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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1710.06479
Casasayas-Barris et al. (2017)
Detection of sodium in the atmosphere of WASP-69b
(WASP-69b の大気におけるナトリウムの検出)

概要

トランジット分光観測は,系外惑星の大気を特徴づける手段として最もよく使われる.地上からの観測の場合,地球の大気やその変動の影響で観測は非常に難しいが,高スペクトル分解能での観測を行うことによってこの困難を乗り越えている.

ここでは WASP-69b の,589 nm の Na I doublet 線周辺の波長帯における大気の透過スペクトルを分析した.この惑星は K 型星の周りを公転するホットジュピターであり,軌道周期は 3.969 日である.
この惑星の解析結果を,よく知られているホットジュピター HD 189733b の透過スペクトルと比較した.また WASP-69b のロシター効果 (Rossiter-McLaughlin effext) の分析も行った.

WASP-69b の観測は,TNG 望遠鏡にある High Accuracy Radial velocity Planet Searcher (HARPS-North) の分光器 (分解能 R = 115000) を用いて,合計 2 回のトランジットを観測した.取得したスペクトルと,地球大気の水蒸気のモデルを用いて,スペクトルへの地球大気による混入を除去した.そして,微分分光観測と共通の手段を用いて惑星大気の透過スペクトルを抽出した.
この手法は,これまでに広く研究されている系外惑星 HD 189733b のアーカイブトランジットデータを用いて検証し,その後 WASP-69b のデータ解析に適用している.

HD 189733b では,Na I doublet 線をスペクトル分解することが出来た,またスペクトル線のコントラストに対して,D2 線が 0.72%,D1 線が 0.51%,半値全幅はそれぞれ 0.64 Å と 0.60 Å という制約を与えた,これは過去の観測結果と一致する結果である.

WASP-69b の場合,D2 ラインのコントラスト 5.8%のみが測定された.これは 1.5 Å のパスバンドでの 0.5%の超過吸収を 5 σ で検出したことに相当する結果である.

HD 189733b で測定された合計の青方偏移は ~ 0.04 Åであったが, WASP-69b では検出されなかった.
ロシター効果に関しては,角回転が 0.24 rad/day と測定された,天球面に射影した恒星の自転軸と惑星の公転軸の角度は 0.4°と推定される.
また HD 189733b の結果については,過去に得られていたものと一致した.

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