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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1802.03047
Mendonça et al. (2018)
Revisiting the Phase Curves of WASP-43b: Confronting Reanalyzed Spitzer Data with Cloudy Atmospheres
(WASP-43b の位相曲線の再検討:再解析したスピッツァーデータの雲あり大気との直面)

概要

最近のハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡での観測で得られた,短周期ホットジュピター WASP-43b の位相曲線は,観測データと理論の対立について検証するための良い対象である

まず観測的な観点から,3.6 µm,4,5 µm 波長のスピッツァー宇宙望遠鏡で得られた位相曲線の再解析を行った.
改善された解析手法によって,ピクセル間の感度に起因する残差の赤いノイズを除去した.この赤いノイズはこの惑星の夜側からのフラックスを過大評価してしまう原因となるものであり,ノイズを除去することにより,理論と観測データの間の対立を緩和することが出来る.

次に理論的な観点から,この惑星の雲無し大気と雲あり大気のそれぞれのモデルを,Global Circulation Model (GCM) である THOR を用いて構築した.THOR は,惑星大気についての非静的オイラー方程式を解くものである (一般に GCM は静水圧平衡の基礎方程式を解く).

その結果,雲無し大気のモデルの場合,惑星の昼側からの放射スペクトルをよく再現することが分かった.多位相での放射スペクトルは,雲層の存在は夜側半球に限定されており,有限の雲頂圧力を持つという制約を与える.

多波長での位相曲線は,今回の雲あり大気モデルと自然に整合する.ただし,4.5 µm での位相曲線を除く.4.5 µm での位相曲線を再現するためには,惑星大気中に一酸化炭素が多く存在している必要がある.

将来のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で得られるであろう,高い波長分解能での多位相放射スペクトルと,可視光での反射光の位相曲線によって,おそらくはこの惑星の雲の特徴にさらなる制限をかけることが出来るだろう.

WASP-43b について

WASP-43b は木星の 2 倍の質量を持ち,半径は同程度である.スペクトル型 K7 の中心星 WASP-43 を,19.2 時間で公転している (Gillon et al. 2012).

この惑星は,ハッブル宇宙望遠鏡での位相曲線観測の主要なターゲットである.

Stevenson et al. (2014) によるこの惑星の多波長での位相曲線の観測から,大気の二次元の情報が得られた.
その他の観測からもこの惑星の大気の様々な特徴が明らかにされている.例えば,昼側から夜側への熱の再分配効率は低いこと,昼側の大気中には温度逆転層が見られないこと,あるいは大気中の水の存在度への制約などである (Gillon et al. 2012,Wang et al. 2013,Blecic et al. 2014,Kreidberg et al. 2014,Stevenson et al. 2014).

最近,スピッツァー宇宙望遠鏡による 3.6 µm,4.5 µm 波長での位相曲線が得られている (Stevenson et al. 2017).その観測では,3.6 µm での 2 つの位相曲線に大きな違いがあることが報告されている.具体的には,2 番目の位相曲線の軌道位相が ~ 0.6 の時に,深いシグナルが存在していることが分かった.理論的な側面からは,Stevenson et al. (2014) の位相曲線は Kataria et al. (2015) によって再解析されている.そこでは,3 次元の大気温度と速度の分布を GCM を使ってモデル化している.計算された昼側の放射スペクトルは,Stevenson et al. (2014) での昼側の放射スペクトルの測定結果を良く再現する.しかし,別の軌道位相ではフラックスを過大評価もしくは過小評価してしまい,一致しない.特に,理論モデルでの夜側の放射スペクトルは,測定されたものよりも明るすぎるという問題がある.

大気中の雲の存在が,この理論と観測の食い違いの原因として言及されている (Kataria et al. 2015,Stevenson et al. 2017),しかしその詳細は不明であった.

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