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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1802.06044
Wise & Dodson-Robinson (2018)
No Giant Planet Pileup Near 1 AU
(1 AU 付近の巨大惑星のパイルアップは存在しない)

概要

対数スケールで見た時の系外惑星の軌道長半径の分布には,分布の pileup (パイルアップ,集積) が存在する,あるいは 1 AU 付近に分布の特徴が存在するという指摘がある (Udry & Santos 2007,Wright et al. 2009,Hasegawa & Pudritz 2012など).ここでは,このパイルアップや分布の特徴は統計的に有意ではないことを指摘する

個々の系外惑星の視線速度サーベイの複雑なサンプリングと選択バイアスに関する知見がないため,適切な統計的有意性をパイルアップに対して適用することは出来ない.その代わり,公開されているデータを用いて,以下の方法で系外惑星の軌道長半径分布にパイルアップが存在するかどうかを判定する.

まず,視線速度法を用いて検出された巨大惑星の,質量-軌道長半径分布をプロットする.これは,対数スケールで図示したものと,均等目盛りで図示したものの両方を用いる.後者に関しては,長周期惑星に対する観測バイアスの影響 (※注釈:長周期のものは検出しづらい) を避けるため,軌道長半径 2.5 AU を上限として切り取った.

これらの分布からは,巨大惑星の軌道長半径分布は対数スケールで見た場合には明らかに均一ではないことが分かり,これは軌道長半径分布にパイルアップが存在するという仮説が提案される一因となっている.


しかしここでは,期待される系外惑星の軌道長半径分布は,そもそも対数スケールで均一にはならないということを指摘する.単純な議論としては以下の通りである.

\(\log a\) (\(a\) は軌道長半径) の分布における非一様な特徴を探す時,帰無仮説は巨大惑星の頻度は \(1/a\) でスケールされる.なぜなら,軌道長半径の各 AU ごとに割り当てられたプロット間隔は \(1/a\) になるからである.

Armitage (2007),Bitsch & Kley (2011),Coleman & Nelson (2014) によると,5 AU 以内の巨大惑星は形成後に大きく内側への軌道移動を経験した可能性がある.もし惑星が局所的な粘性タイムスケール \(r^{2}/\nu\) で移動し,\(\nu\!\left(r\right)\sim r\) の場合 (Hartmann et al. 1998),これらの惑星は大きな軌道長半径の時はゆっくりと軌道移動をする.そのため ~ 1 AU あたりの巨大惑星の存在頻度は,軌道長半径の増加に伴って増加する.


ここでは,Bayesian Blocks algorithm (Scargle et al. 2013) を用いて巨大惑星の軌道長半径の分布を評価した.均等スケールでのプロットを用い,一様な分布からのずれを評価した.

まず,報告されている観測不定性を用いて,系外惑星の質量-軌道長半径の分布の再サンプリングを行った.ここでは,最小質量が 0.5 木星質量以上のものを抽出し,その軌道長半径の分布を評価した.

次に Bayesian Blocks algorithm を使用した.ブロック数 (ヒストグラムのビン) に対する geometric prior を \(P\!\left(N_{\rm blocks}\right)=P_{0}\gamma^{N_{\rm blocks}}\) と設定し,変化点の正しい検出の閾値確率として 0.95 を選択した.\({\rm N_{\rm A}}\) 個の惑星を含む個々の再サンプリングされた軌道長半径分布 \(\rm A\) に対して,ランダムなデータセット \({\rm R_{\rm N_{\rm A}}}\) (全て \(\rm N_{\rm A}\) 個の惑星を含む) を用いて \(\gamma\) を計算.

統計解析の結果,再サンプリングされたもののうち 78% が,1 - 1.5 AU 中に高い惑星頻度を持つ特徴を示した.この特徴は,変化点が 2 つ存在する可能性を示唆しており,一つは惑星頻度が増加に向かう変化点,もう一つは減少に向かう変化点である.
ただしこの特徴は再サンプリングされた軌道長半径分布の 78% にしか現れておらず,そのため 1 AU でのパイルアップの証拠は統計的に有意ではないことが示唆される

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