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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1712.01285
Garhart et al. (2017)
Spitzer Secondary Eclipses of Qatar-1b
(Qatar-1b のスピッツァー二次食)

概要

ホットジュピター Qatar-1b の Ks バンドでの過去の二次食観測では,この惑星の昼側の温度が非常に高いことが示唆されている.これは,惑星内での熱の再分配が小さいことを示している.
また軌道がやや偏心しているという示唆もあり,この系内にあるかもしれない別の惑星から影響を受けている可能性もある.

ここでは,スピッツァー宇宙望遠鏡を用いた Qatar-1b の二次食 (secondary eclipse) の観測から,この惑星の昼側の温度と軌道離心率についての研究を行った.スピッツァー宇宙望遠鏡の IRAC を用いて,3.6, 4.5 µm の波長で二次食の観測を行った.


観測の結果,3.6 µm での二次食深さは 0.149 ± 0.051%,4.5 µm は 0.273 ± 0.049% であった.

惑星を黒体と仮定して,今回の観測データと最近の Ks バンドでの二次食観測の結果をフィッティングしたところ,惑星の昼側の輝度温度は 1506 K と推定された.この惑星へのモデル大気との比較からは,経度方向の熱の再分配は,大気が昼夜で完全に一様な状態と,熱が全く分配されない状態の中間程度の度合いであることが示唆された.

そのため,この惑星の新しいスペクトルがモデル大気の予測と大きく逸脱していない限り,昼側の温度は過去の地上観測の Ks バンドでの観測から示唆される温度 (1885 K) ほど高くはない.

また,スピッツァー宇宙望遠鏡での平均の中心位相から軌道離心率を求めた所,円軌道と整合的であった.

Qatar-1b について

この惑星は,Qatar Exoplanet Survey (QES,Alsubai et al. 2011) で発見された初めての惑星である.
金属量豊富な K 型矮星を 1.42 日周期で 0.023 AU の距離を公転している.惑星質量は 1.33 木星質量で,半径は 1.18 木星半径である (Covino et al. 2013).

また Ks バンドで二次食 (惑星が恒星の背後に隠れる現象) が検出されており,この観測からはこの惑星がわずかに軌道離心率を持つことが示唆されている (Cruz et al. 2016).過去の Ks バンドの二次食観測は Canada-France-Hawaii Telescope で行われた (Croll et al. 2015).この観測では離心率の証拠は得られず.

Alsubai et al. (2011) では,軌道離心率については円軌道がもっともらしい (離心率はほぼ 0 である) としたが,上限値として 0.24 という値を与えた.

von Essen et al. (2013) はこの系の長期間のトランジット時刻変動を 190 日に渡って観測し,この系内に二番目の天体が存在する可能性を示唆した.この仮説上の二つ目の惑星が,Qatar-1b の軌道離心率を,潮汐円軌道化に対抗して維持している可能性がある.

しかし他の 2 つのトランジット解析では,トランジット時刻変動が存在する証拠についての結論は得られていないか,あるいはトランジット時刻変動の非検出を報告している (Mislis et al. 2015,Maciejewski et al. 2015).

また,Cruz et al. (2016) ではこの惑星の二次食の深さから,昼側の輝度温度が 1885 K であると推定した.

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