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arXiv:1704.06271
Rogers (2017)
Constraints on the Magnetic Field Strength of HAT-P-7 b and other Hot Giant Exoplanets

(HAT-P-7b やその他の高温ガス系外惑星の磁場強度の制限)

概要

ホットジュピターの赤外線と可視光における光度曲線の観測から,惑星表面の輝度の極大点は,一般に恒星直下点 (sub-steller point) から東方向に変位していることが知られている.この観測結果は,流体力学の数値計算の結果と整合的である.数値計算からは,高速で東向きの風が,大気中の最も高温な点を恒星直下点から東側に移流させることが分かっている.

しかし,最近のケプラーによる HAT-P-7b の継続的な観測では,最大輝度の恒星直下点からのずれは,時間によって大きく変化することが分かっている.この観測によると,最も明るい点は時々恒星直下点の西側へ変位することがある.これらの輝度のずれを説明するためには,大気中の雲の有無に関わらず,風の変動が必要である.

このような風の変動性は,ホットジュピター大気の流体シミュレーションでは見られていないが,磁気流体シミュレーションでは見られている.ここでは,HAT-P-7b 大気の MHD シミュレーションは風の変動性の兆候を見せることと,この変動は大気中での最も高温な点の位置の変動に対応する事を示す.

HAT-P-7b で観測されている変動が磁気的活動によるものだと仮定すると,この惑星の磁場強度の最小値は 6 G となると推定される.このような高温巨大ガス惑星の風の変動の同様の観測や変動の有無から,惑星の磁場強度の制限をかける助けになる可能性がある.

これらの惑星における磁場のダイナモシミュレーションは存在せず,知られている理論的なスケーリング則も適用されないと考えられるため,磁場に対するこのような観測的な制限は非常に有用であると考えられる.

結果

HAT-P-7b の表面は高温であり,大気中のアルカリ金属の電離を引き起こす.これは大気と磁場の結合を促し,また大気ダイナモも引き起こす.この磁気的相互作用からくるローレンツ力は,流体シミュレーションで見られている東向きの強い大気風を阻害し,変動性のある,また時折反対側に吹くこともある風を引き起こす.

シミュレーションでは,磁場無しの流体シミュレーションのみの場合は強い東向きのジェットを持ち,シミュレーション中一貫して正の方向に変異したホットスポットが見られた.
しかし磁場を加えた場合,帯状風は急激に減速し,振動するようなパターンに落ち着いた.この変動のタイムスケールは 106 秒程度であった.これは,加えた 10 G の磁場でのアルフベン時間と整合的で,また観測されている HAT-P-7b の時間変動とも整合的であった.ホットスポットの変位の変動についても同様のタイムスケールが見られる.


帯状風における磁場の効果は,運動量方程式における磁場の項と慣性項の比に依存する.それぞれ,τmag = 4 πρη/B2 と τwave = L/√(gH) である.ここで,L は水平流の特徴的な長さ,H は大気の深さである.

磁場の効果が増加するにつれ,増加した磁場の強度,あるいは増加した電気伝導度を通じて大気の帯状風への影響も変化する.磁場を強くするに従い,ほとんど影響無しあるいは弱い影響 (τmag > τwave の時) から,振動する風の状態 (τmag ~ τwave の時),完全に反転した風 (τmag < τwave の時) へと変化する.

HAT-P-7b で観測されている変動性の風は磁場の影響によるものだと仮定すると,この惑星の最小の磁場は ~ 6 G と推定される.これは Elsasser 数を元にした理論的なスケーリング則と整合的な値である.

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