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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1804.07771
Morley et al. (2018)
An L Band Spectrum of the Coldest Brown Dwarf
(最も低温の褐色矮星の L バンドスペクトル)

概要

最も低温な褐色矮星 WISE 0855 は,これまでに知られている中で最も太陽系に近い惑星質量の自由浮遊天体で,表面温度は太陽系のガス惑星と同じくらい低温である.木星と同様に,この天体はメタン,水,アンモニアが豊富な大気を持つと予想され,また揮発性物質の氷の雲を伴っていると考えられる.

この天体は近赤外波長では暗く,エネルギーの大部分を中間赤外線で放射している.Skemer et al. (2016) は,この天体のスペクトルを 4.5 - 5.1 µm (M バンド) で取得し,スペクトル中の水蒸気の特徴の存在を明らかにした.

ここでは,この天体の L バンド 3.4 - 4.14 µm での観測結果からのスペクトルについて報告し,大気組成の範囲 (金属量と C/O 比) と水氷雲を含む大気モデルを提供する.

スペクトル中には,メタンの吸収が明確に存在した.中間赤外でのこの天体の色は,太陽組成と比較してメタン存在度が少ないとした場合のモデルとよく一致した.

M バンドスペクトル中に水氷の雲が存在する兆候を発見し,また L, M バンドスペクトル双方でホスフィンのスペクトル特徴は欠けていることを発見した.そのため,深い連続的な不透明源が近赤外フラックスを隠していることが示唆される.おそらくは大気の深い領域でのリンを含む雲,無水リン酸アンモニウム (ammonium dihyrogen phosphate) が成分であろうと考えられる.

この天体の観測結果は,低温な惑星大気への重要な制約を与え,長年研究されてきた太陽系惑星と,観測可能な系外惑星の間の温度範囲の橋渡し的な役割を果たす.ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による将来的な観測でさらに理解が進むことが期待される.

WISE J085510.83-071442.5 (WISE 0855) について

WISE J085510.83-071442.5 (WISE 0855) は惑星質量の自由浮遊褐色矮星 (単独で存在する天体) である.

表面温度はこれまでに発見されているこの種の天体の中では最も低温で,~ 250 K と推定されている.これは木星よりわずかに ~ 100 K 温かいだけである (Luhman 2014).

太陽系に最も近い系の一つでもあり,太陽系に 4 番目に近い天体で,距離は 2.23 ± 0.04 pc である (Luhman & Esplin 2016).

質量はおそらく重水素燃焼限界よりも軽く,天体の年齢として 10 - 100 億歳を仮定すると,質量は 3 - 10 木星質量と推定される.

この天体の有効温度は ~ 250 K なので,天体のスペクトルは木星と同じように水,メタン,アンモニアでの特徴で占められる事が期待される.高温の褐色矮星の場合は,難揮発性の鉄,シリケイト,硫化物,塩の雲に覆われているが,温度が 350 - 375 K より低温の褐色矮星は,水氷の揮発性の雲を持っていると考えられる.

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