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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.00426
Beth et al. (2015)
Theory for planetary exospheres: III. Radiation pressure effect on the Circular Restricted Three Body Problem and its implication on planetary atmospheres
(惑星外気圏の理論3:輻射圧が円制限三体問題に与える影響と惑星大気への応用)
恒星からの輻射圧の効果を、円制限三体問題に取り入れた (photograbitational CR3BP)。
(円制限三体問題 Circular Restricted 3 Body Problem, CR3BP)
またその結果を、惑星 (特にホットジュピター)の外気圏の安定性と大気散逸について応用した。
等ポテンシャル面の変形と、ラグランジュ点の位置を記述する。また、輻射圧の効果が入った、修正されたヒル球の方程式も与える。
これをホットジュピターの HD 209458bに適用し、恒星の輻射圧によって大気が噴出するレジームが存在することを示した。
βは輻射圧による加速度と、恒星による重力加速度の比を表している。
βが大きくなると、ラグランジュ点は恒星寄りに移動する。
輻射圧は恒星の重力とは逆方向に働く力なので、βが上昇した場合は釣り合いのためには恒星に近づく必要がある。
また、βが1の時、L2 (恒星から見て惑星の背後)以外のラグランジュ点は消失する。
L2もβが上昇するに連れ惑星に近づくため、作用圏もしくはロッシュローブは小さくなる。
例として、β = 0の輻射圧を一切考えない古典的なヒル半径は、地球の場合は 234.9地球半径だが、β = 0.6の場合はヒル半径は 52.68地球半径、β = 1.2で 37.23地球半径になる。
このモデルでも噴出が発生するという点は同じだが、発生する理由は異なる。
輻射圧がL1やロッシュローブを恒星に近づけるため惑星からは離れていくが、L2は惑星に近づいていき、外圏底付近に、場合によっては惑星の"表面"に近づく。
よって外気圏の温度が低い場合でも、大気の粒子が脱出するのにはエネルギーは不要となる。
初期の太陽はLyman αの放射が現在の 20倍だった(Lammer et al. 2013)。そのためβは 0.6 - 1.2あたりではなく、~ 40程度だったと考えられる。
従って、金星・地球・火星の水素の作用圏は、4 - 6惑星半径程度となる。
この領域を超えると、水素 (そして水素と同じβを持つ分子種)は、重力に束縛されず惑星間空間へ簡単に散逸することが出来る。
なお、外気圏の温度 8000 K、外圏底を 2.8惑星半径、外圏底での気体の個数密度を 1013 m-3としている。
この値は、観測から示唆されている値と無矛盾である。
HD 209458bでは、ヒル球の半径は外圏底よりも下か、場合によっては表面よりも下になりうる。
これは、気体の脱出速度が仮想的に0になり、ジーンズパラメータが0となるのに対応している。
arXiv:1508.00426
Beth et al. (2015)
Theory for planetary exospheres: III. Radiation pressure effect on the Circular Restricted Three Body Problem and its implication on planetary atmospheres
(惑星外気圏の理論3:輻射圧が円制限三体問題に与える影響と惑星大気への応用)
概要
惑星大気への恒星の輻射圧の効果を取り入れた、ハミルトニアンアプローチからの解析的なモデルを提案する。恒星からの輻射圧の効果を、円制限三体問題に取り入れた (photograbitational CR3BP)。
(円制限三体問題 Circular Restricted 3 Body Problem, CR3BP)
またその結果を、惑星 (特にホットジュピター)の外気圏の安定性と大気散逸について応用した。
等ポテンシャル面の変形と、ラグランジュ点の位置を記述する。また、輻射圧の効果が入った、修正されたヒル球の方程式も与える。
これをホットジュピターの HD 209458bに適用し、恒星の輻射圧によって大気が噴出するレジームが存在することを示した。
結果
ラグランジュ点の変化
パラメータとして、βを導入する。βは輻射圧による加速度と、恒星による重力加速度の比を表している。
βが大きくなると、ラグランジュ点は恒星寄りに移動する。
輻射圧は恒星の重力とは逆方向に働く力なので、βが上昇した場合は釣り合いのためには恒星に近づく必要がある。
また、βが1の時、L2 (恒星から見て惑星の背後)以外のラグランジュ点は消失する。
L2もβが上昇するに連れ惑星に近づくため、作用圏もしくはロッシュローブは小さくなる。
ヒル圏の変化
輻射圧入りのヒル球についても解析的に導出した。例として、β = 0の輻射圧を一切考えない古典的なヒル半径は、地球の場合は 234.9地球半径だが、β = 0.6の場合はヒル半径は 52.68地球半径、β = 1.2で 37.23地球半径になる。
大気の安定性
Lecavelier des Etangs et al. (2004)によると、HD 209458bでは惑星の外圏底が変形し、L1が惑星に近いため、幾何学的な噴出 (blow-off)が発生するとされている。よって大気の粒子はより低エネルギーで脱出し散逸することが出来る。このモデルでも噴出が発生するという点は同じだが、発生する理由は異なる。
輻射圧がL1やロッシュローブを恒星に近づけるため惑星からは離れていくが、L2は惑星に近づいていき、外圏底付近に、場合によっては惑星の"表面"に近づく。
よって外気圏の温度が低い場合でも、大気の粒子が脱出するのにはエネルギーは不要となる。
初期の太陽はLyman αの放射が現在の 20倍だった(Lammer et al. 2013)。そのためβは 0.6 - 1.2あたりではなく、~ 40程度だったと考えられる。
従って、金星・地球・火星の水素の作用圏は、4 - 6惑星半径程度となる。
この領域を超えると、水素 (そして水素と同じβを持つ分子種)は、重力に束縛されず惑星間空間へ簡単に散逸することが出来る。
大気散逸率
HD 209458bの大気散逸率の見積もりは、5 × 1010 g s-1となった。なお、外気圏の温度 8000 K、外圏底を 2.8惑星半径、外圏底での気体の個数密度を 1013 m-3としている。
この値は、観測から示唆されている値と無矛盾である。
HD 209458bでは、ヒル球の半径は外圏底よりも下か、場合によっては表面よりも下になりうる。
これは、気体の脱出速度が仮想的に0になり、ジーンズパラメータが0となるのに対応している。
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