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arXiv:1706.08781
von Boetticher et al. (2017)
The EBLM project III. A Saturn-size low-mass star at the hydrogen-burning limit
(EBLM プロジェクト III.水素燃焼限界にある土星サイズの低質量星)

概要

伴星と主星の質量比 q ~ 0.07 の食連星系の発見を報告する.WASP サーベイでの周期的な測光シグナルを同定した後,CORALIE 分光器を用いて視線速度観測をし,また Euler telescope と TRAPPIST telescope で光度曲線のフォローアップ観測を行った.

解析の結果,EBLM J0555-57 は,太陽に似た主星と,主星と食を起こす低質量の伴星からなる系であることが判明した,伴星は,やや軌道離心率のある 7.8 日周期の軌道であった.

恒星モデルから主星の質量の推定を行い,観測結果と合わせると,伴星の質量は 85 木星質量 (0.081 太陽質量) で,半径が 0.84 木星半径 (0.084 太陽半径) と推定される,この半径は土星の半径と同程度である.

伴星 EBLM J0555-57Ab は表面重力が log g = 5.50 であり,恒星の残骸以外の天体 (※白色矮星や中性子星・ブラックホール以外の天体) の中では,これまで知られている中で最も高密度な天体の一つである.解析から得られた質量や半径等の測定値は,低質量の天体のモデルと整合的であった.

パラメータ

J0555-57A
有効温度:6461 K
金属量:[Fe/H] = -0.24
距離:193.8 pc
質量:1.13 太陽質量
半径:0.99 太陽半径
EBLM J0555-57Ab
軌道周期:7.757676 日
質量:85.2 木星質量
半径:0.84木星半径
平均密度:188 g cm-3
軌道長半径:0.0817 AU
軌道離心率:0.0894

EBLM J0555-57Ab の性質

伴星である EBLM J0555-57Ab の表面重力は,最近発見が報告された褐色矮星 EPIC 201702477b (Bayliss et al. 2017) と同程度である.

EBLM J0555-57Ab は,恒星と準恒星天体を分ける目安である,水素燃焼質量限界のすぐ上に位置していると結論付けた.この境界は,金属量 [M/H] = -0.5 の天体に対しては ~ 83 木星質量である (Baraffe et al. 1998).

EBLM J0555-57Ab は半径膨張を示す兆候は見られなかった.半径膨張は,例えば低質量星における磁場によるものなどが報告されている (Lopez-Morales 2007).

この天体は TRAPPIST-1A と同程度の質量を持つ (Gillon et al. 2016, 2017).この伴星の半径は,低質量星である 2MASS J0523-1403 (Dieterich et al. 2014) と類似しており,低質量の星のサイズには分散があることを示している.
※注釈
EBLM は "Eclipsing Binaries with Low Mass" の略であり,低質量の食連星のサーベイ観測の名称である.また,このサーベイによって発見された系のカタログの名称でもある.

EBLM 自体は,系外惑星のトランジットサーベイ観測の WASP のスピンオフ的なサーベイである (Triaud et al. 2013, Gómez Maqueo Chew et al. 2014).

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