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都道府県名を英語にするとカッコいい,みたいな記事を結構前に見た気がする.

例えばこういうのである.
都道府県を英訳すると「カッコいい」とネットで話題に!全リストはこちら|面白ニュース 秒刊SUNDAY

検索をかけると似たようなのが続々と出てくるので,発想自体はたぶんずっと昔からあるものなんだろうと思う.「静岡」を英訳すると "サイレントヒル" (silent hill) なんてのは有名なネタだし. ただ,それに載っている英訳が個人的にイマイチ納得がいかないものがあるので,個人的な試案として各都道府県の英訳を考えてみたい.


…と言っても,漢字表記をそのまま直訳するのか,何らかの意訳を挟むのか,都道府県名の原義も考慮するのか,いろいろ悩ましい.なので,表記直訳寄りの英訳試案,原義にまで立ち入った英訳試案など複数考えてみたい.

都道府県名英訳試案

北海道
直訳寄り英訳試案は

ノースシーロード (North Sea Road)

こちらは漢字の直訳.
特にこれと言ってコメントすることは無さそう.異論もない.


なお「北海道」の由来は,東海道や東山道のような五畿七道の名前から取られている (五畿七道には北海道は含まれていない).
では「道」はそのまま道路を意味するのかという点だが,これは元々は昔の中国の行政区分の名称から来ているらしい.そして,この中国の行政区分としての「道」に対応する英語は "circuit" である.

というわけで,原義寄り英訳試案としては

ノースシーサーキット (North Sea Circuit)

を提案したい.


ちなみに,「北海」の部分は "north sea" ではなく "northern sea" でも良さそうな気もする.しかし実在する海域の名前としての「北海」は,"the North Sea" であるため,north sea の方を採用したい.

それから,「海」の訳語として sea を採るか ocean を採るかという可能性もある.ただし一般に ocean は大洋と呼べるような広い海に対して使うため,地域区分としての海は sea のほうがふさわしいのではないかと判断した (こんなことにいちいちこだわっているとこの話は終わらなそう).
青森県
直訳寄り英訳試案は

ブルーフォレスト (Blue Forest)

これも漢字の直訳である.これ以外には無い!と言えるくらいの直訳で,おそらく (直訳としては) 異論を挟む人はいないだろうと思われる.


青森という地名の由来は,そのものズバリ「青い森」があったから,とのことである.
その名のとおり、”青い森”があったからと言われています。青森という地名は、江戸時代前期の1624(寛永元年)年、弘前(ひろさき)藩が現在の青森市に港町の建設を始めたときに名付けたものです。当時、現在の青森市本町附近に青い森があり、港に入る船の目印になっていたと言われています(残念ながら、今は残っていません)。
参考リンク

今は既に由来となった森は存在しないらしい.実に残念.

というわけで,由来も同じく「青い森」なので,原義寄りでもブルーフォレストで良さそうな気がする.
が,しかし待てよ,「青い」という表現は微妙ではないか?森は青いだろうか?確かに植物が青々と茂っているなどというように,植物の様子を青という色で表現することはよくある.しかしこれは日本語での話であって,実際に色として近いのは緑の方だ.『青信号は緑色なのになぜ青信号なのか』問題に通じるものがある.実際に,「青々と」に対応する英語は "green" である.英語で "blue" と言えば青空の青である.

というわけで,原義寄り英訳試案としては,

グリーンフォレスト (Green Forest)

を提案したい.
岩手県
直訳寄り英訳試案は

ロックハンド (Rock Hand)

ロックハンド,これもブルーフォレスト並に異論の無さそうな直訳である.映画『アルマゲドン』に出てくる天才変態地質学者ロックハウンド (Rockhound) では無い.


