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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1710.03239
Hirano et al. (2017)
Planetary Systems around Low-mass Stars Unveiled by K2
(K2 によって明らかにされた低質量星周りの惑星系)

概要

ケプラー K2 ミッションで観測された低質量星周りの惑星候補の検出と,それらのフォローアップ観測について報告する.

光度曲線の解析,補償光学撮像観測,可視光での分光観測 (低分散と高分散両方,視線速度測定含む) から,ケプラー K2 の Campaign 5 - 10 の間に観測された,12 個の低質量星周りで合計 16 個の惑星を確定させた.

今回確定させた 16 個の惑星のうち 12 個は今回の研究で新しく確定したもので,軌道周期は 0.96 - 33 日の範囲にある.これらの惑星のうちの一つである EPIC 220621087.01 については,地上からのトランジット測光観測を行い,この天体の天体暦を更新した.

また,EPIC 220187552 で得られていたシグナルは偽陽性であり,惑星由来でないことを同定した.これは,高分解能の撮像観測によって視野中に複数の恒星が見られたことと,高分散スペクトル中に二重線が見られたことに基づく判断である.


今回発見した K2 ミッションでの M 型矮星まわりの惑星と,過去に存在が確定している惑星を合わせ,惑星半径の恒星輻射と金属量 [Fe/H] への依存性を調べた,

中間サイズの惑星 (2 - 5 地球半径) は,おそらく大気の光蒸発による半径収縮を経験したように思われ,また最も低温な M 型矮星まわりの低い日射量においても収縮が起きている兆候を発見した.

3 地球半径程度よりも大きい半径を持つ惑星は,もっとも金属量豊富な部類の M 型矮星の周りのみで発見された.

最も低温な M 型矮星 (有効温度 ≲ 3500 K) では,惑星サイズと金属量の間に相関が見られた.

パラメータ

EPIC 211331236 系

EPIC 211331236
スペクトル型:M1.0V
有効温度:3676 K
金属量:[Fe/H] = -0.22
半径:0.513 太陽半径
質量:0.532 太陽質量
光度:0.044 太陽光度
距離:100 pc
EPIC 211331236.01
軌道周期:1.291563 日
半径:2.03 地球半径
軌道長半径:0.0188 AU
日射量:地球の 123.6 倍
EPIC 211331236.02
軌道周期:5.44425 日
半径:1.94 地球半径
軌道長半径:0.0491 AU
日射量:地球の 18.1 倍
EPIC 211331236 系の概要
観測は K2 の Campaign 5 の期間に行われた.

EPIC 211331236.01 は Pope et al. (2016) で検出が報告され,後に Dressing et al. (2017) で存在が確定した,また Dressing et al. (2017) では EPIC 211331236.02 の検出を報告している.

ここでは,それらとは独立の観測で惑星の存在を確定した.

トランジット時刻には,明確なトランジット時刻変動 (transit timing variaiton, TTV) のシグナルは見られなかった.

EPIC 211924657 系

EPIC 211924657
スペクトル型:M3.0V
有効温度:3385 K
金属量:[Fe/H] = -0.02
半径:0.350 太陽半径
質量:0.358 太陽質量
光度:0.015 太陽光度
距離:86 pc
EPIC 211924657.01
軌道周期:2.644646 日
半径:2.20 地球半径
軌道長半径:0.0266 AU
日射量:地球の 20.7 倍
EPIC 211924657 系の概要
観測は K2 の Campaign 5 の期間に行われた.
今回のサンプルの中で最も低温の恒星である.

Pope et al. (2016) と Dressing et al. (2017) で,惑星候補の存在が報告されていた,また TTV シグナルの存在の可能性についても報告されていた.

今回の観測でも TTV のシグナルを検出した.強いシグナルであり,非常に重い惑星が存在しているか,あるいは軌道共鳴に入っている惑星があるかだと考えられる.ただし TTV シグナルの詳細な解析にはここでは立ち入らない.

この恒星は可視光では非常に暗いが,近赤外線では視線速度観測を行い惑星の質量が決定できる可能性がある.Weiss & Marcy (2014) の経験的な質量-半径関係によると,この惑星の半径から,質量は 5.6 地球質量と推定される.この質量に相当する視線速度の半振幅は 5.1 m/s である.

EPIC 212006344 系

EPIC 212006344
有効温度:3903 K
金属量:[Fe/H] = 0.37
半径:0.612 太陽半径
質量:0.644 太陽質量
光度:0.079 太陽光度
距離:74 pc
EPIC 212006344.01
軌道周期:2.219315 日
半径:1.22 地球半径
軌道長半径:0.0288 AU
日射量:地球の 95.7 倍
EPIC 212006344 系の概要
観測は K2 の Campaign 5 の期間に行われた.
中心星は非常に金属量が豊富な恒星である.

