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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1805.00096
Parmentier et al. (2018)
From thermal dissociation to condensation in the atmospheres of ultra hot Jupiters: WASP-121b in context
(ウルトラホットジュピターの大気中での熱解離から凝縮まで:WASP-121b の文脈で)

概要

最近,新しい系外惑星の分類として ultra hot Jupiters (ウルトラホットジュピター) という,最も高温な部類の近接巨大ガス惑星が出現している.

これらウルトラホットジュピターの大多数は,1.1 - 1.7 µm バンドパスで見られるスペクトルの特徴が,理論的に予想されているよりも弱い.この波長域は,ハッブル宇宙望遠鏡の WFC3 を用いて探査されている.しかし,スピッツァー宇宙望遠鏡で観測されている,より長波長でのスペクトルの特徴は強いことが分かっている.そのため,これらの惑星の温度構造と大気中の化学種の存在度は,謎に包まれている.

ここでは,大気中での熱解離,電離,H- による不透明度,および雲が,どのようにウルトラホットジュピターの温度構造とスペクトル特性を形作るのかを調査した.
SPARC/MITgcm を用いて,4 つのウルトラホットジュピターの大気をモデリングした.また WASP-121b のケースをより詳細に議論した.ここでの発見を,大気中での熱解離の解析的定量化と,そのスペクトル特徴の強度への影響を通じて,ウルトラホットジュピター全体に拡大した.

その結果,ウルトラホットジュピターの昼側大気中ではほとんどの分子は熱解離を起こし,アルカリ金属は電離されることが予測される.解離する分子には,水,酸化チタン,酸化バナジウムと水素分子が含まれるが,強い分子結合を持つ一酸化炭素は含まれない.

解離によって分子存在度の垂直方向の勾配が生まれ,これにより水のスペクトルの特徴は大きく弱められるが,4.5 µm 波長での一酸化炭素の特徴は変わらない.ハッブル宇宙望遠鏡の WFC3 バンドバスの波長内で検出される水のバンドは,H- イオンの連続不透明度によって,更に弱められる.

昼側の大気中で解離した分子は,昼夜の縁に到達する前に再結合することが予想される.これにより,昼側と縁の間での化学組成と雲の被覆率には,一桁の変動が発生する.

大気中での分子の解離は,ほとんどのウルトラホットジュピターで観測されている,波長 1 - 2 µm のバンドバスでの水の強いスペクトルの特徴が欠けていることを,定性的には理解できる.ただし定量的には,ここでのモデルは WASP-121b の放射スペクトルを観測結果と十分に一致させることはできていない.WASP-33b とケプラー33Ab と同様に,WASP-121b はウルトラホットジュピターの集団の中でも外れた存在であるように思われる.

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