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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1710.09977
Masiero et al. (2017)
Palomar Optical Spectrum of Hyperbolic Near-Earth Object A/2017 U1
(双曲線軌道の地球近傍天体 A/2017 U1 のパロマー可視光スペクトル)

概要

2017 年 10 月 25 日,Minor Planet Center (MPC, 小惑星センター) が,Minor Planet Electronic Circular (MPEC) において C/2017 U1 の発見をアナウンスした.
この天体は,後の詳細な観測で彗星活動が見られなかったことを受け,A/2017 U1 と命名し直された.(※注釈:これらは小天体に付けられる仮符号であり,C は彗星,A は小惑星を意味している)

A/2017 U1 は双曲線軌道にあり,その軌道離心率は 1.191 ± 0.007 である.この天体の無限遠点での太陽に対する速度は ~ 25 km/s であり,太陽系の外部に起源を持つ天体である可能性があることを示唆している.そのためこの天体は,太陽に重力的に束縛されていない初めての小天体である.

この天体の存在が公表された時点で,パロマー山の Hale 5 m 望遠鏡の DBSP 可視光分光器を用いた観測を行っていた.ここでは A/2017 U1 の分光観測の結果について報告する.


観測は,A/2017 U1 の発見がアナウンスされた直後の UT (Universal Time, 世界時) 2017 年 10 月 25 日に行った.この時点で,A/2017 U1 は位相角が α = 19°,地球からの距離は 0.4 AU であった.

観測した時点で A/2017 U1 は V ~ 21 等級の明るさであったが,これは Hale 望遠鏡を持ってしても難しい観測対象であった.さらに,観測時の大気のシーイングはあまり良くなく,変動があり (2 - 3”),バックグラウンドの水準を超える検出可能なフラックスは無かった.

この天体の積分に費やした 3 時間のうち 3 分の 1 のみが,天体からのフラックスが見える有用なデータであった.合計で,300 秒の積算の 10 回の露光を組み合わせて,最終的なスペクトルを得た.使用したデータを取得したのは,UT 2017 年 10 月 25 日の 6:13 から 09:17 である.

結果

得られた A/2017 U1 のスペクトル中は,目立った特徴は示さなかった.

平坦なスペクトルからはわずか 2 σ のずれではあったが,SMASS サーベイ (Bus & Binzel 2002) で見つかっているどの分類よりも赤い色を示した.

測定されたスペクトルのスロープを単純に SDSS の g-r と r-z 色に変換すると (Fukugita et al. 1996),g-r = 0.47 と r-z = 0.58 という値を得た.これは,Col-OSSOS サーベイ (Pike et al. 2017) で得られているカイパーベルト天体のうち,非常に赤い色を持つ天体の値と同程度である (ただしこの観測では誤差が大きい).

今回の観測ではシグナルノイズ比が低いため,得られたデータについては非常に限定的な解釈しか出来なかった.しかし,A/2017 U1 は可視光の波長では赤みがかった色を持つように思われる.また,観測した波長の範囲では目立った吸収の特徴は見られなかった.






ニュースにもなった,太陽系外からやってきた可能性がある小天体 A/2017 U1 の分光観測の結果です.
スペクトルには目立った特徴は無く,一部のエッジワース・カイパーベルト天体と似たような赤っぽい色を示す可能性があるようです.


当初は彗星として C/2017 U1 という仮符号が与えられていましたが,彗星的な活動が見られなかったため,小惑星として A/2017 U1 という仮符号が与え直されました (C は comet,A は asteroid).

その後さらに,太陽系外に起源を持つ天体であることを示すため,I1/2017 U1 という仮符号が与え直されました.I は "interstellar" で,星間天体 (interstellar object) を意味しています.

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