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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.02365
Spalding & Batygin (2015)
Magnetic Origins of the Stellar Mass-Obliquity Correlation in Planetary Systems
(惑星系における恒星質量と軌道傾斜角の相関の磁気起源)
最近では、若い恒星の磁場強度にも似たような傾向があることが分かってきた。
重いT Tauri星は、軽いものよりも10倍弱い双極磁場を持っていることが観測から判明している。
ここでは、恒星自転軸と惑星の公転軸の不一致が円盤を持っている段階に発生する場合、磁気的な恒星と円盤のトルクの恒星質量への依存性が、観測されているspin-orbit misalignmentの傾向を自然に説明できることを示す。
中心星が軽い場合、磁気的トルクは中心星の自転軸を、円盤の典型的な寿命よりもずっと短い時間で円盤平面に揃えることが出来る。しかし重い恒星の場合は揃えるまでのタイムスケールが長くなる。
今回の結果は、短周期惑星の内側への移動機構は円盤駆動の移動が主要である事を示す。
また、短周期惑星でのspin-orbit misalignmentが、円盤が散逸した後の力学的な相互作用によって実現されたものである場合は、観測された中心星質量との相関を示さないということを予言する。
トランジット惑星の中には、順行軌道のものから逆行軌道のものまで発見されている。
Spin-orbit misalignmentは中心星の質量に強く依存していることが観測から判明している。
中心星の質量が 1.2太陽質量程度より大きいものでは、恒星の自転軸と惑星の公転軸が大きくずれたものが発見されているが、1.2太陽質量より小さい場合はずれは小さい。
このmisalignmentの説明のために、円盤駆動の惑星移動に代わる、数多くの傾いたホットジュピターの生成メカニズムが研究されてきた。
円盤駆動の惑星移動の"スムーズな"描像とは対照的なものとして、円盤が散逸した後の惑星移動がある。
例として、惑星同士の相互作用によって離心率が e ~ 1程度に励起され、近星点付近で潮汐によって円軌道化されるというものである。
相互作用としては、
・惑星同士の遭遇による軌道散乱
・遠方を公転する伴星による古在効果 (Kozai effect)
・Secular chaotic excursions
が考えられている。
しかし、これらの機構では観測から示唆される発見頻度を説明することが出来ないとされている(Dawson et al. 2015)。
円盤駆動の惑星移動ではspin-orbit misalignmentの説明は厳しいのだろうか?
円盤が伴星から影響を受けて恒星の自転軸とズレが生じた場合は、結果としてspin-orbit misalignmentが実現されないだろうか?
観測からは、伴星の公転平面は円盤の配置との相関はないという事が示されている。
従って、円盤の歳差運動が恒星と円盤の軸をズレされるという効果が考えられる。
この論文では、円盤と恒星の軸のズレと、恒星の磁場強度を合わせて説明できるモデルを提案する。
観測からは、低質量のT Tauri星は ~ 1 kG程度の双極磁場強度を持っているが、質量が重いT Tauri星の場合は ~ 0.1 kG程度であることが判明している(Gregory et al, 2012)。
この傾向は、1.5 - 8太陽質量のハービッグAe/Be星でも同様である。
これらの観測結果は、双極磁場強度は恒星質量に依存し、本質的に前主系列進化と関係していることを示唆している。
低質量星の強い磁場は初期の円盤と恒星自転軸のズレを消し、質量が重く磁場強度が弱い場合はズレを保つ事ができるという結果となった。
この結果は、観測されているspin-orbit misalignmentの中心星質量への依存性を説明することが出来る。
arXiv:1508.02365
Spalding & Batygin (2015)
Magnetic Origins of the Stellar Mass-Obliquity Correlation in Planetary Systems
(惑星系における恒星質量と軌道傾斜角の相関の磁気起源)
概要
太陽質量の1.2倍より重い恒星は、恒星の自転軸と惑星の公転軸の不一致 (spin-orbit misalignment)がある場合が多い。対照的に、軽い中心星の場合は不一致が少ない傾向がある。最近では、若い恒星の磁場強度にも似たような傾向があることが分かってきた。
重いT Tauri星は、軽いものよりも10倍弱い双極磁場を持っていることが観測から判明している。
ここでは、恒星自転軸と惑星の公転軸の不一致が円盤を持っている段階に発生する場合、磁気的な恒星と円盤のトルクの恒星質量への依存性が、観測されているspin-orbit misalignmentの傾向を自然に説明できることを示す。
中心星が軽い場合、磁気的トルクは中心星の自転軸を、円盤の典型的な寿命よりもずっと短い時間で円盤平面に揃えることが出来る。しかし重い恒星の場合は揃えるまでのタイムスケールが長くなる。
今回の結果は、短周期惑星の内側への移動機構は円盤駆動の移動が主要である事を示す。
また、短周期惑星でのspin-orbit misalignmentが、円盤が散逸した後の力学的な相互作用によって実現されたものである場合は、観測された中心星質量との相関を示さないということを予言する。
研究の背景
トランジット時のロシター効果から、惑星のspin-orbit misalignmentの測定が可能になってきている。トランジット惑星の中には、順行軌道のものから逆行軌道のものまで発見されている。
Spin-orbit misalignmentは中心星の質量に強く依存していることが観測から判明している。
中心星の質量が 1.2太陽質量程度より大きいものでは、恒星の自転軸と惑星の公転軸が大きくずれたものが発見されているが、1.2太陽質量より小さい場合はずれは小さい。
このmisalignmentの説明のために、円盤駆動の惑星移動に代わる、数多くの傾いたホットジュピターの生成メカニズムが研究されてきた。
円盤駆動の惑星移動の"スムーズな"描像とは対照的なものとして、円盤が散逸した後の惑星移動がある。
例として、惑星同士の相互作用によって離心率が e ~ 1程度に励起され、近星点付近で潮汐によって円軌道化されるというものである。
相互作用としては、
・惑星同士の遭遇による軌道散乱
・遠方を公転する伴星による古在効果 (Kozai effect)
・Secular chaotic excursions
が考えられている。
しかし、これらの機構では観測から示唆される発見頻度を説明することが出来ないとされている(Dawson et al. 2015)。
円盤駆動の惑星移動ではspin-orbit misalignmentの説明は厳しいのだろうか?
円盤が伴星から影響を受けて恒星の自転軸とズレが生じた場合は、結果としてspin-orbit misalignmentが実現されないだろうか?
観測からは、伴星の公転平面は円盤の配置との相関はないという事が示されている。
従って、円盤の歳差運動が恒星と円盤の軸をズレされるという効果が考えられる。
この論文では、円盤と恒星の軸のズレと、恒星の磁場強度を合わせて説明できるモデルを提案する。
観測からは、低質量のT Tauri星は ~ 1 kG程度の双極磁場強度を持っているが、質量が重いT Tauri星の場合は ~ 0.1 kG程度であることが判明している(Gregory et al, 2012)。
この傾向は、1.5 - 8太陽質量のハービッグAe/Be星でも同様である。
これらの観測結果は、双極磁場強度は恒星質量に依存し、本質的に前主系列進化と関係していることを示唆している。
低質量星の強い磁場は初期の円盤と恒星自転軸のズレを消し、質量が重く磁場強度が弱い場合はズレを保つ事ができるという結果となった。
この結果は、観測されているspin-orbit misalignmentの中心星質量への依存性を説明することが出来る。
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