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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1710.06200
Bhatt et al. (2017)
Composition of Jupiter irregular satellites sheds light on their origin
(木星の不規則衛星の組成がそれらの起源へのヒントを与える)

概要

木星の不規則衛星で軌道離心率と傾斜角が大きく,木星からの距離が離れた軌道を持つという特徴は,巨大惑星の移動の直前に木星によって捕獲されて衛星になったことを示唆している.

太陽系が形成されている際の狭い時間ウィンドウに関する理解を深めるため,木星の不規則衛星の表面組成の理解を改善することを目指す.ここでは,木星の不規則衛星の Himalia (ヒマリア)Elara (エララ)Carme (カルメ) を,NASA の Infrared Telescope Facility (IRTF) の 0.8 - 5.5 µm の中間分解能分光器 SpeX を用いて観測した.

観測の結果,これらの衛星の表面は炭素質コンドライト隕石に見られるような,不透明な物質で占められていることを確認した.

ヒマリアとエララの近赤外線スペクトルを元にしたモデリングからは,この 2 つの衛星の表面組成は同じであり,磁鉄鉱 (magnetite) が主要な鉱物である事を確認した

ヒマリアのスペクトル形状を,2 つの大きな C 型小惑星,Themis (テミス,直径 ~ 176 km) と Europa (エウロパ,直径 ~ 352 km) と比較した結果,表面組成はエウロパと似ている事が判明した.

カルメの近赤外線スペクトルは,1.5 µm までは青い側が強いスロープを持っていた.そしてヒマリアとエララでは,スペクトル的に異なる特徴を示すことが判明した.ここでのモデルは,アモルファス炭素と組成的に類似していることを示唆している.

ヒマリアとエララは組成的には類似しているが,カルメとは大きく異なる特徴を持つ.これらの結果は,木星の不規則衛星は捕獲後にさらなる破壊イベントに晒され,類似した物理的・表面組成を持つ族 (family) としてまとまった,捕獲された天体であるという仮説を支持するものである.

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