岩手の地名の由来は,羅刹鬼という鬼が岩に残した手形から来ているとのこと.
ビックリ仰天した羅刹鬼は「もう二度と悪さはしません。二度とこの里にも姿を見せませんからどうぞお許しください」というので、三ツ石の神様は「二度と悪さをしないというシルシをたてるなら」といわれ、羅刹鬼は三ツ石にペタンペタンと手形を押して南昌山の彼方に逃げ去った」。そこでこの地を岩に手形・・・岩手と呼ぶようになったという。
参考リンク

なので,「岩手」の原義は「岩の手形」ということになる.「手形」の英訳を引いてみると draft や bill や circulation が出て来るが,これは「為替手形」のような手形であり,手の型を取った本来の手形は "handprint" である.

なので,「岩の手形」は "handprints on a rock" と言えそうである.地名っぽくするとロックハンドプリント (Rock Handprint) あたりだろうか.しかしこれだとあまりに原義に寄り過ぎているような気がするので,原義寄り英訳試案としては,直訳寄りと同じく

ロックハンド (Rock Hand)

を提案したい.適当な気がするがもともと適当な気分で試案を考えているので仕方がない.
秋田県
直訳寄り英訳試案は

オータムライスフィールド (Autumn Rice Field)
もしくは
フォールライスフィールド (Fall Rice Field)

秋 (autumn/fall) と,田 (rice field) の直訳である.英語に触れてから長いこと疑問に思っている人が多いであろう,『秋って autumn と fall どっちなの?』という問題により訳が二つに分かれ得る.秋については,大雑把には autumn はイギリス英語,fall はアメリカ英語であるらしく,どちらでも「秋」として通じるので,どちらでも良いことになる.個人的には,イギリス英語の autumn の方が好きなので,オータムライスフィールドの方を推したい.


秋田の由来については諸説あるが,この地がかつての地形から「齶田」(あぎた) と呼ばれていたことに由来するという説が有力らしい.「齶」は顎と同じで,アゴのような地形だったからということのようだ.さらに「田」は田んぼではなく,場所を意味する接尾語「た」であるとのこと.
参考リンク

要するに,「アゴ状の土地」が由来であるというのが有力な説と言える.
アゴ,つまり "jaw" である.映画 JAWS の jaw である.というわけで,原義寄りの英訳試案としては,

ジョープレイス (Jaw Place)

を提案したい.秋田という字面からは掛け離れた英訳試案になってしまったし,さっき岩手で「原義に寄り過ぎている」とか言っていた割に,めちゃくちゃ原義に寄った試案になってしまった.まあこれくらい思い切ってしまったほうがネタ的には面白いかもしれない.ジョープレイス,カッコいいし.雰囲気で選んでいるので許してほしい.
宮城県
直訳寄り英訳試案は

パレスキャッスル (Palace Castle)

直訳の場合,「城」が "castle" になるのは良いとして,問題は「宮」である.巷でよく見る試案としては「宮殿,宮廷」と解釈して "palace" を当てるものであり,上の試案もそれに倣っている.

しかし「宮」は「神社」と解釈することも出来る.お宮さんの宮である.こちらを採用した場合は,シュラインキャッスル (Shrine Castle) という試案でも良いかもしれない.


宮城の由来には諸説あるようだ.
「宮城」の由来には,様々な説があります。宮なる城の所在地,つまり「遠(とお)の朝廷(みかど)」(宮)といわれた多賀 城(城)が置かれたことから宮城とする説。宮(奥州(おうしゅう)一の宮,塩竃(しおがま)神社や陸奥国分寺)と城(多賀 城)が置かれたことから宮城とする説。「屯倉(みやけ)」(建造物などを含めた朝廷の耕作地)が「みやき」となり,これを宮 城とする説などです。
参考リンク

「宮なる城の所在地」説を採用した場合は,パレスキャッスル (Palace Castle) が良いように思える.一方で「神社と城」説の場合はシュラインキャッスル (Shrine Castle) が良さそうだ.どちらも直訳寄り英訳試案と同じである.

