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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1706.06865
Giles et al. (2017)
EPIC 228735255b - An eccentric 6.57 day transiting hot Jupiter in Virgo
(EPIC 228735255b - おとめ座の高軌道離心率の 6.57 日周期のトランジットホットジュピター)
検出は,ケプラー K2 の測光観測と,地上からの観測の組み合わせによって行われた.
K2 の光度曲線から,中心星の自転周期は 16.3 日と推定される.
この惑星は,K2 サーベイによって発見された 9 番目のホットジュピターであり,地上からのこれまでのサーベイ観測よりもやや長い周期のトランジット巨大惑星を検出できる K2 の能力を示すものである.
この惑星の半径はやや膨張しているが,同程度の日射を受けている他の惑星よりはずっと小さい.この事は,ホットジュピターの膨張機構を探るうえで興味深い.
年齢:4.22 Gyr
スペクトル型:G5
金属量:[Fe/H] = 0.12
有効温度:5654 K
自転周期:16.3 日
質量:1.005 太陽質量
半径:0.987 太陽半径
光度:0.893 太陽光度
軌道長半径:0.0591 AU
軌道離心率:0.120
質量:1.019 木星質量
半径:1.095 木星半径
平衡温度:1114 K
平均密度:木星密度の 0.726 倍
潮汐の Q 値を 106 と仮定 (Wu 2006) すると,惑星軌道が潮汐によって円軌道化されるまでのタイムスケール (Goldreich & Soter 1966) は 2.577 Gyr である.この系の年齢の推定値は 4.22 Gyr であり,円軌道化のタイムスケールはこの恒星の年齢と同程度のオーダーであることが分かる.
この惑星の質量と半径を元にすると,この惑星は木星と比較してわずかに膨張した半径を持つといえる.しかしその他の,この惑星と同程度の日射フラックスを受けている惑星に比べると膨張していない.この惑星は 2.565 × 108 erg s-1 cm-2 のフラックスを受けており,これは膨張半径を持つための経験的な日射量の閾値 2 × 108 erg s-1 cm-2 (Demory & Seager 2011) に非常に近い.
この惑星は K2 サーベイで発見された巨大系外惑星の中で 3 番目に長い軌道周期を持つ.また地上観測でのトランジットサーベイで発見された巨大惑星のうち 94%よりも長い軌道周期を持つ.
arXiv:1706.06865
Giles et al. (2017)
EPIC 228735255b - An eccentric 6.57 day transiting hot Jupiter in Virgo
(EPIC 228735255b - おとめ座の高軌道離心率の 6.57 日周期のトランジットホットジュピター)
概要
ここでは,EPIC 228735255b< の新規発見について報告する.この惑星は,軌道周期が 6.57 日の木星質量の惑星で,G5 星の周りを軌道離心率 0.120 の軌道で公転している.検出は,ケプラー K2 の測光観測と,地上からの観測の組み合わせによって行われた.
K2 の光度曲線から,中心星の自転周期は 16.3 日と推定される.
この惑星は,K2 サーベイによって発見された 9 番目のホットジュピターであり,地上からのこれまでのサーベイ観測よりもやや長い周期のトランジット巨大惑星を検出できる K2 の能力を示すものである.
この惑星の半径はやや膨張しているが,同程度の日射を受けている他の惑星よりはずっと小さい.この事は,ホットジュピターの膨張機構を探るうえで興味深い.
パラメータ
EPIC 228735255
距離:340.24 pc年齢:4.22 Gyr
スペクトル型:G5
金属量:[Fe/H] = 0.12
有効温度:5654 K
自転周期:16.3 日
質量:1.005 太陽質量
半径:0.987 太陽半径
光度:0.893 太陽光度
EPIC 228735255b
軌道周期:6.569300 日軌道長半径:0.0591 AU
軌道離心率:0.120
質量:1.019 木星質量
半径:1.095 木星半径
平衡温度:1114 K
平均密度:木星密度の 0.726 倍
議論
ホットジュピターのうち 70%は,軌道離心率を 0 とみなしても観測結果と整合的であり,大部分は 0 に近い軌道離心率を持つ.しかし軌道周期が 5.5 日より大きいものではその割合は 50%に低下する.そのため,今回発見した惑星が 0 でない離心率を持つことは驚くべきことではない.潮汐の Q 値を 106 と仮定 (Wu 2006) すると,惑星軌道が潮汐によって円軌道化されるまでのタイムスケール (Goldreich & Soter 1966) は 2.577 Gyr である.この系の年齢の推定値は 4.22 Gyr であり,円軌道化のタイムスケールはこの恒星の年齢と同程度のオーダーであることが分かる.
この惑星の質量と半径を元にすると,この惑星は木星と比較してわずかに膨張した半径を持つといえる.しかしその他の,この惑星と同程度の日射フラックスを受けている惑星に比べると膨張していない.この惑星は 2.565 × 108 erg s-1 cm-2 のフラックスを受けており,これは膨張半径を持つための経験的な日射量の閾値 2 × 108 erg s-1 cm-2 (Demory & Seager 2011) に非常に近い.
この惑星は K2 サーベイで発見された巨大系外惑星の中で 3 番目に長い軌道周期を持つ.また地上観測でのトランジットサーベイで発見された巨大惑星のうち 94%よりも長い軌道周期を持つ.
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