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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1507.05177
Gerdes et al. (2015)
Observation of Two New L4 Neptune Trojans in the Dark Energy Survey Supernova Fields
(ダークエネルギー調査における、海王星L4トロヤ群小惑星の観測)

概要

ダークエネルギー調査(the Dark Energy Survey)プロジェクトの一環で、海王星の先行トロヤ群(L4)における8, 9個目のトロヤ群小惑星を発見した。
今回発見した海王星トロヤ群小惑星は、2014 QO441と2014 QP441の2つであり、2013-14と2014-15のDark Energy Surveyで発見された。

発見された海王星トロヤ群天体は、軌道傾斜角が 18.8°と19.4°である。また2014 QO441は軌道離心率が ~ 0.104であり、安定な軌道を持つ海王星トロヤ群天体の中でも特に軌道離心率が大きい。

トロヤ群天体について

トロヤ群天体全般

トロヤ群天体は、メインベルト天体、古典的カイパーベルト天体と並び、安定な軌道を持つ小天体である。
主要な天体の60°先行した場所か、60°追随する場所に集中して存在し、それぞれL4とL5のラグランジュポイントに対応している。
地球にもトロヤ群天体が発見されている(Connors et al. 2011)。

木星と海王星のトロヤ群の比較

木星のトロヤ群天体は最も多く発見されており、よく特徴付けられている。
これまでに 6000個を超すトロヤ群天体が発見されている。
直径が 1 kmを超える木星のトロヤ群天体は 600000個を超えると予想されている(Yoshida & Nakamura 2005)。この数は、同じサイズのメインベルトにおける個数と同程度である。

一方、大きなサイズ (直径 65 km以上)の海王星のトロヤ群天体の個数は、同じサイズの木星のトロヤ群天体の個数よりも一桁多く存在すると推定されている(Chiang & Lithwick 2005, Sheppard & Trujillo 2006)。

海王星のトロヤ群天体

海王星のトロヤ群天体は、初めて 2001 QR322が発見されて以来(Chiang et al. 2003)、これまで追加で8個のみが発見されていた。
ただし9個目の 2004 KV18(L5に存在)は軌道離心率が ~ 0.18で、libration振幅が ~ 70°であり、~Myrのオーダーで不安定である。散乱円盤天体が一時的に捕獲されたものだと考えられる。

これまでに発見されている9個の海王星のトロヤ群天体のうち、7個がL4に存在している。
しかし、L4とL5の存在個数が大きく異なると考える経験的な理由は存在しない。
実際に、L5のトロヤ群天体の発見数が少ない理由は、海王星のL5はちょうど銀河中心の方向と視線方向が重なっており、小天体の観測が難しいことが原因だと考えられる(Sheppard & Trujillo 2010, Parker et al. 2013)。

海王星のトロヤ群天体の数は、太陽系の進化の理解にも重要だと考えられる。例えば、初期の星雲中でのgas dragや、惑星移動、惑星形成時の質量獲得、太陽が形成された星団内での通過星との遭遇による海王星軌道の擾乱などである。

Dark Energy Surveyについて

Dark Energy Surveyは、Cerro Tololo Inter-American Observatory (セロ・トロロ汎米天文台)における4メートルのBlanco telescopeに設置されている、Dark Energy Camera (DECam)で観測を行っている。

ダークエネルギーの状態方程式を決めるため、弱い重力レンズ効果や、銀河同士の相互作用、銀河団の性質の観測、Ia型超新星の観測などを行っている。

太陽系内の遠方天体を検出・観測する能力もあり、過去にはセドナに似た天体である 2012 VP113を発見している(Trujillo & Sheppard 2014)。この天体の近日点は > 80 AUであり、最も近日点が遠い天体の一つである。

発見された天体について

発見された2つの天体は以下のとおり。

2014 QO441
軌道長半径:30.102 ± 0.001 AU
軌道離心率:0.1046 ± 0.0004
軌道傾斜角:18.8316 ± 0.0003
Libration周期:9074 ± 3 年
Libration振幅:10.9 ± 0.1°
視等級:23.3 (r band)、8.2 (Hv)
直径:130 km (アルベド 5%を仮定)

2014 QP441
軌道長半径:30.108 ± 0.011 AU
軌道離心率:0.067 ± 0.002
軌道傾斜角:19.405 ± 0.001
Libration周期:9114 ± 5 年
Libration振幅:7.8 ± 1.3°
視等級:23.9 (r band)、9.1 (Hv)
直径:70 km (アルベド 5%を仮定)

これまでに発見されていた海王星のトロヤ群天体

2001 QR322 (L4)
2004 UP10 (L4)
2005 TN53 (L4)
2005 TO74 (L4)
2006 RJ103 (L4)
2007 VL305 (L4)
2008 LC18 (L5)
2011 HM102 (L5)
2001 UV177 (L4)

結論・議論

海王星のL4に存在する、8, 9個目のトロヤ群天体を発見した。
N体計算コードのMercury 6で軌道安定性について調べた結果、> Gyrのタイムスケールで安定であると考えられる。
また天体の色は他のトロヤ群天体と同様である。

両者ともに軌道傾斜角は大きめの値である。
これは海王星のトロヤ群天体は力学的に熱い系であることを示す。海王星による捕獲の際に励起されたものであるかもしれない。

Dark Energy Surveyは今後再びこの2つの天体を観測する機会がある。

なお、ここでは海王星のトロヤ群天体の発見に主眼を置いたが、Dark Energy Surveyでは他にも20個のカイパーベルト天体と太陽系外縁天体を発見している。
特に、2013 RF98は軌道長半径が 325 AU、近日点距離は 36 AUであり、最も軌道周期が長い外縁天体の一つである。





ダークエネルギーの性質を探るための望遠鏡を使って、海王星のトロヤ群小惑星を発見したというニュースです。
両者には全然関係はありませんが、深宇宙を観測するプロジェクトではしばしば太陽系内天体の暗い天体の観測も行われます。小惑星のサイズ分布に関する観測も、もともとはSDSSの深宇宙観測によるものである、など。

それにしても、海王星のL5の発見数が少ないのは、L5の位置が銀河中心にかぶっているからだとは知りませんでした。

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