難しいのは「屯倉 (みやけ)」説の場合である.ヤマト王権の支配体制の呼称が由来であり,さらに由来を辿ると,ミ (敬称) + ヤケ (家屋,倉庫) という意味になるらしい.王朝 (dynasty) の直轄の倉庫 (barn) ということで,ダイナスティーズバーン (Dynasty's Barn) なんてのはどうだろうか.
山形県
直訳寄り英訳試案は

マウンテンシェイプ (Mountain Shape)

「山」が "mountain" なのはまあ良いだろうと思われる.「形」は,この手のネタでは "shape" が採用されているのをよく見るし,「形」の英訳として真っ先に出て来るのはおそらく shape だろう.

「形」の英訳として "figure" を採用して,マウンテンフィギュア (Mountain Figure) というのも良いかもしれない.あるいはマウンテンフォーム (Mountain Form) というのもありかもしれない.マウンテンシェイプよりはこれらの方が響きが良い気がしてきた.


なお,紋章などでの「山形」を表す単語としては,シェブロン (chevron) というものがある.山の形と言うよりは逆 V 字型と言ったほうが,シェブロンの形状をイメージしやすいかもしれない.


山形の由来は,「山方」,つまり山の方とのことである.なぜ山方と呼ばれるようになったかは不明らしい.
山形県の「山形」は、平安初期の資料「和名類聚抄(わみょうるいじゅうしょう)」に今の山形市の南側を「山方(やまがた)郷」と言ったことに由来があると言われています。なぜここを山方と言ったかは不明ですが、今の山形市より見て南のほうには、山岳信仰で知られた蔵王、瀧山(りゅうざん)の山々があります。
参考リンク

由来は不明瞭ながら,「山の方」が原義なのだろう.
「〜の方へ」を意味する英語の接尾辞として "-ward (-wards)" というものがある.例えば「海の方へ」なら "seaward" だし,「太陽方向の」なら "sunward" である.他にも inward や outward や eastward などいろいろある.

これを参考にして,原義寄り英訳試案として

マウンテンワード (Mountainward)

を提案したい.

ちなみにこの "mountainward" は辞書には載っていなかったので,seaward や sunward を参考にして今勝手に作った造語である.ただし,"mountainward" で完全一致検索をかけてみると「山の方向へ」という意味で使われている用例がかなり見られるので,辞書には載っていないものの単語として意味は取ってもらえるだろうと思われる.
福島県
直訳寄り英訳試案は

ラッキーアイランド (Lucky Island)

これはおそらくいろいろ意見がありそうな試案である.
「島」が "island" なのはおそらく異論は出ないと思われるが,問題は「福」である.イマイチしっくり来る英単語が無い.福の訳として "lucky" はなんだか安直な気がするし,そもそも訳語として適切なのか判然としない.そもそも福とは一体何なのかという深遠な問いに到達してしまう.

広辞苑で「福」を引くと,「さいわい。しあわせ。幸運。」と出て来るので,lucky は悪い訳ではなさそうだ.ただし意味合いとしては lucky 以外にも "fortune" も合いそうなので,フォーチュンアイランド (Fortune Island) という訳でも良さそうに思える.ラッキーアイランドよりは安直さが減ったように思える,ような気がする.


福島の由来については,「よく分からない」のが現状らしい.
なお、詳細な由来は不明とされています。
参考リンク
福島県の公式サイトの記述をしてこれである.まあ由来が諸説あって不明なものを,県の公式な見解としてどれか一つを断定的に書くことは出来ないだろうから仕方がない.

福島県の公式サイトの記述を参考にすると,福にあやかって福島と名付けた説と,吾妻おろしが吹き付けていた島を吹島と呼んだ説があるということになる (他にもいろいろあるらしい).

前者ならそのままラッキーアイランド (Lucky Island) で良さそうに思える.福にあやかったのは良いとして,島はどこから来たのだろうか.
一方で後者なら,風が吹き付ける島という意味になる.いろいろ訳はありそうだけど,シンプルにウィンディアイランド (Windy Island) で良い気がする.

福島の由来がこんなに分からないことだらけだったとは,都道府県名をいろんなパターンで英訳してみようなんてアホな事を思い付かなければ知ることもなかったかもしれない.

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