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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1801.07753
O’Gorman et al. (2018)
A search for radio emission from exoplanets around evolved stars
(進化した恒星まわりの系外惑星からの電波放射の探査)

概要

これまでの系外惑星からの電波放射の研究の大部分は,短周期惑星,つまりいわゆるホットジュピターと呼ばれるタイプの惑星に注目したものであった.しかし,これらの惑星は自転が潮汐的に固定されており,観測で用いられているような低い周波数 (典型的には 150 MHz 以上) での電子サイクロトロンメーザー放射を起こすような十分に強い磁場は生成できないと考えられる.

それと比べると,進化した恒星からの大きな質量放出は,大きな軌道長半径を持つ系外惑星から検出可能な電波を放射させることが出来ると考えられる.

ここでは,太陽に比べて大きな電離した質量放出を持つ進化した恒星の場合,惑星表面の磁場強度が > 50 G の場合はLow Frequency Array (LOFAR) の 150 MHz (波長 2 m) で惑星からの電波放射が検出できることを初めて指摘する.

また,進化した恒星 β Gem (ふたご座ベータ星,ポルックス),ι Dra (りゅう座イオタ星),β UMi (こぐま座ベータ星) を公転する,3 つの長周期惑星 (> 1 au) の電波観測を,150 MHz の波長で LOFAR を用いて行った.

その結果,どの系からも電波放射は検出されなかった.しかしそれぞれの観測から,惑星からの電波放射に対して 3 σ の上限として 0.98,0.87,0.57 mJy という値を与えた.

今回の結果は非検出であったが,これらの厳しい上限値は,系外惑星のメートル波長での電波放射を探る道具としての LOFAR の能力を強調するものである.

進化した恒星まわりの惑星からの電波観測

観測に関しては,系外惑星を持つ事が分かっている巨星を探査した.これらの恒星はセンチメートル波での熱放射は弱く,また非熱的な放射は存在しない事が報告されている (O’Gorman et al. 2017).そのため 150 MHz の波長での恒星の放射は完全に無視できる (1 µJy 未満) と期待される.

観測した対象

β Gem 系
スペクトル型:K0III
距離:10.4 pc
半径:8.8 太陽半径
質量:1.9 太陽質量

惑星の最小質量:2.9 木星質量
軌道長半径:1.7 au

期待される電波放射:14.6 mJy

観測の結果,電波放射の検出は無し.3 σ での上限値は 0.98 mJy.
ι Dra 系
スペクトル型:K2III
距離:31.0 pc
半径:12.9 太陽半径
質量:1.8 太陽質量

惑星の最小質量:12.6 木星質量
軌道長半径:1.3 au

期待される電波放射 1.7 mJy

観測の結果,電波放射の検出は無し.3 σ での上限値は 0.87 mJy.
β UMi 系
スペクトル型:K4III
距離:40.1 pc
半径:42.1 太陽半径
質量:1.4 太陽質量

惑星の最小質量:6.1 木星質量
軌道長半径:1.4 au

期待される電波放射:0.1 mJy

観測の結果,電波放射の検出は無し.3 σ での上限値は 0.57 mJy.

過去の系外惑星の電波観測

過去の観測では,数多くの観測にも関わらず系外惑星からの電波の確定した検出報告は存在しない.

VLA を用いた観測

系外惑星からの電波放射の初めての感度のある探査は,Very Large Array (VLA) を用いて行われた.

Winglee et al. (1986) は,準恒星質量の伴星 (褐色矮星や惑星) の存在が疑われる,M 型の近傍の主系列星 6 個を,VLA の 1400 MHz と 333 MHz の波長で観測した.その結果,3 σ で 0.3 mJy (1400 MHz) と 30 mJy (333 MHz) の上限を与えた.

Bastian et al. (2000) は,同じく VLA を用いて系外惑星を持つことが分かっている 7 個の主系列星を観測した.観測波長は 1465 MHz と 333 MHz で,また 1 個の系は 74 MHz での観測も行われた.
この観測での典型的な 3 σ の上限値は,1465 MHz で 0.06 - 0.2 mJy,333 MHz で 3 - 30 mJy,74 MHz で 150 mJy であった.

Lazio & Farrell (2007) は,ホットジュピターを持つ F7V 型の主系列星 τ Boo (うしかい座タウ星) を VLA の 74 MHz 波長で観測した.その結果,3 σ の上限値として ~ 300 mJy という値を与えた.

GMRT を用いた観測

Giant Metrewave Radio Telescope (GMRT) を用いた 150 MHz での観測も行われている.

George & Stevenson (2007) では,2 つの若い主系列星に対して,系外惑星からの放射に 3 σ で ~ 14 mJy 上限を与えた.一方で Hallinan et al. (2013) は 40 時間の τ Boo の観測から,わずか ~ 1.2 mJy という 3 σ の上限値を与えている.

Sirothia et al. (2014) は 175 個の系外惑星系の電波サーベイ観測を行った.ここでは,放射は中間値が ~ 25 mJy の 3 σ の上限値を与えている.Sirothia et al. (2014) では 4 個の電波源が,惑星と非常に近い位置に検出されている.しかし背景の電波源である可能性は排除できておらず,惑星からの放射かは不明である.

Lecavelier des Etangs et al. (2011, 2013) も,GMRT を用いて,主系列星を公転する 2 個のホットジュピターと 1 個のホットネプチューンを観測している.その結果,弱い (3 σ で ~ 3 - 4 mJy) 放射を,2 つの惑星の近くに検出している.しかしこの放射は,画像中のノイズピークと整合的に見え,確実な検出ではない.

MWA を用いた観測

より最近では,Murchison Widefield Array (MWA) が同じく 150 MHz 波長で系外惑星の電波放射の探査を行っている.

Murphy et al. (2015) は,17 個の系外惑星系をターゲットにし,3 σ で 15.2 - 112.5 mJy という上限値を与えている.

Lynch et al. (2017) は同じく MWA を用いて,若い星形成領域にある数百万歳程度の恒星を公転する系外惑星をターゲットにした観測を行った.その結果,3 σ の流速密度上限は,大きく偏光した放射に対して 4 mJy にまで制限されている.

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