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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1805.07044
Kamiaka et al. (2018)
Reliability of stellar inclination estimated from asteroseismology: analytical criteria, mock simulations and Kepler data analysis
(星震学から推定された恒星傾斜の信頼性:解析的基準,模擬シミュレーションとケプラーデータ解析)

概要

太陽型星の星震学 (asteroseismology) の発展により,恒星の傾き角度 \(i_{\star}\) が推定できるようになった.これにより,トランジットする惑星系での spin-orbit 角 (恒星の自転軸と惑星の公転軸の成す角度) を,”射影した” spin-orbit 角度 \(\lambda\) を推定するためのよく確立された手法であるロシター効果と相補的に評価できるようになった.

星震学的な手法はケプラーのデータに広く適用されているが,その信頼性は重点的に評価されていない.ここでは \(i_{\star}\) の太陽型星の星震学からの推定の精度を,3000 のシミュレートしたパワースペクトルを用いて評価した.

その結果,パワースペクトルのシグナルノイズ比が低い場合,傾斜角が大きい恒星に対しては系統的に過小評価を,傾斜角が小さい恒星に対しては系統的に過大評価を誘起することを見出した.

星震学での推定の信頼性について,解析的な閾値を導出した,高いシグナルノイズ比の場合のみ,\(i_{\star}\) が 20 - 80° の範囲で信頼できる測定ができることが示唆される.

また,94 個のケプラーで観測された主系列星・太陽類似星を解析して傾斜角を測定した.このうち 33 個は惑星を持つ恒星である.今回の信頼性基準に基づくと,これらの 3 分の 1 (惑星を持つ恒星 9 個,持たない恒星 22 個) は正確な傾斜角の測定が出来ていると考えられる.

ここでの星震学的な \(v\sin i_{\star}\) の推定と,分光学的な測定とを比較した.後者の手法は恐らく,大局的な乱流のモデリングに起因する大きな不定性の影響を受ける.特に,射影した自転速度 \(v\sin i_{\star}\) が 5 km/s 程度以下の場合は影響が大きい.これはこれまでの主張と一致する,

従って,低速で自転する恒星に対する,分光学的と測光学的変動からの測定の組み合わせによる恒星の傾斜角の推定結果は,注意深く解釈する必要がある.

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