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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.03558
Portegies Zwart et al. (2017)
The origin of interstellar asteroidal objects like 1I/2017 U1
(1I/2017 U1 的な恒星間小惑星天体の起源)

概要

恒星間天体 1I/2017 U1 (1I/’Oumuamua) (オウムアムア) の発見により,太陽系は孤立しているわけではなく,相互作用する大きな環境の一部であることを再認識させられた.

ここでは,1I/2017 U1 の運動学と,銀河系のシミュレーション,Gaia TGAS のデータを比較し,1I/2017 U1 に類似した天体の局所的な個数密度を推定し,またそのような天体の起源について考察した.


運動学的には,1I/2017 U1 は 1.3 Myr (130 万年) 前に,近傍の恒星 TYC4742-1027-1 から 0.16 pc の位置を通過したと考えられる.しかし 1I/2017 U1 がこの恒星の周りにあると思われるオールトの雲に起源を持つとは考えにくく,単に通過しただけだと考えられる.


ここでの計算に基づき,”sola lapis” (束縛されていない非彗星の小惑星状天体) のポピュレーションは,同様の彗星状天体のそれよりもずっと多いと結論付ける.

1I/2017 U1 に類似した特徴を持つ天体の数は非常に一般的であり,同程度のサイズを持つこのような天体の個数密度は,太陽から 100 au 以内には 3 × 105 個,あるいは太陽の近傍の空間で 1 立方パーセク当たり 1014 個であると推定される

銀河のシミュレーション結果と Gaia DR1 TGAS のデータを比較した結果,1I/2017 U1 の運動学は,局所銀河ポテンシャルの一部である孤立した天体の星間分布から期待されるものと整合的であった.そのため,この天体が太陽系を訪れる前にどの程度の期間銀河系内を漂っていたのかを推定するのは難しい.

また,このような天体 (solae lapides) は,銀河系内に豊富に存在すると考えられる.このような天体は,星と惑星形成過程から残されたデブリ円盤で形成されたと推測される.母星団内の恒星あるいは惑星系円盤内での共鳴相互作用に起因してこれらの天体は主星から解放され,星間空間を自由に浮遊する.

導出された銀河系内での平均密度からは,このような訪問者は非常に一般的であると予想され,我々は 1I/2017 U1 に偶然遭遇している最中である.

天体の特徴

1I/2017 U1 (1I/’Oumuamua) の近日点距離は 0.254 AU で,軌道離心率は 1.1971,また無限遠での太陽との相対速度は 26 km/s である.

天体のスペクトルはカイパーベルト天体のものと類似しているが,一方でメインベルトの小惑星としては赤すぎる (Masiero 2017).

銀河中心に対する速度を考慮すると,太陽の近傍の恒星に起源があるとは考えづらい (Mamajek 2017, dela Fuente Marcos & de la Fuente Marcos 2018),しかし,起源としてありうる候補は,近傍の惑星系 Luhman 16 (ルーマン16) で,0.059 太陽質量である.あるいは,近傍の若い恒星の星団 Carina か Columbia に起源を持ち,1 - 2 km/s で射出された可能性も指摘されている (Gaidos et al. 2017).

議論と結論

このような恒星間天体の個数密度の推定値は,~ 0.08 au-3 (1 立方天文単位中に 0.08 個),あるいは 7 × 1014 pc-3 である.
これは大きな値だが,星と惑星形成過程ではじき出されるデブリの量とは矛盾しない.

恒星間小惑星の個数密度についての過去の推定は,銀河系中心の大質量ブラックホールいて座A* で毎日のように発生する X 線フレアを説明するために行われた (Hamers & Portegies Zwart 2015).その研究では 1014 pc-3 という値を得ている.これは,ここでの推定より数ファクターだけ小さいのみである.

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