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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1507.04367
Pearce & Wyatt (2015)
Double-ringed debris discs could be the work of eccentric planets: explaining the strange morphology of HD 107146
(二重リングのデブリ円盤は高離心率惑星の影響による可能性:HD 107146の奇妙な形状の説明)

概要

解析的理論とN体シミュレーションを用いて、等質量のデブリ円盤と高軌道離心率を持った惑星の一般的な相互作用について調べた。
このような状態(デブリ円盤+高離心率の惑星)は、惑星同士の散乱や合体イベントの結果として起きる。

計算の結果、デブリ円盤と惑星が同程度の質量である場合は、惑星の軌道長半径は大きく変化しないまま離心率が低下して円軌道化される。
その惑星による長期効果によって、質量の軽い惑星の方が、質量の重い惑星よりもより広範囲のデブリを掃き去るという、直感に反する結果となった。

また、惑星とデブリ円盤の相互作用はしばしば二重リング構造を形成した。この構造は、HD 107146, HD 92945で見られている構造と似たものである。

さらにここでは、HD 107146に対してこのモデルを適用した。
その結果、デブリ円盤の形態と表面輝度は、軌道離心率が大きな 10 - 100地球質量の惑星と、デブリ円盤の相互作用によって説明できることを示した。
この仮説上の惑星が存在する場合、相互作用前の軌道長半径は 30 AUか 40 AUであり、相互作用が進んだ後もこの値は同程度である。
軌道離心率は初期は 0.4 - 0.5程度であり、最終的には 0.1程度にまで低下する。

計算モデル

N体のシミュレーションを行っている。用いた計算コードは Mercury 6.2である。
中心星の質量は1太陽質量に固定している。

デブリ円盤質量、惑星質量は同じ値であり、質量は 0.3地球質量から 3木星質量までを計算した。
デブリ円盤は 1000 - 10000個の等質量のデブリ粒子を置いた。デブリの一つ一つは比較的重い天体であり、デブリ粒子への輻射圧やポインティング・ロバートソン効果は無視している。重力のみを考慮した計算である。

惑星とデブリの相互作用は扱うが、デブリ同士の相互作用は無視している。したがってデブリ円盤の自己重力は無視していることになる。

計算時間は、10 - 100 Myrのオーダーである。

惑星の軌道は、惑星の近点を 1 -10 AU程度とし、初期の軌道離心率は 0.1 - 0.9としている。
デブリ円盤の中心平面は惑星の軌道と同じである。
またデブリ円盤の内縁から外縁は、10 - 100 AUとしている。
デブリ粒子は初期は全て円軌道だが、軌道傾斜角は最大で 5°つけている。これは古典的カイパーベルト天体の典型的な値である。

計算結果

様々なパラメータを振って計算をしたが、どのパラメータでも定性的には同じ傾向を示した。
系の進化は、時間のlogのタイムスケールで変化する、4つのステージに分割できる。

Stage 1

惑星がデブリ円盤の内縁を散乱し始め、惑星の遠点以内のデブリ面密度は低下する。
惑星の軌道と交差するが散乱されていないデブリ粒子は、長期効果によって離心率が増大する。
惑星の軌道と ~ 70°のずれが生じる。
デブリを散乱することによって惑星の軌道離心率は最も急激に低下し、また長期効果が軌道離心率の振動を引き起こす。

Stage 2

初期に軌道が惑星と交差していたデブリ粒子は、少なくとも1回は惑星によって散乱を受けている。
デブリ円盤の表面密度分布は、内側と外側のダブルピーク構造を示す。

Stage 3

惑星の近点方向に大きな三日月状のギャップが形成される。
スパイラル状の高密度領域は外側への移動を続ける。
この段階では惑星の離心率はかなり減少している。

Stage 4

惑星軌道と交差するデブリ粒子は全て散乱させられ、惑星の軌道離心率の進化はほぼ終了する。
デブリ円盤の内側のピークは減衰するか、あるいは消失する。
外側には高密度領域が存在するが、惑星の離心率は低下しているため散乱は起きず、安定する。

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