮退の根本的な理由は,有限ソース効果がスピッツァー宇宙望遠鏡による単一のデータ点でしか見られていないことである.またこの単一のデータ点は,アインシュタインリングの角半径で規格化したソース天体の角サイズ ρ に,縮退した 2 つの解を引き起こす.この ρ の縮退は,光度曲線の極大周辺での比較的高頻度な観測によってのみ解くことが出来る.
スピッツァー宇宙望遠鏡の観測頻度は典型的には 1 日あたり 1 回程度と低頻度である.そのため有限ソース効果がスピッツァー宇宙望遠鏡のデータでしか見られていない場合には,このような ρ の縮退がしばしば発生すると考えられる.

OGLE-2015-BLG-1482 の場合,レンズ天体とソース天体の相対固有運動は,低質量星の解の場合は 9.0 mas yr-1,褐色矮星の解の場合は 5.5 mas yr-1 である.そのため,次世代の装置による高空間分解能でのレンズ天体の直接撮像観測から,10 年程度以内にこの縮退が解ける可能性がある.

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