この恒星では,Pope et al. (2016) で惑星候補の検出が報告されており,後に Dressing et al. (2017) で惑星の存在が確定されている.

この恒星の視線速度の測定も行ったが変動は小さく,非検出とみなせる程度であった.視線速度変動の 1 σ の上限値から与えられる質量の上限値は 2.9 地球質量であった.これは,惑星の組成が地球と幾分か似ていることを示唆するものである.今後の詳細な観測による質量決定に期待したい.

EPIC 212069861 系

EPIC 212069861
有効温度:3880 K
金属量:[Fe/H] = -0.02
半径:0.592 太陽半径
質量:0.615 太陽質量
光度:0.051 太陽光度
距離:156 pc
EPIC 212069861.01
軌道周期:30.9542 日
半径:2.66 地球半径
軌道長半径:0.1641 AU
日射量:地球の 2.7 倍
EPIC 212069861 系の概要
観測は K2 の Campaign 5 の期間に行われた.

惑星候補は Pope et al. (2016) で検出が報告され,後に Dressing et al. (2017) で確定された.

この惑星のボンドアルベドを地球と同じ 0.3 であると仮定すると,平衡温度は 325 K となり,ハビタブルゾーンの付近にあると期待される.

惑星のトランジット深さは中間的な値の ~ 0.2%であり,これは口径 2 m 級望遠鏡で可能である.しかし軌道周期が長いため,完全なトランジットを観測出来る機会は少ない.

EPIC 213715787 系

EPIC 213715787
有効温度:3672 K
金属量:[Fe/H] = 0.19
半径:0.554 太陽半径
質量:0.583 太陽質量
光度:0.051 太陽光度
距離:88 pc
EPIC 213715787.01
軌道周期:0.961917 日
半径:1.38 地球半径
軌道長半径:0.0159 AU
日射量:地球の 200.1 倍
EPIC 213715787 系の概要
観測は K2 の Campaign 7 の期間に行われた.

この惑星は超短周期 (ultra-short period, USP) の軌道にある惑星である.検出・確定はこれが初めての報告である.exoplanet.eu のデータによると,M 型矮星まわりにおける USP 惑星 (軌道周期 1 日未満) としては 7 番目の発見例である.

なおこれまでの M 型矮星周りの超短周期惑星は,ケプラー32f,ケプラー42c,ケプラー732c,KOI-1843.03 (Rappaport et al. 2013),K2-22b (Sanchis-Ojeda et al. 2015),EPIC 229913918b (Smith et al. 2017) である.
興味深いことに,これらの惑星は軌道周期の増加にともなって半径が増大する傾向を示す.

EPIC 220194974 系

EPIC 220194974
有効温度:4079 K
金属量:[Fe/H] = -0.11
半径:0.632 太陽半径
質量:0.650 太陽質量
光度:0.101 太陽光度
距離:121 pc
EPIC 220194974.01
軌道周期:4.38395 日
半径:1.33 地球半径
軌道長半径:0.0454 AU
日射量:地球の 48.8 倍
EPIC 220194974.02
軌道周期:6.92260 日
半径:1.73 地球半径
軌道長半径:0.0616 AU
日射量:地球の 26.5 倍
EPIC 220194974.03
軌道周期:9.7579 日
半径:1.64 地球半径
軌道長半径:0.0774 AU
日射量:地球の 16.8 倍
EPIC 220194974 系の概要
観測は K2 の Campaign 8 の期間に行われた.

この恒星は,EPIC 220194953 と重力的に束縛されている可能性がある.固有運動を測定した結果同じ固有運動を共有していることが分かったため,束縛されていると考えられる.
天球上に射影した恒星間距離は 1100 AU である.EPIC 220194953 の周りにも惑星が存在しないかどうか期待される.

EPIC 220194974.01 と EPIC 220194974.02 の軌道周期は,2:3 の平均運動共鳴 (mean motion resonance, MMR) に近い.

TTV を測定したが,明確なシグナルは検出され無かった.これは,おそらく惑星の質量が軽いためである.

