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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1805.00029
Kreidberg et al. (2018)
Global Climate and Atmospheric Composition of the Ultra-Hot Jupiter WASP-103b from HST and Spitzer Phase Curve Observations
(HST とスピッツァー位相曲線観測からのウルトラホットジュピター WASP-103b の全球的気候と大気組成)

概要

ハッブル宇宙望遠鏡の WFC3 とスピッツァー宇宙望遠鏡の IRAC を用いて取得した,ホットジュピター WASP-103b の熱位相曲線の測定結果を提供する.

測定された位相曲線は振幅が大きく,またホットスポットのずれの影響は無視できる.これらは,惑星の昼側から夜側への熱の再分配が非効率であることを示唆している.また,位相変化を気候マップの範囲にフィッティングさせ,球面調和モデルが最も良くフィットすることを見出した.

位相分解されたスペクトルは,WFC3 のバンドパスで黒体放射と整合的であり,輝度温度は惑星の夜側での 1880 K から,昼側での 2930 K までの範囲をとる.惑星の昼側の大気スペクトルは,スピッツァー宇宙望遠鏡のバンドで非常に高い輝度温度を持つ.これはおそらく,一酸化炭素の放射および温度逆転の存在に起因する.また,温度逆転は夜側には存在しない.

観測結果から大気組成を復元し,大気組成はやや金属豊富な [M/H] = 23 × solar (太陽の金属量の 23 倍),C/O 比は 3 σ の信頼度で 0.9 以下と推定した.

低温なホットジュピターとは対照的に,大気中から水のスペクトルの特徴は検出されなかった.これは,この惑星の大気中では水分子が部分的に解離している影響だと解釈できる.

得られた位相曲線を三次元大気循環モデルと比較した結果,観測データと適合させるためには,大気の流れに対する磁気効力の効果が必要であることを発見した.

また WASP-103b のスペクトルを,褐色矮星および直接撮像されている若い伴星天体と比較した.これらの天体はスペクトル中に非常に大きな水の特徴を持っており,ホットジュピターのスペクトルを形成するためには表面重力と輻射環境が重要な役割を果たしていることが示唆される.

これらの結果は,系外惑星大気の三次元構造を考慮する必要性を強調するものであり,それらの複雑な化学過程と物理過程を理解するためには,位相曲線の観測が重要であることを示すものである.

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