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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1706.03708
Ricci et al. (2017)
ALMA Observations of the Young Substellar Binary System 2M1207
(若い準恒星連星系 2M1207 の ALMA 観測)

概要

ALMA を用いて 2M1207 系を観測した.この系は,若い褐色矮星と惑星質量天体が,射影距離 40 AU で公転している連星系である.

観測の結果,0.89 mm 波長でのダスト連続波放射と,CO の J = 3 - 2 回転遷移の放射を,若い褐色矮星周りの非常にコンパクトな円盤から検出した.この褐色矮星円盤の小さな半径は,惑星質量の伴星 2M1207b との潮汐相互作用による,円盤の切り取りによると考えられる.

ダスト放射が光学的に薄いという仮定を用いると,2M 1207A まわりの円盤中のダスト質量は 0.1 地球質量と推定される.また,2M1207b まわりのダストには 3 σ の確度で ~ 1 月質量の上限を与えた.この上限値は,若い惑星質量伴星を取り囲むダスト粒子の質量への制限としては最も厳しい値である.例えば,LkCa 15b まわりでは円盤のダスト質量に対して 0.6 地球質量未満,DH Tau b では 0.4 地球質量未満,GSC 6214-210 B では 0.05 地球質量未満,GQ Lup b では 0.03 地球質量未満という上限値が得られている.今回の 2M1207b まわりの円盤のダスト質量の上限値は 0.01 地球質量程度未満 (1.1 月質量未満) という厳しい上限値が与えられた.

2M1207 系について

2M1207 は,スペクトル型 M8,~ 25 木星質量 (Mohanty et al. 2007) の若い褐色矮星である.この褐色矮星の周囲には,惑星質量の伴星が直接撮像観測によって検出されている,伴星の 2M1207b は 5 ± 2 木星質量である (Chauvin et al. 2004など).

この系は TW Hya アソシエーション (※恒星の集団の一種) の一員であると考えられている.そこから推定されるこの系の年齢は 5 - 10 Myr である (Gizis 2002など).

この系は,中心星 2M1207 と惑星質量の伴星 2M1207b の距離が,天球面上に射影した距離で 40.6 AU ある.伴星-中心星の質量比が大きいこととと,2 天体の軌道距離が離れていることから,2M1207A まわりの円盤の重力分裂が 2M1207b の形成機構なのではないかと考えられている (Sterzil et al. 2004など).

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