EPIC 220522664 系

EPIC 220522664
スペクトル型:M1.0V
有効温度:3745 K
金属量:[Fe/H] = 0.11
半径:0.568 太陽半径
質量:0.595 太陽質量
光度:0.049 太陽光度
距離:118 pc
EPIC 220522664.01
軌道周期:11.3320 日
半径:1.64 地球半径
軌道長半径:0.0830 AU
日射量:地球の 7.0 倍
EPIC 220522664 系の概要
観測は K2 の Campaign 8 の期間に行われた.

EPIC 220598331 系

EPIC 220598331
スペクトル型:M2.5V
有効温度:3499 K
金属量:[Fe/H] = 0.09
半径:0.436 太陽半径
質量:0.457 太陽質量
光度:0.026 太陽光度
距離:110 pc
EPIC 220598331.01
軌道周期:10.59357 日
半径:2.00 地球半径
軌道長半径:0.0727 AU
日射量:地球の 4.9 倍
EPIC 220598331 系の概要
観測は K2 の Campaign 8 の期間に行われた.

EPIC 220598331.01 は,軌道周期と惑星サイズの観点で EPIC 220522664.01 と類似している.ただし恒星の表面温度が低い事は違う

EPIC 220621087 系

EPIC 220621087
スペクトル型:M1.5V
有効温度:3585 K
金属量:[Fe/H] = -0.32
半径:0.429 太陽半径
質量:0.440 太陽質量
光度:0.028 太陽光度
距離:62.7 pc
EPIC 220621087.01
軌道周期:3.385592 日
半径:1.35 地球半径
軌道長半径:0.0365 AU
日射量:地球の 20.8 倍
EPIC 220621087 系の概要
観測は K2 の Campaign 8 の期間に行われた.

惑星の EPIC 220621087.01 は,サイズ的には地球型惑星であることが示唆される.

視線速度を測定したが,この系が食連星である可能性は除外された.

EPIC 201128338 系

EPIC 201128338
スペクトル型:M0.0V
有効温度:3940 K
金属量:[Fe/H] = 0.09
半径:0.631 太陽半径
質量:0.654 太陽質量
光度:0.087 太陽光度
距離:112 pc
EPIC 201128338.01
軌道周期:32.6527 日
半径:2.81 地球半径
軌道長半径:0.1735 AU
日射量:地球の 2.9 倍
EPIC 201128338 系の概要
観測は K2 の Campaign 10 の期間に行われた.

惑星 EPIC 201128338.01 はミニネプチューンサイズである.

惑星のボンドアルベドを 0.3 と仮定すると,平衡温度は 331 K となり,ハビタブルゾーンの近くに位置している.

トランジット深さが ~ 0.2%と中間的な大きさであり,可視光と近赤外線双方で,地上からの視線速度観測が期待される.質量-半径関係からは ~ 7.0 地球質量が期待され,この質量は ~ 1.9 m/s の半振幅の視線速度変動に対応している.

EPIC 201598502 系

EPIC 201598502
スペクトル型:M3.0V
有効温度:3720 K
金属量:[Fe/H] = -0.26
半径:0.495 太陽半径
質量:0.512 太陽質量
光度:0.043 太陽光度
距離:126 pc
EPIC 201598502.01
軌道周期:7.51554 日
半径:2.00 地球半径
軌道長半径:0.0601 AU
日射量:地球の 11.8 倍
EPIC 201598502 系の概要
観測は K2 の Campaign 10 の期間に行われた.

EPIC 228934525 系

EPIC 228934525
スペクトル型:M0.0V
有効温度:3978 K
金属量:[Fe/H] = 0.19
半径:0.649 太陽半径
質量:0.672 太陽質量
光度:0.096 太陽光度
距離:133 pc
EPIC 228934525.01
軌道周期:3.67635 日
半径:2.23 地球半径
軌道長半径:0.0408 AU
日射量:地球の 57.5 倍
EPIC 228934525.02
軌道周期:7.95478 日
半径:2.10 地球半径
軌道長半径:0.0683 AU
日射量:地球の 20.5 倍
EPIC 228934525 系の概要
観測は K2 の Campaign 10 の期間に行われた.

2 つの惑星の軌道周期は 2:1 共鳴に近い値であった.なお TTV のシグナルは検出されなかった.

その他

EPIC 220187552 系

この天体においても,トランジット状のシグナルが検出された.シグナルの周期は 17.09 日で,減光の深さは 0.245%,継続時間は 1.64 時間であった.

しかしこの系は, ~ 0”.3 離れた少なくとも 2 つの恒星からなる.
トランジットの光度曲線は V 字型であり,連星の grazing transit (かすめるような食連星) によるシグナルだと考えられる.従ってこの恒星は,伴星 (晩期 M 型星か褐色矮星) との食連星である.

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