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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1706.01883
Best et al. (2017)
The Young L Dwarf 2MASS J11193254-1137466 is a Planetary-Mass Binary
(若い L 型矮星 2MASS J11193254-1137466 は惑星質量の連星である)

概要

Keck でのレーザーガイド星を用いた補償光学撮像観測を用いて,非常に赤い色を示す低表面重力の L7 型矮星 2MASS J11193254−1137466 は 0.14” (3.6 AU) の間隔で公転する連星であることを発見した.

この天体はこれまで TW Hydrae Association (TWA) という恒星の集団の一員だろうと考えられてきた.ここで,今回の新しい観測から得られた天体までの距離と固有運動,運動学的解析に基づくと,この天体は 82% の確度で TWA の一員であることが判明した.

TWA の年齢 10 ± 3 Myr と,天体のホットスタート進化モデル (天体形成時に多くのエントロピーを持ち込んだとするモデル) を用いると,2MASS J11193254−1137466AB は 3.7 木星質量の褐色矮星 2 個から成るペアであると推定される.これは,これまで発見されている中で最も低質量の連星である.また,連星の軌道周期は 90 (+80, -50) 年と推定した.

連星の一方の天体は K バンドではわずかに明るく,しかし J バンドでは暗い.そのためこの連星は “flux-reversal binary” (片方のフラックスが 2 つのバンドで逆転しているタイプの連星) であると思われる.このような若い天体での flux-reversal binary は初めての発見である.


また,これらとスペクトル的に似ている TWA 内の L7 矮星 WISEA J114724.10−204021.3 を Keck で撮像観測した.その結果,この天体については連星である事を示す兆候は見られなかった.

この天体の進化モデルからは,この天体の有効温度は 2MASS J11193254−1137466AB よりも 230 K 程度高いことが示され,これは両者のスペクトルが似ていることとは非整合的である.この違いからは,WISEA J114724.10−204021.3 は実際には 2MASS J11193254−1137466AB と非常に似た質量と温度を持つ,近接した連星である可能性が示唆される.もしくは,若い超低温矮星の赤外スペクトルは,温度や重力ではない別の要素によって影響を受けている可能性を示唆する.

パラメータ

2MASS J11193254−1137466AB 系

距離:26.4 pc
連星間の射影距離:3.6 AU
連星の軌道長半径:3.9 AU
公転周期:90 (+80, -50) 年
質量:A, B どちらも 3.7 (+1.2, -0.9) 木星質量
有効温度:A が 1013 K,B が 1006 K

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