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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1704.05878
Fujii et al. (2017)
NIR-Driven Moist Upper Atmospheres of Synchronously Rotating Temperate Terrestrial Exoplanets
(同時回転する温暖な地球型系外惑星の近赤外線駆動の湿潤な高層大気)

概要

水は,温暖な地球型惑星の大気の特徴付けにおいて重要な成分である.また,透過光スペクトルの観測は,近未来における水の兆候の検出において主要な役割を果たすことが期待されている.

惑星大気の透過光スペクトル中における水の吸収の特徴の検出可能性は,大気の上部における水蒸気の存在度に依存する.地球の成層圏における水蒸気の混合比はコールドトラップ (※低温による凝縮のため水蒸気として存在する量が減少する) のため 10-5 よりも小さいが,コールドトラップの効率は大気の特性に依存する.

ここでは general circulation model (GCM) ROCKE-3D を用いて,公転周期と同期した自転をする,地球サイズの水惑星における大気の水の三次元分布を研究した.特に,中心星のスペクトル型と合計の入射フラックスが及ぼす影響について調べた.

その結果,惑星大気への入射フラックスの増加に対する応答として,1 次元モデルで示唆されていたよりも緩やかな水蒸気の混合比の上昇が見られた.これは,過去の GCM 計算で同期回転惑星に対して見られていた,恒星直下点周辺における雲の気候安定化効果と定性的に一致する結果である.

しかし,高層大気における水蒸気の混合比は,表面温度がまだ温暖な状態でも増加をすることが判明した.これは高層大気での循環によって説明することが可能である.この現象は入射フラックスが大きい計算において見られたものであり,大気中での水蒸気の効率的な鉛直輸送が起きる.この循環は,高層大気における水蒸気と雲粒子による吸収に伴う輻射加熱によって駆動される.この水蒸気の鉛直輸送と輻射加熱の相互作用が,水蒸気分布の定常状態を決めるのに重要な役割を果たしていると思われる.

水蒸気の混合比は,入射フラックスにおける近赤外線の割合とよく相関している.この結果は,同期回転をする温暖な地球型惑星に対しては,高層大気での様々なレベルの水蒸気の混合比が期待されることを示唆する.また,より強く輻射を受けている惑星に対しては,透過光スペクトルにおける水蒸気の吸収の特徴は数倍強くなる事が示唆された.そのため,水の直接検出に対する観測的な要求は緩くなる.

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