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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1710.03454
Agarwal et al. (2017)
A binary main belt comet
(連星メインベルト彗星)

概要

小惑星は原始的な太陽系天体であり,衝突によって,あるいは高速自転による破壊を通じて進化する.この過程を通じて,連星小惑星を形成する可能性があり,またダストを放出することがある.ダストの放出は直接的に,あるいは場合によっては凍結した揮発性物質が外部に暴露されることによって起きる.

メインベルト彗星 (main-belt comets, MBCs,火星と木星の間の小惑星帯に存在する彗星) と呼ばれるグループでは,内部から掘り起こされた揮発性物質の昇華によって,一時的な彗星的な活動を引き起こすことがある.

揮発性物質の昇華によって彗星に与えられるトルクは彗星の自転速度に大きな影響を与え,二葉の彗星核に分裂する可能性がある.


キロメートルサイズのメインベルト彗星 288P (300163) は,2011 年に近日点を通過した周辺で,数ヶ月間の彗星的な活動を見せた.この活動は水氷の昇華によって維持され,本体は速い回転を持つと考えられている一方で,少なくとも1つの構成要素は 16 時間でゆっくり回転している.

288 P は,7.5 × 106 年前の破壊的な衝突の最中に,直径が ~ 10 km の前駆体から形成された,少なくとも 11 個の小惑星の若い族の一部である.

ここでは,288P は連星メインベルト彗星である事を報告する

この天体は,その軌道間隔,構成要素のサイズがほぼ等しいこと,軌道離心率が大きいこと,また彗星的な活動を起こすという点において,これまでに知られている連星小惑星とは異なる.また観測からは,288P の活動の駆動源は昇華が原因であることの強い証拠が発見された.

さらに,昇華によるトルクは連星の軌道進化に対して重要な役割を果たす可能性があることを示す.


2011 年からのハッブル宇宙望遠鏡の観測では,分解能の限界において 288P が連星である可能性が示されていた.

その後の近日点通過 (2016 年 11 月 8 日,太陽から 2.45 AU) を起こす少し前に,288P は地球の近くを通過した (2016 年 9 月11 日,1.45 AU).この時は距離が近いため,288P が連星であることをハッブル宇宙望遠鏡の観測で十分に分解することができた

ケプラーの第三法則から,この系の質量は 1.3 × 1012 - 1.1 × 1013 kg の範囲であると推定できる.ただしそれぞれの要素の形状が不明のため,平均密度はあまり制限できなかった.

連星の 2 つの構成要素は,平均輝度が類似しているため,両者は似たサイズであることが示唆される.どちらがダストの供給源かは決定できなかった.
また,連星軌道の離心率は > 0.6 であり,軌道周期は 100, 135, 175 日のいずれかである.

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