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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1706.07501
Saxena et al. (2017)
A Model of the Primordial Lunar Atmosphere
(初期の月大気のモデル)

概要

マグマオーシャンの固結モデルと組み合わせた,初期の月大気の初めての定量的なモデルを提案する.

形成直後の月の表面は,初期太陽からの放射,中期 M 型矮星に近い放射特性を持つ衝突後の高温な地球,全球的なマグマオーシャンの冷却の寄与を含む放射環境に晒された.この放射環境は,月に 104 - 102 Pa の地球サイズの大気をもたらした.この大気の組成は,重い揮発性物質 (Na と SiO) であった.

この大気は,表面が固結し地殻を形成する間存在し,また中間的な揮発性を持つ物質のかなりの量を輸送し,また超音速風を持っていた可能性がある.この超音速風はマグマオーシャンに波を生成したかもしれない.

そのためこの大気の存在は,いくらかの中間的な揮発性を持つ物質の分布に影響を及ぼした可能性があり,さらにマグマオーシャンの流れと冷却に影響された温度の非対称性を形成した可能性がある.このような非対称性は,若く,潮汐的に固定されている岩石天体で,全球的にマグマオーシャンを持ち強い輻射に晒されている天体を特徴づける可能性がある.

結論

月形成の標準的なモデルでは,月形成後に月表面が晒された放射環境においては,斜長石の地殻形成に先立って短寿命の金属大気が存在した可能性があることが分かった.

このような大気は気圧が 104 - 102 Pa の範囲で,地球より低い温度 (2000 K 以上) であり,月の裏側に向かう超音速の風を持っていた.

この大気は,月のマグマオーシャンの冷却には大きな影響を及ぼさなかった思われるものの,強い風によってマグマオーシャンに表面波は立てたと考えられる.ただし,斜長石フロートの風駆動の移流は起きなかったと考えられる.

さらに,このような大気は.ナトリウムやその他の中間的な揮発性を持つ物質を輸送して失わせ,それらの元素の不均質と欠乏の原因となる可能性が示された.これらの不均質と欠乏は,月形成の詳細な過程を制約するヒントになるかもしれない.

また,初期の月大気は,中心星に非常に近接して存在し,強く加熱されている岩石系外惑星のいくつかに期待される大気と類似している可能性がある.

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